保育園の運動会では、子どもが楽しめ盛り上がる競技を選ぶことが大切です。そのためには、運動会を行うねらいを定め、年齢に合った競技を選ぶことが重要になります。
今回は、乳児向けと幼児向けに分けて運動会を行うねらいを紹介し、年齢別におすすめの競技を紹介します。また、競技を行う際の注意点も解説しているため、トラブルが起こってもスムーズに対応できるようになるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
保育園で運動会を行うねらいを定めよう
運動会は、子どもの成長や日頃の練習の成果を保護者に披露するイベントで、年中行事の中でも特に大きなイベントとして位置づけられています。
保育園で運動会を行う際には、そのねらいをしっかり定めることが重要です。子どもが意欲的に練習に励めるよう、準備や計画を立てましょう。
【乳児向け】運動会を行うねらいは?
厚生労働省の保育所保育指針では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」についての目標を示しています。その目標を具体的にするために、保育のねらいを5つに分けたものが「保育の5領域」です。
5つの領域は以下のように分けられます。
・健康
・人間関係
・環境
・言葉
・表現
運動会におけるねらいは、この内の「健康」「人間関係」に該当します。
「健康の領域」のねらいとしては、のびのびと身体を動かして遊ぶ楽しさを経験することです。「人間関係の領域」のねらいとしては、ふれあいや遊びを通して気持ちを表現することで、身近な大人と信頼関係を深めることです。
【幼児向け】運動会を行うねらいは?
幼児向けの「健康の領域」のねらいは、全身を使ってさまざまな動きを楽しむことです。幼児期は、運動機能が発達する頃であるため、身体を動かしたい気持ちを満たしたり、達成感を味わえたりするような競技を取り入れるとよいでしょう。
「人間関係の領域」のねらいとしては、友だちと力を合わせて活動し、さまざまな気持ちを分かち合うことがあげられます。そのため、友だちと一緒に目的を持って競技するものや、楽しさを共感しあえるダンスなどが向いています。
運動会のテーマを定めよう
運動会にテーマや世界観があると、プログラムを設定しやすくなるため盛り上がるでしょう。
ここでは3つのテーマを紹介し、それぞれどのような効果があるのか解説していきます。運動会のテーマ選びで悩んでいる保育士の方は、ぜひ参考にしてください。
絵本の世界をテーマにする
まずおすすめなのが、絵本の世界をテーマにして競技を考えてみることです。各クラスでお気に入りの絵本をテーマにしてみましょう。
絵本の世界をテーマにすると、絵本の世界に入ったかのように感じ取れるため、子どもたちはもちろん、大人も競技を楽しむことができます。
例えば、「おおきなかぶ」をテーマに綱引きをしたり、「3びきのやぎのがらがらどん」をテーマに平均台や障害物競争をしたりすると盛り上がるでしょう。
さらに、テーマにあわせて飾り付けや衣装も考えると、子どもがより楽しく競技に参加できます。
オリンピックをテーマにする
スポーツの祭典であるオリンピックも、運動会のテーマにピッタリです。子どもたちが聖火を掲げて入場したり、リレーのバトンを聖火風にしたりすると、オリンピックらしさを感じられ盛り上がることでしょう。
また、実際のオリンピック競技を子ども向けにアレンジしてみたり、子どもたちをいくつかの国に分け、対抗戦にして競技をしたりすることで、実際のオリンピックに興味を持ち、スポーツや外国の文化にふれるきっかけになります。
水族館や動物園をテーマにする
身近で、みんなが行ったことあるような水族館や動物園をテーマにするのもおすすめです。水族館や動物園をテーマにすることで、子どもたちが好きな動物や海の生き物になりきって競技を楽しむことができるでしょう。
水族館であれば「ペンギンダンス」や「イルカの速泳ぎリレー」、動物園であれば「ひよこのダンス」や保護者と一緒に「亀の親子レース」など、生き物の動きを取り入れた競技を考えることができます。子どもが動物や海の生き物に興味を持つきっかけにもできるでしょう。
装飾もテーマに合わせたものにすると、より一層楽しい運動会になります。
開催時期は何月頃がいいの?
保育園の運動会は、春に開催する場合と秋に開催する場合が一般的です。
春開催の場合は、5月中旬から6月頃がおすすめです。早い時期だと入園したばかりの子どももいるため、練習時間が確保できません。また、6月後半になると梅雨に入るため、その前までに行うとよいでしょう。
秋開催の場合は、9月から11月頃がおすすめです。10月は「体育の日」があることから、全国的にもこの時期に運動会をする保育園が多いでしょう。秋開催であれば、春開催より練習時間が十分にとれます。
0歳から2歳児向けのおすすめ競技
ハイハイ競争
ハイハイ競技は、マットの上をハイハイしてゴールを目指します。ゴールまでの長さは、0際から2歳までの各年齢に合わせて設定します。
保育士がおもちゃを持って子どもをゴールにひきつけたり、保護者がゴールから子どもの名前を呼んだりして誘導しましょう。
子どもが途中で泣いてしまったり、前に進まずその場で遊んでしまったりした場合は、保育士が楽しく実況して上手く盛り上げるようにしてみましょう。
宝探し
宝探しは、宝物を囲いの中に置いて、制限時間内にいくつ集めることができるか競う競技です。
宝物は子どもが好きな動物や可愛いハート、また運動会の季節に合った果物や野菜などにすると、見た目でも楽しめます。
上手く宝物を集められない子どもには、保育士が一緒になって宝物を集めたりサポートしてあげたりして、全員が楽しめるようにすることが大切です。
おばけ退治
おばけ退治は、保育士がおばけになりきって、子どもがおばけに向かってボールを投げて退治する競技です。
保育士は、黒いビニール袋や白い布を被っておばけになりきりましょう。ボールは玉入れ用や柔らかいものを用意します。
上手く投げられない子どもがいる場合は、おばけに扮した保育士がなるべくその子どもの近くに行って、ボールを当てやすくしてあげましょう。
動物のモノマネ競争
動物のモノマネ競争は、保護者と一緒に動物のモノマネをしながらゴールを目指す競技です。
まず保護者が子どもをおんぶや抱っこしてスタートし、途中に用意されているカードを引きます。そして、そこに描かれている動物のマネをしながらゴールを目指すといった流れです。
動物のイメージは人それぞれのため、キリンであれば子どもを肩車しながら大股で歩く、コアラであれば子どもをおんぶしてゆったり歩くといったように、保護者がイメージしやすいようにカードなどに記載しましょう。
トンネルくぐり競争
こちらも、保護者が一緒に参加できる競技です。
コースの途中に保護者が足を広げて立ってトンネルを作り、子どもたちは保護者の位置まで走ってきたらそのトンネルをくぐります。くぐったら子どもを保護者が抱っこして、ゴールまで一緒に走ります。
親子で協力しながら一緒に楽しむことで、スキンシップをはかることもできるでしょう。
3歳から5歳児向けのおすすめ競技
玉入れ
定番競争である玉入れですが、単なる玉入れではなくダンスや動きを取り入れたものにすることで、3歳から5歳児向けらしい少し難しい競技にできます。
例えば、曲が流れている間はダンスをし、止まったら玉入れをするといったものや、玉入れのかごを保育士や保護者が背負って動き回り、子どもたちはそれを追いかけて玉入れをするなどです。
おつかいレース
おつかいレースは、身体を動かすだけでなく考える力も使う競技です。
まず保護者がカードを引き、そこに書かれているものを子どもに教えて取ってきてもらいます。子どもが理解できるように、カードにはイラストも描いておくとよいでしょう。
運動会の前までに子どもたちがものの名前を覚えられるよう、普段の保育の中で教えておくなど工夫しておくことがおすすめです。
風船を使ったバレー
子どもたちが協力しながら行える競技が、風船を使ったバレーです。
チームごとに風船をどれだけ落とさずはじきあえるかを競います。はじいた回数を数えることで数字を数えたり、動くものを捉えて追ったりする力を育むことができるでしょう。また、みんなで協力することで、コミュニケーション能力を育むこともできます。
大きなズボンを使った二人三脚
親子で参加できるのが、大きなズボンを使った二人三脚です。
大きなズボンの作り方は以下の通りです。普段の保育で子どもたちに作ってもらい、好きなように飾り付けさせてみるのもおすすめです。
1.色付きの大きなビニール袋を2枚用意し、両方の底を切る
2.底を切ったビニール袋2枚をテープでつなぎあわせる
出来上がったら2つのビニール袋に親子でそれぞれ入り、二人三脚のように競争しましょう。
小道具を使ったダンス
4歳児からは大きな動きができるようになり、ダンスするだけでなく小道具も上手に使えるようになるでしょう。
そこで、ボールやフラフープなど小道具を使ったダンスがおすすめです。音楽にあわせて小道具を投げたり回したりして、ダイナミックな動きを取り入れましょう。
同じ動きをすることで一体感が出て、友だちとあわせて動く楽しさを感じられます。
競技を行う際の注意点
トラブルが起こってもスムーズに対応する
運動会では競技中に子どもが怪我や競争心から子ども同士のケンカが始まってしまったり、トラブルがつきものです。そのようなトラブルが起こっても、慌てず冷静に対応できるようにしておきましょう。
また、子どものトラブルだけでなく、撮影や席の場所取りなど保護者同士のトラブルが発生する可能性もあります。そのような場合は上司などに報告し、チームで解決するようにしましょう。
数日前からしっかり準備をする
競技や小道具などの準備は、運動会の数日前からしっかり行っておきましょう。
子どもが運動会本番でスムーズに競技できるよう、競技の練習を何度かしておくと安心です。また、前述したテーマに沿った飾り付けや競技に使う小道具などは、早めに用意しておきましょう。
運動会に参加する保護者には、動きやすい服装で来てもらうなどの連絡をしておくことも重要です。
子どもたちが楽しめるように状況に応じて配慮する
競技をしていると、やり方がわからなくなったり上手くできなかったりして、泣き出したり競技に集中できなくなってきたりする子どももいるでしょう。
そうなると、保護者からクレームを受ける可能性があります。
そのような場合は、保育士が一緒に参加してやり方を見せてあげたりサポートしたりして、子どもたちが楽しめるようにしましょう。競技ごとに、子どもたちが楽しめているかよく見ることも大切です。
まとめ
保育園で運動会を行う際は、年齢別にねらいを定めその目的をはっきりさせておくことがおすすめです。そしてねらいにあった内容の競技を選び、子どもたちが楽しく参加できるようにサポートしましょう。
そのためには、事前の準備が重要です。競技に使う道具に不足がないか確認したり、子どもたちが当日スムーズに参加できるように練習したりして、みんなが楽しめる運動会にしましょう。
本記事で紹介した競技を参考に、子どもがわくわくできたり親子の絆が深まったりするようなイベントにしてください。