11月に入った頃から街は徐々にクリスマスの装飾で彩られていきます。保育士も12月に保育園で行うクリスマス会の計画や準備で忙しくなる頃ではないでしょうか。
この記事を読むことで、クリスマス会でやるべきことを明確にして、効率良く準備を進められます。ねらいに沿った楽しいイベントを実現させましょう。
今回は、出し物やゲーム、プレゼントなどを企画し、子どもたちの記憶に残るクリスマス会を開催するための要点や具体案をまとめました。
子どもに自慢できる豆知識!クリスマスってそもそも何の日?
クリスマスは、イエス・キリストが生まれたことを祝う日として知られています。所説ありますが、古代ローマで冬至の頃に行われていた行事にイエス・キリストの誕生日を合わせたことで、クリスマスが定着してきたとされています。
クリスマスが日本で広く祝われるようになったのは、明治時代に入ってからです。しばらく経ってから教会や日本に住んでいた外国人の手から離れていき、広まっていきました。そしてクリスマス用品の輸入をきっかけに、一般の人々にも浸透していったと言われています。
またクリスマスというイベントの中には、サンタクロースが登場したりクリスマスツリーが置かれたりしますが、それらにも由来があります。
少し難しい内容であるため、人形劇や紙芝居などを用いて簡単にまとめてあげると子どもたちにも伝わりやすいです。
今年のクリスマス会でのねらいはなに?
保育園のクリスマス会でのねらいは3つあります。1つ目はクリスマスというイベントに対し興味を持たせ、参加させることです。西洋文化を体験したことがない子どもたちにとってクリスマス会は視野を広げるチャンスです。
2つ目は保育者や他の子どもと一緒に祝いクリスマス会を楽しむことです。日本でのクリスマスはパーティーやプレゼント交換など盛り上がるイベントとして定着していますが、園児の中には初めて経験する子どももいます。
クリスマス会の企画内容を工夫すれば、乳児から幼児クラスまでの子どもたちみんなが楽しい時間を過ごせます。また、参加しながら感じたうれしい気持ちを、一緒に過ごした友だちと共有できるでしょう。
3つ目のねらいは年中行事の体験です。イベントを通して12月25日がクリスマスであることや、どのような日なのかを知ることができます。
クリスマス会で何をする?出し物を決める流れを紹介
出し物を決めるには条件を絞る必要があります。考えなければならない点は下記の4つです。
・出し物をする人
・定番と新しい出し物のどちらにするか
・出し物をするクラス
・保護者参加の有無
ここからは出し物決定までの流れを詳しく紹介していきます。
出し物のメインは子ども?保育士?サンタさん?
クリスマス会の出し物について計画する際は、誰をメインにするのかを最初に考えましょう。子どもがメインの出し物にするか、クリスマスにちなんだ出し物を保育士が用意するか、サンタさんを中心にするかで内容は大きく変わってきます。
一般的には、みんなで盛り上げていくため、子どもたちと保育士の両方でそれぞれ1つずつ出し物をするケースがほとんどです。保育士の出し物をメインにする場合も子どもたちに手伝ってもらい、一緒に作っていくとより楽しくなります。
出し物の内容は毎年しているもの?今年、初めてのもの?
次に、毎年恒例の出し物を引き続き実施するか、新しい出し物にするかを決めます。子どもたちの喜びそうな要素を取り入れた新しい出し物を手掛けたくても、実行するのはなかなか難しいです。ゼロから作り上げるには手間や時間がかかり、相当な労力を必要とします。
保育園恒例の出し物がある場合は、前年度までの内容を先輩の保育士に確認をしておきましょう。同じ出し物であれば前例に従って進められることができ、先輩から助言を受けられる分、新しいことを手掛けるよりも余裕を持って準備できます。
新しい出し物にチャレンジする場合は、恒例の出し物をベースにしアレンジしてみましょう。一部分だけ変更し、新たなアイデアを加えた出し物であれば、他の保育士の同意を得やすいのではないでしょうか。
出し物をするのは全クラス?
出し物は、乳幼児もするのか、クラスで区切るのかも考えます。保育士と幼児クラスが出し物をし、乳児クラスは見るだけなどあらかじめ決めておきましょう。物事に集中できる時間の短い乳児クラスは、別プログラムでの開催を検討してみるのも1つの手です。
クラスで分ける場合は、保育園生活におけるリズムの違いにも気をつけます。昼食時間の早い乳児クラスの子どもたちが出し物をするのは、クリスマス会前半の早い時間帯が望ましいです。
保護者も参加するの?
保育園のクリスマス会は、園によって保護者が参加する場合もあります。保護者参加型のクリスマス会にする際は、できるだけ早く保護者へ知らせましょう。クリスマス会で使う物、持たせてほしい物に関する連絡も早めにします。
保護者は、季節の行事に参加する子どもの様子についてのお知らせを楽しみにしています。保護者が参加しないイベントであっても、子どもの成長ぶりを伝えられるように、制作物や楽しんでいる姿を写真に収めておきましょう。
クリスマス会の進行プログラム
クリスマス会をスムーズに進めていけるように、進行プログラムを用意しましょう。内容や順番は企画によって異なりますが、会の最初は始まりのあいさつからスタートするのが一般的です。
あいさつの後は園児、保育士、保護者の出し物、サンタクロースからのプレゼントやプレゼント交換、記念撮影、クリスマスソングの合唱や合奏などを盛り込み終わりのあいさつで締めくくります。
途中で飽きてしまわないよう、子どもたちの興味をそそるような出し物や参加できる遊びを取り入れて、イベントを盛り上げていきましょう。
真っ赤な衣装を身につけたサンタクロースの登場は、子どもたちのテンションが高まる場面です。しかし、サンタクロースがどのような人か知っている幼児クラスの子どもたちと乳幼児で反応は異なります。
そのためにこやかに登場しても、サンタクロースの存在を知らない乳幼児は怖がる場合があります。また、乳幼児の中には人見知りの時期に入っている子どももいます。保育士が触れ合いを楽しめるよう手助けし、サンタさんに対し親しみを感じられるようにしていきましょう。
1つのことに集中させるのが難しい乳幼児を参加させるときは、早めにサンタクロースを登場させるのがポイントです。
クリスマス会のときにおすすめの出し物
クリスマス会の出し物は、子どもと大人ではできる内容が違います。子ども用は取り組みながら楽しめる出し物、先生や保護者用は園児へのクリスマスプレゼントとして特別感のある出し物を考えましょう。
それぞれの詳しい内容を以下で紹介していきます。
子どもの出し物
- ダンス
- 合唱
- 合奏
- 劇
- キャンドルサービス
- ファッションショー
子どもの出し物は、年齢に合わせてできる範囲で選びましょう。たっぷり体を動かして踊れるダンスは、活発な子どもたちにおすすめです。クリスマスにちなんだ曲を選び、リズム体操の時間を使って練習しましょう。
合唱は、普段控えめな子どももみんなと一緒に大きな声で歌えます。子どもたちがよく知っているクリスマスソングを選びましょう。
簡単な楽器を使った合奏は、各パートでの練習が必要です。そのため子どもたちは、間違えないよう集中して取り組もうとしてくれます。
セリフや流れを覚えなければならない劇は、準備に時間を要しますが、力を合わせてやり遂げるという貴重な経験ができます。
少し違った出し物として、年齢の高いクラスによるキャンドルサービスや、クリスマスの衣装を身につけてのファッションショーなどもあります。幼児クラスでは出し物の他、夢中になれるゲームもおすすめです。
先生や保護者の出し物
- ペープサート
- パネルシアター
- ブラックパネルシアター
- 劇
- 人形劇
- 合奏
- 手品
- ダンス
見ている子どもたちが喜ぶ出し物は、数多くあります。クリスマス会の準備の合間で練習するため、時間的な余裕も考えて決めましょう。
例えば、ブラックライトで蛍光色の絵を浮かび上がらせるブラックパネルシアターは、クリスマスムードを高めるのに適しています。パネルシアターや声をかけながらできるペープサート、手袋を利用した人形劇や保育士による劇も子どもたちに人気です。
特技を活かせる楽器の演奏も、子どもたちへの素敵なプレゼントになります。ハンドベルやグラスハープへ挑戦すると、クリスマスらしい美しい音色を届けることができます。
ちょっとした手品も、子どもたちは興味津々で見てくれます。身近な物を使ってできる手品をみつけてみましょう。
クリスマスの衣装を身につけ、子どもたちの好きなクリスマスソングに合わせて簡単に覚えられるダンスもおすすめです。
クリスマス会のときにおすすめのゲーム
クリスマス会向けのゲームはいろいろありますが、園児みんなで参加できると更に盛り上がるのではないでしょうか。全員で参加するのが難しいゲームは、年齢で分けることも可能です。
ここでは子どもが夢中になれるゲームについて紹介します。
プレゼントを運ぶリレー
プレゼントを運ぶリレーは電車ごっこのように、ひもをかけてそりでプレゼントを運ぶゲームです。段ボール箱とひも、プレゼント用の袋や箱を用意してそりを作ればゲームを始められます。
段ボール箱の側面に開けた2つの穴にひもを通して輪にし、プレゼントを乗せればソリの完成です。コースを用意し、チームに分かれてリレー形式でプレゼントを運ぶとみんなで盛り上がれます。
宝探し
宝探しは、あらかじめ保育士が隠しておいた宝物を子どもたちが探し当てるゲームです。宝物はツリーの飾りやカラフルな箱など使用しましょう。チームで探し当てる宝物の数を競うなど、宝物につけた点数で競うことも可能です。
また、宝探しでクリスマスプレゼントを探してもらう方法もあります。探す個数を決めておくと、園児全員にプレゼントが行きわたりやすいです。
〇✖クイズ
2つのうちから正解を選ぶ〇✖クイズは、園児でも取り組みやすいゲームです。保育室内をテープやロープで区切って〇と✖に分けて問題を出し、子どもたちに正解と思う側へ移動してもらって答え合わせをします。
クリスマス会では、〇と✖で答えられるクリスマスに関連した問題を出してみましょう。年齢に応じた分かりやすい問いを考えておくのが、問題作りのコツです。
クリスマス会のときにおすすめのプレゼント
- 駄菓子
- プラバンキーホルダー
- シールブック
- 粘土
- どろだんご作成キット
クリスマスプレゼントの渡し方は大きく分けると、保育園側で準備しサンタさんから園児へ配る方法と、持ち寄った贈り物を交換する方法の2つがあります。
少ない予算内で揃えられる駄菓子は、クリスマスプレゼントとして選びやすいです。ラッピングによってクリスマスの雰囲気をプラスすると、保育園からのプレゼントとプレゼント交換用のプレゼントのどちらにも使えます。
手作りする時間がある場合は、プラバンを使ってクリスマスらしいキーホルダーを作成してプレゼントしましょう。100円ショップで材料を購入でき、作り方も簡単です。
プレゼントを交換する場合には、保育園で決めた金額の範囲内で用意した物を持ち寄ってもらいます。もらった後で遊べる物だと、子どもたちはさらに喜ぶのではないでしょうか。
繰り返し貼って遊べるシールブックは、2歳くらいまでの子どもでも保護者と一緒に楽しめます。
年中組の子どもたちには、安心して遊べる素材で作られたカラフルな粘土もおすすめです。柔らかくて乾きにくい粘土は、幼児でも扱いやすいでしょう。
年長組になると、根気が必要なことにもチャレンジできます。完成後に絵を描けるどろだんご作成キットなどは、ぴったりのプレゼントになります。
クリスマス会の定番ソング
- サンタがまちにやってくる
- あわてんぼうのサンタクロース
- 赤鼻のトナカイ
- ジングルベル
- サンタクロースがやってくる
- いとまきの歌(クリスマスバージョンの替え歌)
- グーチョキパーで何作ろう(クリスマスバージョンの替え歌)
クリスマス会に使われる定番ソングは、厳かな雰囲気の曲から明るい曲まで幅広くあります。盛り上げたいときにはリズムに乗って歌ったり踊ったりすることのできる、覚えやすい曲を選びましょう。以下でいくつか例を紹介します。
「サンタがまちにやってくる」は、サンタさんからのプレゼントが待ち遠しくなるような楽しい曲です。日本語の歌詞の中に英語が混ざっていますが、歌詞として覚えてしまえば歌いこなせるようになります。
「あわてんぼうのサンタクロース」は、歌詞が5番まであるストーリー性のある曲です。サンタさんがどのような人なのかを知るきっかけにもなります。
「赤鼻のトナカイ」は物語をベースに作られた曲で、原題には本の主役である赤い鼻をしたトナカイの名前が含まれています。お話の出し物に合わせて取り入れるのもおすすめです。
「ジングルベル」は、クリスマスソングの中でも定番中の定番と言える曲です。保育園のクリスマス会でもよく歌われています。
「サンタクロースがやってくる」は少しゆっくりしたテンポの曲です。歌詞がわかりやすく、歌いながらクリスマスの情景を思い浮かべられます。
上記のようなテンポの良いクリスマスソングを歌うときは、簡単な振りをつけておくと更に楽しく歌えるようになります。
日頃から遊んでいる手遊び歌をクリスマスバージョンに変えても、園児みんなで楽しめます。「いとまきの歌」をクリスマスバージョンにし、サンタさんの服などを作ってみましょう。「グーチョキパーで何作ろう」も、クリスマスをイメージする物を作って遊べます。
サンタさんを呼ぶときのポイント
クリスマス会を盛り上げるには、サンタさんの登場の仕方にも一工夫必要です。子どもたちがワクワクするような登場方法を考えておきましょう。
サンタさんには園児に配るプレゼントを大きな袋に入れ、担いで登場してもらいます。最初にどこからともなく鈴の音が聞こえ、音が大きくなったところで姿を現すと、より盛り上がるでしょう。
この他、保育士が演じる劇にサンタさんを飛び入りで参加させると、園児たちはより目を輝かせてステージへ注目してくれます。
まとめ
クリスマス会は、年内最後に保育園で行う大きなイベントです。大勢が参加するクリスマス会は、家庭でのクリスマス会には味わえない楽しさがあります。
クリスマス会を通して西洋の行事に触れた子どもたちは、日本とは違う文化を知ることができ、たくさんの友だちと一緒に1つのことを成し遂げる素晴らしさも感じられるでしょう。
準備に時間は要しますが、子どもたちが満面の笑みで過ごせるクリスマス会になるよう力を尽くしましょう。