【最初から読む】登園・降園も、保育士の勤怠管理もすべて手作業。保育士が疲弊する現場を変えたかった…第1回目のインタビュー記事はこちらから。

コロナも影響 近い将来、保育園業界に起きること

Q:保育園の業務を効率化し、保育士の負担を減らせるのがICTの導入ですね。ほかにも同様のシステムがありますが、株式会社CHaiLDの強みとは?

貞松:株式会社CHaiLDの一番の強みは、子どもに関する調査・研究のクオリティが高いという点です。

保育運営システムを提供している企業はほかにもありますが、そこに記録されているデータは、ユーザーである保育園のものです。ですから、研究や商品開発のために継続的に活用することは難しいのです。
一方、CHaiLDはグループに4500人の定員を持つ直営保育園があります。このため、子どもたちの発達や健康に関するデータを収集・蓄積できます。
さらに自前の研究機関で集めたデータを解析する体制もあります。

もちろん、子ども一人ひとりのデータは個人情報ですから、保護者の承諾なしに使用することはできません。グループ会社の直営保育園では、入園する際にすべての保護者から子どものデータを、研究や商品開発に使用する許可をいただいています。

この膨大なデータを持ち、自前の研究体制によって商品開発ができることは大きな強みだと考えています。

Q:CCSの開発にはどのくらいのコストがかかっているのですか?

貞松:CCS開発のために費やした時間は、研究の時間だけで1,000時間を超えています。
発表した論文も7本以上あり、弊社としても特に力を注いで開発したシステムです。

CCSは保育士の負担を減らすことはもちろんですが、それ以上の付加価値を提供できるようになると自負しております。それが「子ども一人ひとりに合わせた保育=保育の個別最適化」なのですが、これは改めてご説明します(笑)

新型コロナウイルスの影響もあって、都市部でも待機児童問題は解消に近づいています。国の政策として増やした保育園は、近い将来淘汰されていくでしょう。
そのとき「選ばれる保育園」になるために、質の高い保育を提供したいと考えている事業者様に、ぜひ弊社のシステムを導入していただければと考えています。

国の指針で示された「一人ひとりに合わせた保育」が必要な理由

Q:他のサービスとの違いは何ですか?

貞松:実は、保育業務を効率化すること自体はそれほど難しくはありません。
保護者との連絡や保育士の出勤管理、子どもたちの日々の記録など、多く時間がかかっていた業務をデジタル化し、ITツールをうまく使って効率化すれば良いだけです。
そうすることで、保育士の残業を減らしたり、休日を確保したりできます。子どもたちに向き合う時間を増やすこともできます。

ただ、本当の課題は、業務を効率化した先にあると考えています。

キーワードとなるのはさきほどの「保育の個別最適化」です。個別最適化とは、言い換えると子ども一人ひとりに合わせた保育を提供する、ということです。

CCSには業務効率化に加えて、個別最適化ソフトとしての機能が備わっています。保育の個別最適化を目指せるということが、他社サービスとは大きく違う点であると考えています。

Q:なぜ、保育を個別最適化することが必要なのですか?

貞松:幼い子どもの発達は、一人ひとり大きく異なります。
たとえば双子のきょうだいであっても、一人は動物が大好きだけれど、もう一人はアニメに夢中、ということがあります。こんなふうに興味・関心がそれぞれ違うのは珍しくありません。
だからこそ、一人ひとりの特徴に合わせて適切な環境を用意してあげることが重要です。

子ども一人ひとりの発達と関心にあった保育を提供できれば、その子の持つ能力を最大限引き出せると考えています。その一方で、全員に同じ保育を提供すると、一人ひとりの個性をつぶしてしまう可能性があります。

また、興味のないことばかりをやらされる保育園には、子どもたちも「行きたい!」とは思いませんよね?子どもたちとの信頼関係を築く上でも、一人ひとりに合った保育を提供する必要があると考えています。

CCSを活用し、子どもたちの発達や健康に関するデータを蓄積してデータベースを充実させ、それを分析、活用することによって、個性を十分に伸ばせる「保育の個別最適化」を追求していきます。

なお、保育の個別最適化については、国が出している指針にも以下のような記載があります。

  • 「保育士等が子どもの内面や育ちに対する理解を深めること」(保育所保育指針)
  • 「幼児一人一人の行動と内面を理解し、心の動きに沿って保育を展開することによって心身の発達を促すよう援助すること」(幼稚園教育要領)
  • 「園児一人一人の発達及び内面についての理解と保護者の状況に応じた支援を行うこと」(幼保連携型認定こども園 教育・保育要領解説)

以上からお分かりいただけるように、保育園だけではなく、幼稚園やこども園でも一人ひとりに合わせた保育を行うことが求められているのです。

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さだまつ じょう

学生時代に少子高齢化という人口問題を知り、2007年に株式会社global bridge設立。千葉県にて無認可保育所(のちに認可保育所へ転換)を開園。2014年、保育園運営管理システム「Child Care System」をリリースし、ICT事業を開始 2017年保育ロボット「VEVO」の開発に着手。

ライター:小町 ヒロキ

早稲田大学政治経済学部を卒業後、大手損害保険会社で5年間営業職として勤務。退社後、金融機関での勤務経験を生かし、Webライターとして独立。
現在は、複数のメディアにて取材ライターとして活動中。

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