原始反射とは何か?

原始反射とは、赤ちゃんが生き残るため、また成長していくために必要とされる動きで、脳幹によってコントロールされます。

 

反射とは、本人が意識しているわけではなく、無意識に起こる特定の筋肉などが動く現象です。姿勢や知覚などによって何らかの刺激が与えられると、大脳に影響されることなく脳幹に伝わって起こるとされています。

 

赤ちゃんは生まれてすぐに外の環境に合わせることはできません。お腹の外という初めての環境でも生きられるように必要とされる反射がいくつかあり、それらをまとめて原始反射と呼んでいます。

原始反射が見られる時期はいつから?

原始反射は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時から出現しています。赤ちゃんがお腹の外の環境に適用するために必要なため、お腹の中にいる時から準備が始まっているのです。

 

原始反射にはいくつかの種類がありますが、すべてが一度に出るわけではありません。時期によって見られる原始反射は異なり、半年程度で見られなくなる原始反射もあれば1歳程度まで見られるものもあります。生後1年程度で原始反射が見られなくなるのが一般的です。

原始反射の主な種類

原始反射には、いくつかの種類があります。種類によって一般的に見られる時期が異なるため、どのような行動がいつまで見られるのか知っておくと便利です。

 

ここでは、原始反射の主な種類を紹介します。

非対称性緊張性頚反射

非対称性緊張性頸反射とは、あおむけに寝かせた状態の赤ちゃんの頭を左右のどちらかに向けると、向けた側の腕と足がまっすぐに伸びる反射です。反対側の腕と足は、曲がった状態になります。

 

赤ちゃんが産道を通る手助けをする目的があり、産まれた時から見られる原始反射です。非対称性緊張性頸反射は、2ヶ月から3ヶ月頃まで見られます。

モロー反射

モロー反射とは、赤ちゃんの頭を15cm程度持ち上げた後で急に頭を下げると、驚いたように指を伸ばして両手を広げた状態になることです。手を広げた後は、左右対称に何かに抱きつくような感じで腕を曲げます。

 

モロー反射は、大きな音がしたりバランスを崩したりするなどの刺激によって起こるのが一般的です。4ヶ月から6ヶ月頃まで見られます。

吸啜反射

吸啜反射とは、赤ちゃんの唇の辺りに何かが触れたり、刺激されたりすると、舌を出しておっぱいを吸う動作をすることです。母乳やミルクを吸うための動きのため、産まれた直後から見られます。

 

吸啜反射の前段階として、唇が刺激を受けた際に刺激の方向を向いて口を開ける、探索反射が見られるのが特徴です。4ヶ月から6ヶ月頃まで見られます。

足踏み反射

足踏み反射とは、赤ちゃんの脇の下を抱えて体を少し前に傾けて足の底を床に付けると、歩くような動作をする原始反射です。

 

主に新生児期に見られる原始反射で、多くの場合2ヶ月程度で見られなくなるのが特徴です。比較的早い時期のうちに、見られなくなる原始反射だと言えるでしょう。

手掌把握反射

手掌把握反射とは、赤ちゃんの掌に物が触れると反射的にぎゅっと握りしめる動作です。

 

実際に物が握れるようになると見られなくなるのが特徴で、3ヶ月頃には見られなくなります。遅い赤ちゃんでも、見られるのは5ヶ月から6ヶ月頃までです。

 

手だけではなく、足でも同様に親指の付け根付近を圧迫すると足の指が曲がる反射が見られます。これを足底把握反射と言い、3ヶ月頃に消失します。

原始反射のそのほかの種類一覧

ここまで紹介した原始反射以外にも、以下のようなものが見られます。反射の名称と、消失する時期を確認しましょう。

 

・陽性支持反応(2ヶ月頃)
・踏み出し反射(2ヶ月頃)
・逃避反射(3ヶ月頃)
・交差伸展反射(3ヶ月頃)
・ギャラン反射(4ヶ月から6ヶ月)
・引き起こし反射(成長に従って反応が異なる)

 

陽性支持反応は、足が床に付くように赤ちゃんの体を支えて体重がかかるようにすると、足の指を上げて足をまっすぐ伸ばし、立つような姿勢をする反射です。

 

踏み出し反射は、赤ちゃんの体を支えた状態で足をテーブルの端の裏側につけると、足を持ち上げてテーブルの上を歩くような動作をすることを言います。いずれも2ヶ月頃には見られなくなるのが特徴です。

 

逃避反射とは、赤ちゃんの足の裏を針のようなもので軽く刺激した時に、足を曲げて引っ込める動作を言います。交差伸展反射は、赤ちゃんの左右どちらかの膝を伸ばして同じ側の足底を大人の手で刺激すると、反対の足が曲がって刺激している手を払いのけるように伸ばす反射です。

 

ギャラン反射は、空中でうつぶせになるように赤ちゃんのお腹を支え、線を引くようなイメージで赤ちゃんの背骨の外側を刺激した時に見られます。赤ちゃんの身体が弓なりに曲がって、おしりを振っているような動作をするのが特徴です。

 

引き起こし反射は、赤ちゃんがあおむけになっている状態から両手を持って引き起こす際に見られます。成長するにしたがって、引き起こした時に首がついてくるようになります。

保育園での原始反射の対応・対策

原始反射は預かっている子どもの成長度合いを見る1つの指標となるため、保育士は原始反射について理解し、対応しなければなりません。

 

保育園ではどのような対応や対策をすべきか紹介します。

保育士向けの勉強会を開く

原始反射について保育園全体として理解を深めるには、保育士向けの勉強会を開く方法がおすすめです。勉強会を実施すれば、原始反射とは何か、いつ頃まで見られるものなのか、基礎知識が身に付きます。

 

保育の現場では1人で子どもを見るわけではありません。子どもの成長を見守るには、保育士同士での情報の共有も重要です。勉強会を開けば保育士全員の知識が高まり、情報を共有しやすい状況が作りやすいというメリットがあります。

園児の様子を記録する

原始反射に対する対応をきちんと実施するには、園児の様子を記録する方法もおすすめです。

 

原子反射は子どもの成長度合いを見るために役立ちますが、それがすべてではありません。他の要素もふまえて、子どもを全体的にとらえて成長を見ていく必要があります。園児の様子を記録すれば、客観的な情報が得られます。

 

記録があれば、普段と違った様子はないか、気になる点はないかなど、後からの確認も可能です。総合的な情報を見られるというメリットもあります。

保護者とこまめに情報共有をする

原始反射に対する対応をきちんと行うには、保護者とこまめに情報共有をすることも重要です。

 

原始反射は子どもによって見られる時期が異なります。また、はっきりと現れる子どももいれば、よく観察しなければわからない子どももいるため、保護者が不安に思う場合もあるでしょう。

 

保育士が記録した情報を連絡帳に記載するなどの方法で保護者に伝えれば、保護者が安心できる可能性もあります。また、保護者と情報を共有することで、より深く子どもを理解できるのもメリットです。

原始反射の注意すべきポイント

原始反射の注意すべきポイントは、見られるべき原始反射が現れない場合や、なくならない場合に、対応が求められることです。原始反射が現れる時期には個人差もありますが、一般的な時期と比較して大きく差がある場合には、何らかの問題がある可能性も考えられます。

 

原始反射は、随意運動が発達すると見られなくなるものです。原始反射だけがすべてではありませんが、気になる点がある場合は早めに専門機関に相談しましょう。

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保護者と保育士が綿密に関連を持とうと思っても、働いている保護者との間でスムーズな連絡を取り合うのは難しいこともあります。Child Care Systemを導入すれば、保護者の生活スタイルに関わらず連絡が取りやすくなります。

 

Child Care Systemは保育現場の声から生まれた保育業務支援システムで、保育園の業務を効率化するための多くの機能が備わっています。保護者との連絡も簡単にできるため、必要に応じて子どもの様子を共有すれば、原始反射に対しても適切な対応ができるでしょう。

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まとめ

原始反射は子どもの成長度合いと関わるため、内容や消失する時期について知っておくと保育に役立ちます。

 

個人差はありますが、一般的に出現する時期や消失する時期には目安があるため、現れない・なくならないなど気になる点がある場合は、専門家への相談も視野に入れなければなりません。

 

原始反射について基礎的な知識を得ていると、対応法も考えやすくなります。原始反射について知り、子どもの成長を見守りましょう。