保育所保育の基本となる考え方や保育のねらい・内容、保育所運営に関する事項について定めている保育所保育指針。

 

保育所保育指針は全国の保育所保育の一定の質を保ち、園運営の向上に資するための拠り所になるものですので、しっかりと内容を理解する必要があります。この記事では、2017年の改定(2018年4月施行)の概要と、保育所保育指針の理解を深めるためのポイントをまとめます。

そもそも保育所保育指針とは何か?

 

保育所保育指針は、保育所保育における基本的な考え方や保育のねらいと内容、保育所の運営に関する事項について定めたものです。

 

全部で5章あり、それぞれの基本的事項や詳細などが分かりやすく明記されています。そのなかの第2章 保育の内容では、乳児保育と1歳以上3歳未満児及び3歳以上児の保育のねらいがそれぞれ明記されているため、自分が担当している子ども達の年齢に合わせた内容を確認することができます。

2022年現在までに行われた度重なる改定の歴史

保育所保育指針は1965年(昭和40年)に厚生省によって初めて策定され、1990年(平成2年)に1度目の改定、1999年(平成11年)に2度目の改定がなされました。

 

それまでの保育所保育指針は厚生省による通知で、あくまで「参考とするもの」でしたが、2008年(平成20年)の3度目の改定で厚生労働省によって告示され、「守らなければならない基準」も含まれるものになりました。

 

そして、4度目の改定にあたる2017年(平成29年)には、保育所は幼稚園、認定こども園がともに幼児教育を担う施設として位置づけられ、文部科学省が定める幼稚園の教育要領、内閣府が定める幼保連携型認定こども園の教育・保育要領と整合性をとり、3歳以上児の教育の共通化が図られました。

 

また、幼児教育において育みたい子どもたちの資質・能力が示され、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が明確化されました。

保育所保育指針を理解するうえでのポイント

 

保育所保育指針を保育に取り入れ、質の高い保育を行うためには、「第2章 保育の内容」を理解する必要があります。

 

「第2章 保育の内容」には、保育を通して育みたい力を「ねらい」、「ねらい」を達成するために必要な事項を「内容」として定められており、これらは指導案や保育記録などには欠かせません。

 

ねらいと内容は、乳児期、1歳児~3歳未満児、3歳以上児で分けられており、乳児期は3の視点(後述します)で整理され、1歳児~3歳未満児及び、3歳以上児は5領域の「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」で整理されています。

 

3つの視点と5領域は保育の基盤となり重要なポイントとなるので、これらをしっかりと意識しながら子どもと向き合うことが大切です。

2017年に行われた改定の7つの方向性

 

保育所保育指針は数年ごとにその時の社会背景をもとに改定されています。近々では、2017年(平成29年)に改定の告示がされましたが、

 

この改定の背景には

 

・2015年(平成27年)の子ども・子育て支援新制度※の施行
・0~3歳未満児を中心とした保育所利用児童数の増加
・児童虐待相談件数の増加

 

※子ども・子育て支援新制度:平成24年8月に成立した「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正 」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度のこと

 

改定の方向性としては、

 

①乳児、1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実
②幼児教育の積極的な位置づけ
③健康及び安全の記載の見直し
④保護者支援から地域の子育て支援へ
⑤職員の資質・専門性の向上についての記載内容の充実
⑥「養護」の大切さの再徹底
⑦「災害への備え」の新設

 

となります。

 

この7つの改定の方向性について、さらに詳しくご紹介します。

①乳児、1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実

乳児から2歳児までは、心身の発達の基盤を作る重要な時期です。2015年(平成27年)の子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、この時期を保育所で過ごす園児が増えたため、乳児、1歳以上3歳未満児の保育に関する内容が充実化されました。

 

とりわけ乳児は、特定の大人が継続的に関わることにより情緒が安定してきます。乳児期の発達はまだ5領域に分けにくいため、3つの視点で保育のねらいと内容が整理されました。

 

乳児保育の3つの視点

 

・「健やかに伸び伸びと育つ」といった身体的発達に係る視点
・「身近な人と気持ちが通じ合う」といった社会的発達に関する視点
・「身近なものと関わり感性が育つ」といった精神的発達に関する視点

 

これらの視点で示された保育の内容は、養護に関わる保育の内容と一体となって展開されています。

 

1歳以上3歳未満児の保育のねらいと内容については、5領域の「健康、人間関係、環境、言葉、表現」の視点から記載されました。この時期は、生活や遊びのなかで5領域の学びが大きく重なり合いながら育まれていきます。

<1歳以上3歳未満児のねらいと内容> ~保育所保育指針:厚生労働省より抜粋
 

健 康

 ねらい

  1.  明るく伸び伸びと生活し、自分から体を動かすことを楽しむ。
  2.  自分の体を十分に動かし、様々な動きをしようとする。
  3.  健康、安全な生活に必要な習慣に気付き、自分でしてみようとする気持ちが育つ。

 内 容

  1.  保育士等の愛情豊かな受容の下で、安定感をもって生活をする。
  2.  食事や午睡、遊びと休息など、保育所における生活のリズムが形成される。
  3.  走る、跳ぶ、登る、押す、引っ張るなど全身を使う遊びを楽しむ。
  4.  様々な食品や調理形態に慣れ、ゆったりとした雰囲気の中で食事や間食を楽しむ。
  5.  身の回りを清潔に保つ心地よさを感じ、その習慣が少しずつ身に付く。
  6.  保育士等の助けを借りながら、衣服の着脱を自分でしようとする。
  7.  便器での排泄に慣れ、自分で排泄できるようになる。

 

人間関係

 ねらい

  1. 保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる。
  2. 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする。
  3. 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く。

 内 容

  1. 保育士等や周囲の子ども等との安定した関係の中で、共に過ごす心地よさを感じる。
  2. 保育士等の受容的・応答的な関わりの中で、欲求を適切に満たし、安定感をもって過ごす。
  3. 身の回りに様々な人がいることに気付き、徐々に他の子どもと関わりをもって遊ぶ。
  4. 保育士等の仲立ちにより、他の子どもとの関わり方を少しずつ身につける。
  5. 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりがあることや、その大切さに気付く。
  6. 生活や遊びの中で、年長児や保育士等の真似をしたり、ごっこ遊びを楽しんだりする。

 

環 境

 ねらい

  1. 身近な環境に親しみ、触れ合う中で、様々なものに興味や関心をもつ。
  2. 様々なものに関わる中で、発見を楽しんだり、考えたりしようとする。
  3. 見る、聞く、触るなどの経験を通して、感覚の働きを豊かにする。

 内 容

  1. 安全で活動しやすい環境での探索活動等を通して、見る、聞く、触れる、嗅ぐ、味わうなどの感覚の働きを豊かにする。
  2. 玩具、絵本、遊具などに興味をもち、それらを使った遊びを楽しむ。
  3. 身の回りの物に触れる中で、形、色、大きさ、量などの物の性質や仕組みに気付く。
  4. 自分の物と人の物の区別や、場所的感覚など、環境を捉える感覚が育つ。
  5. 身近な生き物に気付き、親しみを持つ。
  6. 近隣の生活や季節の行事などに興味や関心をもつ。

 

言 葉

 ねらい

  1. 言葉遊びや言葉で表現する楽しさを感じる。
  2. 人の言葉や話などを聞き、自分でも思ったことを伝えようとする。
  3. 絵本や物語等に親しむとともに、言葉のやり取りを通じて身近な人と気持ちを通わせる。

 内 容

  1. 保育士等の応答的な関わりや話しかけにより、自ら言葉を使おうとする。
  2. 生活に必要な簡単な言葉に気付き、聞き分ける。 親しみをもって日常の挨拶に応じる。
  3. 絵本や紙芝居を楽しみ、簡単な言葉を繰り返したり、模倣をしたりして遊ぶ。
  4. 保育士等とごっこ遊びをする中で、言葉のやり取りを楽しむ。
  5. 保育士等を仲立ちとして、生活や遊びの中で友達との言葉のやり取りを楽しむ。
  6. 保育士等や友達の言葉や話に興味や関心をもって、聞いたり、話したりする。

 

表 現

 ねらい

  1. 身体の諸感覚の経験を豊かにし、様々な感覚を味わう。
  2. 感じたことや考えたことなどを自分なりに表現しようとする。
  3. 生活や遊びの様々な体験を通して、イメージや感性が豊かになる。

 内 容

  1. 水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ。
  2. 音楽、リズムやそれに合わせた体の動きを楽しむ。
  3. 生活の中で様々な音、形、色、手触り、動き、味、香りなどに気付いたり、感じたりして楽しむ。
  4. 歌を歌ったり、簡単な手遊びや全身を使う遊びを楽しんだりする。
  5. 保育士等からの話や、生活や遊びの中での出来事を通して、イメージを豊かにする。
  6. 生活や遊びの中で、興味のあることや経験したことなどを自分なりに表現する。

 

 

②幼児教育の教育施設としての位置づけ

前述のとおり、2017年(平成29年)の改定では、保育所も幼稚園や認定こども園と同じく、教育施設であると位置づけられたことが大きなポイントとなっています。

 

幼児教育において育みたい子どもたちの資質・能力としては「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」が3つの柱があげられます。

 

これらは、それぞれ個別に指導するのではなく、遊びを通した保育活動のなかで総合的に育むようにすることが重要です。

 

3歳以上児からの保育のねらいと内容は5領域で整理されています。

 

また、幼稚園・こども園と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を具体的に示し共有することで、保育所保育関係者以外にわかりやすく子どもの姿を伝えることができ、保育所保育と小学校教育の接続を円滑に行うことができます。

<3歳以上児のねらいと内容> ~保育所保育指針:厚生労働省 より抜粋

健 康

 ねらい

  1. 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
  2. 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
  3. 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する。

 内 容

  1. 保育士等や友達と触れ合い、安定感をもって行動する。
  2. いろいろな遊びの中で十分に身体を動かす。 進んで戸外で遊ぶ。
  3. 様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。 保育士等や友達と食べることを楽しみ、食べ物への興味や関心をもつ。
  4. 健康な生活のリズムを身に付ける。
  5. 身の回りを清潔にし、衣服の着脱、食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする。
  6. 保育所における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。
  7. 自分の健康に関心をもち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
  8. 危険な場所、危険な遊び方、災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。

 

人間関係

 ねらい

  1. 保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  2. 身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ。
  3. 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。

 内 容

  1. 保育士等や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
  2. 自分で考え、自分で行動する。
  3. 自分でできることは自分でする。
  4. いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
  5. 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共に共感し合う。
  6. 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
  7. 友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。
  8. 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。
  9. よいことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。
  10. 友達との関わりを深め、思いやりをもつ。
  11. 友達と楽しく生活する中で決まりの大切さに気付き、守ろうとする。
  12. 共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う。
  13. 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。

 

環 境

 ねらい

  1. 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で、様々な事象に興味や関心をもつ。
  2. 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。
  3. 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。

 内 容

  1. 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
  2. 生活の中で、さまざまな物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
  3. 自然などの身近な事象に関心をもち、取り入れて遊ぶ。
  4. 身近な動植物に親しみをもって接し、生命の尊さに気付き、いたわったり、大切にしたりする。 日常生活の中で、我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。
  5. 身近な物を大切にする。 身近な物や遊具に興味をもって関わり、自分なりに比べたり、関連付けたりしながら考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
  6. 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。 日常生活の中で簡単な標識や文字などに興味をもつ。 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
  7. 保育所内外の行事において国旗に親しむ。

 

言 葉

 ねらい

  1. 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  2. 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
  3. 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、保育士等や友達と心を通わせる。

 内 容

  1. 保育士等や友達の言葉や話に興味や関心をもち、親しみをもって聞いたり、話したりする。
  2. したり、見たり、聞いたり、感じたり、考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
  3. したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。
  4. 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
  5. 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。
  6. 親しみをもって日常の挨拶をする。
  7. 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
  8. いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
  9. 絵本や物語などに親しみ、興味をもって聞き、想像をする楽しさを味わう。
  10. 日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。

 

表 現

 ねらい

  1. いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
  2. 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  3. 生活の中でイメージを豊かにし、さまざまな表現を楽しむ。

 内 容

  1. 生活の中で様々な音、形、色、手触り、動きなどに気付いたり、感じたりするなどして楽しむ。
  2. 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ、イメージを豊かにする。
  3. 様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
  4. 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりなどする。
  5. いろいろな素材に親しみ、工夫して遊ぶ。 ・音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
  6. かいたり、つくったりすることを楽しみ、遊びに使ったり、飾ったりなどする。
  7. 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。

 

 

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)とは

  1. 健康な心と体
  2. 自立心
  3. 協同性
  4. 道徳性・規範意識の芽生え
  5. 社会生活との関わり
  6. 思考力の芽生え
  7. 自然との関わり・生命尊重
  8. 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
  9. 言葉による伝え合い
  10. 豊かな感性と表現

これらは、達成しなければならない目標ではなく、あくまで育ってほしい方向性を示したものです。

 

保育の質を高めていくためには、子どもの実態にあわせて保育計画を作成し、実践。振り返って子どもはどんな様子だったかを評価し、その結果を踏まえた改善を次の計画へ反映させていくことが重要です。

 

そのために、保育所ではこの10の姿を意識した保育計画の立案し、評価をしていくことが大切です。

③健康及び安全の記載の見直し

アレルギー児への対応、感染予防や食育、災害への備えなどの子どもの健康と安全についての内容が充実化されました。保育者は、乳幼児一人ひとりの健康を観察しながら、定期的に成長・発達を確認します。

 

そして、子どもが自らの体や健康に興味を持ち、心身の機能を高めていけるよう適切な援助を行っていく必要があります。こういった健康な身体をつくるための支援には、食育の推進も欠かせません。

 

そして、重大事故につながらないよう園内外の活動において、安全管理、事故防止に努めること、防災のための日ごろからの備えや災害発生時の対応体制を地域や自治体と連携していくことが求められています。

④保護者支援から地域の子育て支援へ

2017年(平成29年)に改定される前の保育所保育指針で示された「保護者に対する支援」の章が「子育て支援」へと変更されました。

 

基本的には、改定前の「保護者に対する支援」の内容を踏襲していますが、保育所は預かっている園児の保護者支援だけでなく、地域に住む親子も支援する機関として、記載内容が充実化しています。

 

核家族化や地域のつながりの希薄化によって、子育てで頼る人がいない人や育児不安を抱える人などを、保育所の専門性を生かして、子育て相談や一時預かりなど開かれた子育て支援をする役割が求められています。

 

また、外国籍家庭や発達支援など個別のニーズに対応することや児童虐待などには児童相談所などと連携し、適切な対応を図ることなどが示されています。

⑤職員の資質・専門性の向上についての記載内容の充実

保育所の役割は子育ての一端を担うだけに留まらず、保護者に対する支援、地域における子育て支援など多様化しているということは、先ほど触れました。

 

こうした状況の変化に対応するためには、保育所で働く職員一人ひとりの人間性と専門性を向上させていく必要があります。

 

人間性と専門性は目的をもって会社や外部の研修に参加したり、専門書による勉強をしたり、先輩や同僚からの指導・アドバイスを素直に聞き入れたりして得られるものです。そのためには何よりも、自ら学び成長するという姿勢が重要になってきます。

 

また、職員のキャリアパスを見据えた研修計画の作成を行い、園長など管理職のもとで組織的に実施していく体制を構築しなければなりません。

⑥「養護」の大切さの再徹底

上記5つの改定の方向性に加えて、新たに養護についても明記されました。これは、養護は保育の基盤であり、保育所保育指針全体にとって重要と判断されたためです。

 

保育者は、乳幼児期の子どもたちを一人の人間として尊重し、この時期にふさわしい経験ができるよう丁寧に援助してあげる必要があります。そのためにもしっかりと子どもたちを守り、支えようとすることが重要です。

 

自らの保育を振り返ったり新しく保育計画を立てたりする際は、養護と教育は切り離せるものではないと考え、養護に関するねらいや内容を踏まえた保育を心がけましょう。

⑦「災害への備え」の新設

災害への備えは、子どもたちの育つ環境の変化や安全な保育環を確保するために、新設されました。

 

保育者は施設や設備などの安全を確保すること、災害が発生したときの対応方法や避難へ備えておくこと、また、いざというときは地域にある関係機関との連携が重要になります。

 

そのため、日ごろから定期的に施設の安全点検を行ったり、保育所の特性に合わせて起こりうる災害の種類や危険度を確認し、全職員で共有したり、マニュアルを作成するなどして、しっかりと対策しておきましょう。

より手厚い保育を実現するためにICTを活用してみませんか?

 

子どもたちと毎日楽しく過ごすためには、日ごろの活動だけではなく、今回紹介した保育所保育指針に変更などがあればその都度見直したり、万が一に備えるための準備をしたり、するべき業務はたくさんあります。

 

しかし、そのための時間を確保するのが難しくて、悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。子どもたちと遊べる時間が減って業務に時間を取られてしまうと、気分も落ちてしまいます。

 

そういった場合に株式会社CHaiLDの保育業務システム(Child Care System)を利用すると、大幅に業務の負担が減って、これまでよりも子どもたちと触れ合えるようになるでしょう。

 

例えば、CSS NOTEという連絡帳アプリを利用すれば、日ごろの欠席連絡管理や朝の電話対応の手間が省けるだけではなく、緊急時の連絡はクラスや園単位で一斉送信が可能です。

 

また、既読確認機能も付いているため、どの家庭がまだ見れていないかをその場で確認でき、次するべき対応が迅速にできます。加えて、保育士全員で園内の状況を把握できることもおすすめのポイントです。

 

ICTシステムを活用して、より抜けのない手厚い保育をするために取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

 

保育所保育指針とは、保育所保育の基本となる考え方や保育のねらいと内容、そして保育所運営に関する事項について定めたものです。

 

2017年(平成29年)保育所保育指針では、保育所も幼稚園や認定こども園と同じく、教育施設であると位置づけられたことがポイントなので、5領域と10の姿を抑え、理解を深めましょう。