保育士の仕事内容は子どもの保育以外にもさまざまで、書類の記載や整理などもあります。そしてその1つが、月案の作成です。

 

月案を作成することで、保育士はその月の保育の目的を明確化することができます。しかし、多忙な保育士にとっては月案の作成が負担となっている場合もあるのです。

 

今回は保育士が月案を作成するにあたって抱える悩みや疑問を紹介し、月案の効率良い書き方のポイントなどをまとめました。

保育園の月案とは一体なに?

 

保育園の月案とは、保育士が作るその月の計画表のことを指します。保育園には1年間の保育の計画やねらいがまとめてある、年間保育計画があります。保育士はその年間保育計画をもとに、その月の保育のねらいや活動内容を決めていくのです。

 

その決めたことをまとめたものは、月案と呼ばれます。月案には、子ども達がこの1か月で何を学び、どのように成長して欲しいかなどを記載していきます。

 

また、前月の子ども達や保育園全体の様子などを踏まえて考えられるトラブルなどもまとめ、その際の保育士の動き方や保護者への配慮などを記入する場合もあります。

月案の作成スケジュールは?いつ・どこで作る?

 

保育士には、子どもと触れ合う以外の時間にやらなければならないことが山のようにあります。その1つが月案の作成です。

 

月案は一般的に、前の月の第3週目や月末に書き出すことが多いと言われています。子どもの保育の隙間時間や、子どもが帰った後などに少しずつ書いていきます。

 

月案を書くことも仕事の一環のため、記入場所は基本的に職場である保育園です。しかし、日々の多忙さのあまり職場で書くことができず、家に持ち帰る保育士も多いと言われています。そのため月案を書くということを、ストレスに感じている方も多くいます。

 

月案は、その月の子どもへの保育についてまとめた大切な書類です。保育士の負担にならないよう、保育士同士で協力をするなどして作成していくことが大切です。

 

全年代に共通する月案の書き方のポイント紹介

 

月案は、子ども達がその月に学んで欲しいことなどをまとめたものです。そのため月案を作る対象が何歳児かによって、内容に違いが生じます。

 

しかしあまり難しく考えすぎると、月案ばかりに時間がかかってしまいます。月案はポイントを押さえ、簡潔に書くことが大切です。また内容に違いが出たとしても、全年代書き方は同じになります。

 

ここからは、月案の書き方のポイントについて紹介していきます。ポイントを押さえ、短時間で簡潔な文章で月案を作成していきましょう。

目的

まずは、その月の保育の目的を記載していきます。目的は、年間指導計画をもとに、子ども達がどのように成長してほしいかを具体的に書いていきます。

 

たとえば、「保育士とのより良い信頼関係を築くためにスキンシップを図る」なども良い目的と言えます。また、保育園では子ども達に、生活リズムを整えるよう指導していきます。そのため「時間通りに動くことの重要性を伝える」などを目的にするのも良いです。

前月末の子どもの様子

月案では前月の子どもの様子を振り返り、そこから次の月の計画を立てることが大切です。そのため前月の子どもの様子は、簡単でも良いので記載するようにしましょう。

 

子どもの様子は養護(生活)と教育(遊び)に分けると、分かりやすく簡潔にまとめることができます。

 

たとえば養護(生活)の場合は「食事は全部食べる子どももいれば、半分も食べてくれない子どももいた」などの食事についてや、お昼寝の様子について書くと良いです。

 

一方で教育(遊び)では、「壁につかまって立とうとする子どもが増えた」や「音の鳴るおもちゃが人気だった」など、子どもが自由時間に何で遊んでいたかなどについて記載していきましょう。

予想される子どもの様子

予想される子どもの様子については、前月の振り返りをもとに、今月はこのように成長するのではないかという内容を記載していきます。たとえば、先月音の鳴るおもちゃが人気だったとすれば、今月は「音楽に合わせて体を揺らす子どもがいる」などを予想することが可能です。

 

また、お友達の存在が気になる月齢の場合は「お友達と一緒に遊ぼうとしたり、お友達と笑顔で笑い合っていたりしていた」などでも良いです。

 

養護(生活)面でも、先月トイレトレーニングを頑張っている子どもがいたら、今月はトイレが1人でできるようになった姿を予想するのも良いでしょう。

活動の様子

活動の様子とは、その月に行う活動の内容のことです。保育士としてやりたいことはたくさんあるでしょう。しかし、活動の様子は欲張らず簡潔に書くことが大切です。

 

そして簡潔に書くためには、養護(生活)と教育(遊び)に分ける、その中でモノ・ヒト・健やかの3つの視点で書くことをおすすめします。

 

たとえば、養護(生活)ならば、「名前を呼ばれ反応することを学ぶ(ヒト)」という内容が良いです。教育(生活)は「いろいろなおもちゃに興味を持ち、触れてみる(モノ)」も、記載しやすい活動の様子の1つになります。

環境構成と援助方法

子ども達が、保育園で楽しく過ごしながらも成長していくためには、周りの環境や保育士の援助が必要不可欠になります。そしてそれらをまとめたのが、環境構成と援助方法です。

 

環境構成と援助方法も、活動の様子と同様、養護(生活)と教育(遊び)に分けて記載すると良いです。たとえば養護(生活)は、「食事の際に無理な声掛けはしない、食べようとしたら積極的にほめていく」と記載します。

 

教育(遊び)は「簡単な手遊びを、子どもたちが機嫌の良い時間帯に行い、言葉に興味をもってもらう」などと、保育士が子どもの成長のためにどのような援助をしていくかを具体的に記載すると良いでしょう。

健康・安全面で配慮すること

健康・安全面での配慮では、子どもたちが安全で健康に園生活を送れるよう、保育園側が配慮することや気を付けることをまとめていきます。保育園はたくさんの子どもが集まる場所です。そのため怪我や事故が発生しやすい場所でもあります。

 

また、季節によって流行する感染症などもあるため、季節に応じた感染症対策なども必要となります。

 

この項目の例文としては「インフルエンザなどの感染症が流行る時期は、外から帰ったらうがい・手洗いを徹底させる」などが良いでしょう。夏場の場合は、熱中症対策について記載するのもおすすめです。

 

一方、安全面の例文としては「怪我なく砂遊びができるように、砂場の整備を行う」なども良いです。

今月の絵本・歌・制作・手遊び・室内外の遊び

保育園の中には、月案で今月使用する予定の絵本や歌、そして遊びについてまとめなければならない場合があります。どの歌を使用し、どのような遊びを行うのかは保育士同士でよく相談し、決定するようにしましょう。

 

また保育園に通う子ども達は、心も体も成長しようとしている時期です。そのため、月齢に合ったもので子ども達の成長をサポートしてくれるようなものを選ぶと良いでしょう。以下は、2歳児クラスの6月の月案で使われる絵本などの例になります。

 

・今月の絵本
・ぞうくんのあめふりさんぽ
・おさんぽおさんぽ
・おつきさまこんばんは

 

・今月の歌
・あめふりくまのこ
・かたつむり
・ながぐつマーチ

 

・今月の制作
・にじの絵
・ねんどで好きなものを作る
・おりがみで七夕の準備をする

 

・今月の手遊び
・3匹のこぶた
・グーチョキパー
・バスにのって

 

・今月の室内外の遊び
・天気が良い日は園庭で水遊び
・アンパンマン体操を踊る
・雨の日は室内で、ボール運びリレーやカード探しを行う

 

その月に行う活動内容以外にも、実際に使う絵本や歌を事前に決めておくことで、その都度探す手間を省くことができます。そして絵本や歌は季節に合わせたものを選ぶと、子どもに四季を教えることもできるでしょう。

 

何を使ったら良いか分からないという場合は、前年度やその前の月案を確認し参考にしてみることや、先輩の保育士にアドバイスをもらうのもおすすめです。

食育について

食育では、食事の楽しさや大切さを子ども達に教えるために、保育士がどう動くかについてまとめていきます。

 

特に、月齢が小さい子どもの中には食べることにまだ興味がなく、食事がなかなか進まない子どももいます。そしてそのような子どもに食事の大切さを教えていくのは、保育士の大切な仕事の1つです。

 

食育の項目に書く内容としては「保育士やお友達と楽しい雰囲気の中で食事を行う」または「食べようとしている様子が見えたら声をかけてあげ、ほめてあげるようにする」などを記載すると良いでしょう。

 

また、食材に関する歌や手遊びも効果的なので、そのような内容を書くのもおすすめです。

地域や家庭との連携

子どもの保育は、保護者や地域の助けがあってこそ成り立つものです。そのため月案にも地域や家庭とどう連携していくのか、保育士としてどのような配慮が必要なのかを記載していきましょう。

 

たとえば、「登降園時に、保護者に今日の様子を一言でも伝えるようにする」といった、家庭への配慮について記載しましょう。

 

また、地域への声掛けとしては「制作で使う材料の用意をお願いする」などもよくある内容です。家庭への配慮に関しては、前月に保護者とのトラブルなどがあった場合は、その件を振り返り今月はどうするかを書くことも大切です。

自己評価をする

保育士の自己評価に関しては、厚生労働省の「保育所における自己評価ガイドライン」にもその重要性について書かれています。そのため月案にも、その月が終わった際に反省点を書き出し、自分や保育園の課題を見つけていきましょう。

 

たとえば、「暑い日は水分補給や汗を拭くことなどの声掛けはしたが、個人個人への配慮は不足していた」や、「忙しい日は、食事の際に楽しい雰囲気を作ることができなかった」などの内容を記載します。

 

保育士は、自己評価を行うことでその月を振り返ることができます。そしてその振り返りを、次の保育に活かしていきましょう。

月案を書く時のポイントとは?

箇条書きで読みやすいようにまとめる

保育士の仕事は文章を書くことも多く、苦手意識を持っている方もいるでしょう。そのため文章を書くのが苦手な場合、時間ばかりがかかってしまいます。

 

ただし、月案に関しては難しく考えすぎず、箇条書きで読みやすいようにまとめるだけで完成します。箇条書きならば、文章を作り上げる必要もなく、また読み手も整理されていて読みやすいです。

 

また、前月の振り返りなどは、思いついた時に適宜メモを取るなどしておくと後でまとめやすくもなります。そのためメモ帳を常に持ち歩いておくのがおすすめです。

各行事を意識する

保育園では各月に、季節を意識したさまざまな行事が行われます。子どもたちに季節の移り変わりや日本の伝統などを伝えることもできるので、行事を行うことはとても重要です。

 

また行事の中には、お泊り保育や発表会など、準備や当日を通して子どもたちが成長できるようなものもあります。特に発表会などは準備に時間がかかるので、その経験を通して子ども大きく成長することができます。

 

月案を記載する月にそのような行事があった場合は、行事を通してどのような能力が育まれるのかを意識して書いてみましょう。

ICTシステムやパソコンを利用する

一昔前まで、保育士のほとんどの書類業務は手書きでした。そのため前述したように、多忙な保育士は月案などの書類業務を時間内で終わらせることができず、持ち帰る方もいたと言われています。

 

しかし最近では、昨今のビジネスのIT化に乗るように、保育士の書類業務にもパソコンなどを使い便利さを重視するものも増えているのです。

 

ICTシステムと呼ばれる園児情報や、職員のシフト作成などを一括管理できるシステムの中の指導案作成機能を使い、月案の作成を行っている保育園もあります。

 

このシステムを使うと書類の一括管理ができるだけでなく、保育士同士がオンライン上で共有することもできます。手書きには手書きの良さがありますが、仕事の効率化を上げるためにはICTシステムやパソコンを利用するのも、1つの手と言えます。

保育を楽しくするサポートはChild Care Systemにお任せください!

 

保育園にICTシステムの導入を検討されているようであれば、Child Care Systemがおすすめです。Child Care Systemでは、700万件の子どもたちの情報と、1,000人の保育士がインプットし、分析したデータを使って保育をサポートしてくれます。

 

集められたデータは研究機関によって解析されます。

 

そしてChild Care Systemでは子どもの安心・安全面のサポートも充実しており、発熱予測を行ってくれます。CCS SENSERをご利用いただけると子どもの午睡の時にうつ伏せ寝を感知するだけでなく、翌日の体調不良の予兆を感知する機能もあります。

 

そのため、午睡チェックを保育士とCCS SENSERの二重チェックが可能になり、保育士の負担軽減につながります。

 

このようにChild Care Systemは、他のICTシステムにはない、個別最適化を重視したシステムになります。Child Care Systemを使うことで、子どもも保育士も、今まで以上に楽しい時間を過ごすことができるようになるでしょう。

まとめ

月案は、その月の保育を行う上で指針となる重要な書類です。しかし、多忙な保育士にとっては負担となっている場合もあります。そのため保育士は、月案をなるべく短時間で効率良く作成していくことが必要です

 

最近では、ICTシステムの活用も普及しているので、まだ使用していない場合は検討してみるのもおすすめです。月案を効率良く作成し、日々の保育にさらなる力を注ぎ、子ども達の成長をサポートしていきましょう。