保育参観は保護者に子ども達の日ごろの様子を知ってもらえる重要な行事の1つではないでしょうか。

 

そのため保育士は計画など事前準備をしっかり行うことが大切になってきます。この記事ではそんな保育参観を成功させるための当日までの流れや、年齢別の活動内容などをご紹介していきます。

 

この記事を読むことで、保育参観にしっかりと備えられるでしょう。ぜひ参考にして下さい。

保育参観のねらいって?

保育参観とは、保護者に保育園に来てもらい子ども達の日ごろの様子を見てもらう保育園の行事の1つです。そしてその保育参観を行うねらいはいくつもあります。

 

また保育園や子どもの年齢層によって重要視しているねらいには違いがあると言われています。まずは、どの年齢層にも共通している保育参観のねらいを3つご紹介します。

安心感を持ってもらう

保育参観の一番のねらいは、子どもの保育園での様子を保護者に見せることです。一般的に保護者は保育園での子どもの普段の様子を連絡帳や保育士の口から聞いた話でしか知ることができません。そして時には様子が見られないことが不安に感じることもあるでしょう。

 

しかし保育参観に参加することで、子どもが保育園でどのように過ごしているのかを知ることができます。そして実際に子どもの様子を自分の目で見ることで、安心することもできるでしょう。またその安心感は保育士への信頼にも変わり、信頼してもらうと保育士の指導にも理解をしてくれることが増え、保育士も子どもを預かりやすくなります。

他の保護者とふれあう

保護者同志がふれあい、コミュニケーションをとってもらうというのも保育参観のねらいの1つです。保育園に子どもを預けている保護者は仕事など子育て以外で日々忙しくしている方が多いです。そのため、保護者同志で触れ合う機会がなく過ごしている方もいます。

 

保育参観ではそのような保護者達がコミュニケーションをとる場としても利用することができます。保護者同志仲良くなることでお互いの子育ての悩み相談などもすることもできるでしょう。また保育園側としても保護者同志が仲良くなり、保育園の指導にも協力をしてくれることが増えると助かることもあるでしょう。

園での様子を知ってもらう

保育参観に出席すると保護者は、園での様子を見ることができます。子どもの様子はもちろんのこと、保育士の子どもとの接し方や指導の仕方も知ることができるでしょう。

 

子育ての考え方は人それぞれです。そのため時には保護者側も保育士の指導の仕方に違和感を覚えることがあります。

 

しかし実際に見てもらうことで、その違和感を解消することもできるでしょう。またそれでも疑問や不安に思った時は保育参観で直接話すこともできます。
通常の日ではゆっくり見たり話したりできないことで生じる違和感などを解消するためにも、保育参観は必要な行事の1つと言えるでしょう。

コロナ禍で保育参観が行えない場合は?

昨今のコロナ禍では、保育参観など人が多く集まる行事を中止にする場合もあります。そのため保育園の中では、オンラインを使って上手に子どもの様子を伝えているような園が多くあります。

 

たとえば、ブログです。ブログを使い、子どもの様子を画像と短い文章で伝えます。定期的にブログをあげることで、今日子どもが何をしたのかを知ることができます。またブログならば仕事などの忙しい保護者でも、昼休みなどに簡単に確認をすることができます。

 

他にも、子どもの様子をオンラインで配信するという園もあります。オンラインでの配信の魅力は、遠方に住む祖父母などでも見ることができるという点です。

 

また、保護者が実際にそこにはいないので保育参観よりもさらにリアルな子ども達の様子を見ることができるのも魅力の1つでしょう。

保育参観を実施するまでの流れ

日程を決めて日案を立てる

まず保育士は、保育参観を行う日程を決めるところから始めます。日程が決まったら、当時に行うことや指導案、達成基準などを考えます。

 

そしてその日に行うことと、流れを考え計画を練っていきます。計画は、保育参観だからと言って保育の内容は特別なものにしすぎないよう注意が必要です。

 

また保護者への対応や配慮などもまとめておくと当日役に立つでしょう。
普段の様子を知ってもらえるために何をしたら良いかを考え、日案は検討をするようにしましょう。

おたよりで通知する

日程やだいたいの当日の流れが決まったら、おたよりで保護者にお伝えをします。保育園に子どもを預けている保護者の多くが仕事などをしています。そのためおたよりはなるべく早い段階で、遅くても1か月前には渡すようにしましょう。

 

またおたよりの内容は分かりやすく簡潔なものにしましょう。分かりにくいものや、手が凝りすぎていると保護者からの質問攻めにあう可能性もあるので注意が必要です。

準備を行い予行演習する

おたよりを渡したら、あとは当日に向けて準備を行います。準備で行わなければならないことにはいろいろとありますが、その1つが環境整備です。

 

保護者が通る場所の備品の整備や感染対策のための準備も行います。また保育参観は保護者が園の中で滞在できる数少ない行事の1つです。そのため子どもが作成した作品などを展示しておくのも良いでしょう。

 

そして、一度予行演習もしておきましょう。予行練習では時間配分や当日の保育士の動き方などを確認しておくと当日スムーズに動くことができます。

当日のトラブル対応を確認しておく

たくさんの保護者が集まる保育参観では、トラブルが発生する可能性もあります。たとえば、保護者同志で話が弾んでしまい、参観中にもおしゃべりをし続けてしまう場合もあります。
そのようなトラブルを思いつくだけあげ、対応方法などをまとめておくと安心です。

 

また、トラブル回避のために事前に注意事項などを保護者に伝えておくのも良いでしょう。当日なるべくスムーズに全てが終わるよう、思いつく事前準備は行っておくことをおすすめします。

保育参観で保育士が注意すべきこと

 

参加できない保護者にも配慮する

保育園に子どもを預けている保護者は仕事をしている方が多く、どの曜日を選んだとしてもすべての保護者にとって都合が良いとは限りません。そのためどうしても出席をすることができないという保護者もいるでしょう。

 

保育参観に参加できないと保護者は子どもに申し訳ないと思うことが多いです。また子ども側も、自分だけ保護者がいないと寂しい思いをするでしょう。

 

そのため保育参観後に保護者に当日の様子などを個別で伝えてあげるなど配慮をしてあげることが大切です。また子どもにも寂しい思いをさせないように保育士がフォローしてあげると良いでしょう。

トラブル対応は冷静に対処する

どんなに事前にトラブル回避のための対策を行ったとしても、当日思いもよらないトラブルが発生してしまう可能性もあります。その際は、保育のプロとして必ず落ち着いて冷静に対応をするようにしましょう。

 

また、いつもであれば子ども同士のけんかなどは仲裁に入らないという保育士もいるでしょう。しかし保護者の前で子どものけんかを放置していると、保護者は保育士の対応に不安を感じてしまう場合もあります。そのため、保育参観の際は保護者に安心してもらうためにも、子ども同士のけんかが大きくなる前に声をかえるなどの配慮はすると良いでしょう。

清潔感のある服装を心がける

どんな保護者でも自分の子どもを清潔感のない保育士に預けたいとは思わないでしょう。そのため保育参観の日は、いつも以上に保育士は服装や身だしなみに気を付けることが大切です。

 

しかしスーツなど、通常とかけ離れた服装をするのは避けましょう。いつもと同じような服装の中で清潔感を感じさせることがポイントです。

 

たとえば、洋服が汚れていないか、髪の毛は乱れていないかなどはお互いに確認をしておきましょう。また社会人の身だしなみとして、メイクは必要です。軽くメイクをし、見だしなみを整えて当日は迎えるようにしましょう。

保育参観に最適な活動やふれあい遊びは?

0歳児の場合

0歳児は、子どもによってできることの差がある時期でもあります。ハイハイができる子もいれば、まだお座りしかできないような子もいるでしょう。

そのため保育参観では何か特別な活動を行うというよりかは、いつもの様子を見せてあげると良いでしょう特に0歳児の場合は、子どもを保育園に預けたばかりのような保護者もいます。

 

そしてその保護者の中には子どもが保育園でちゃんと生活ができているかどうか不安に感じている方もいます。そのため普段のおむつ替えや、ミルクの時間など普段の保育園での生活をみせてあげることで不安を解消してあげましょう。

 

また0歳児の場合は保護者の顔を見ると泣いてしまうような子どももいます。普段の様子を見せるために、窓からこっそり見てもらうなどの配慮をするのも良い案でしょう。

1歳児の場合

1歳児は、0歳児の時に比べてできることも増え子ども達が活発になる時期でもあります。そのため、ボール遊びやマット運動など、普段子どもが楽しそうにしている遊びを保育参観で取り入れるのも良いです。

 

また、1歳児は離乳食が進み食事の楽しさを感じる時期でもあります。そのため、保育園での食事の様子を保護者に見せるのもおすすめです。保育園でどのようなものを食べているのか、どのように食事のサポートをしているのかを知ってもらう良い機会にもなります。

 

また家ではご飯をあまり食べない子どもでも保育園では食べてくれる場合もあります。保育園で食事を楽しむ姿を見ると保護者も安心するでしょう。

2歳児の場合

2歳児になるといわゆるイヤイヤ期で子どもとの接し方に多くの保護者は悩む時期でもあります。そして保護者の中には保育園で保育士や他の友達とどのように触れ合っているのかを知りたいと思っている方も多いでしょう。そのため2歳児の保育参観では、普段の様子を見せながら保育園ではちゃんと成長しているという様子を見せられる内容にすると良いです。

 

たとえばみんなで覚えたお歌やダンスを保護者に披露するのも良いでしょう。また、保護者も一緒に参加してもらうと親子で楽しい時間を過ごすこともでき、イヤイヤ期で生まれた親子の溝を解消できる可能性もあります。他にもトイレトレーニングの様子やお着替えなど、自分でできることが増えた様子も見てもらうのもおすすめです。

3歳児の場合

3歳児になると、子ども達は2歳児の時以上に集団で行動をすることができるようになります。そのため保育参観ではその成長した様子を見てもらうと良いでしょう。

 

たとえばだるまさんがころんだや、いす取りゲームなどで遊んでいる様子を見てもらうのも良い案です。1つのゲームのルールを理解しみんなで遊んでいる姿を見ると、子どもの成長した姿に感心することもあるでしょう。

 

しかし一方で、この時期は成長の差が出やすい時期でもあります。そして運動や言葉の差で他の子どもと自分の子どもを比べ不安を感じている保護者も多いです。そのため難しいルールのゲームや、勝敗がつきやすい遊びを選ぶのは避けるようにしましょう。

4歳児の場合

4歳児になると、子ども同士で遊べることも増え、友達同士で遊ぶ楽しさを感じ始める時期です。そのため4歳児の保育参観では、子ども同士だけで遊んでいる様子などを見てもらうと良いでしょう

 

また中には友達と上手に遊べないような子どももいます。そしてそのような子どもをそのまま放置して保育参観当日を迎えると、保護者の不安を仰ぐだけになってしまいます。

 

そのためそのような子どもは保育参観の前から注意深く観察をし、声をかけてあげるなどの配慮をしてあげましょう。

 

そして全体での活動内容としては、3歳児の時よりも少し難易度があるルールを持つゲームなどをみんなで行うのもおすすめです。保護者も一緒に参加してもらうと、親子で楽しい時間を過ごすこともできるでしょう。

5歳児の場合

5歳児は、保育園で過ごす最後の年です。そのため保育参観では保育園で過ごして成長した姿を見てもらえるような特別な活動内容にするのもおすすめです。

 

たとえば、お店屋さんごっこです。グループに分かれて子ども達で相談をしてもらい1つのお店屋さんを作ってもらいます。そして保護者にお客さんになってもらうのも良いでしょう。みんなで協力して作り上げたものを見ると、保護者も子ども達の成長した様子に感心をするでしょう。

 

また他にも、保育園の最年長学年として、下の学年の子ども達と触れ合う様子を見てもらうのも良いです。お兄さんお姉さんとして下の子どもと遊ぶ様子を見てもらい、子ども達が大きくなったことを実感してもらうのもおすすめです。

【例文付き】保育参観で挨拶する際のコツ

明るくハキハキとした態度を心がける

たくさんの保護者を前に挨拶をすることは、たとえ保育士歴が長いとしても緊張してしまう場面の1つでしょう。しかし、挨拶はどんなに緊張をしても明るくハキハキと話すことが大切です。

 

どんな保護者でも、もごもご小さな声で話す保育士には不快感を持たれてしまいます。そのため挨拶は保育のプロであるという自信をもってしっかり行うようにしましょう。

 

またどうしても緊張してしまう場合は、挨拶で緊張していることを伝えるのも良いでしょう。緊張していても頑張っている姿を見ると保護者は好印象を持つ可能性もあります。

お礼や自己紹介などは手短に伝える

保護者は忙しい中子どもの様子を見に保育参観にやってきます。そのため保育士の挨拶や自己紹介などは簡潔になるべく短めに伝えると良いです。ダラダラ話してしまうと、子どもだけでなく保護者も飽きてしまいます。

 

また挨拶は、保育参観に来てくれたことへのお礼から始めるようにしましょう。そしてその後簡単な自分の自己紹介を行い、日ごろの子どもの様子と保育参観で行う内容について述べると良いです。

 

時間としては1分程度にまとめることをおすすめします。挨拶がうまくまとめられないという場合は、同僚や先輩などに一度聞いてもらいアドバイスをもらうと良いでしょう。

子どもの様子を絡めた挨拶をする

挨拶では子どもの普段の様子を語るのも良いです。保護者は保育参観で自分の目で子どもの様子を見たいと思うのと同じくらい、普段の様子も知りたがっています。そのため挨拶の中にも簡単に子ども達の日々の様子を交えて話すようにしましょう。

 

またその際にネガティブな発言は避けましょう。保育参観の最初の挨拶からネガティブな発言をしてしまうと、保護者は保育園や保育士に対して不快感を持つ場合があります。

 

たとえば、「騒がしい、うるさい」などの言葉ではなく、「賑やか、元気いっぱい」など伝え方にも注意をすると良いでしょう。

保育参観後の懇談会でよくある質問と回答例

子どもが身の回りのことができないという質問

保護者からの質問の中には、他の子どもと自分の子どもを比べてしまうような内容のものもあります。その中の1つが、自分の子どもだけ他の子どもに比べて身の回りのことや自分のことができないという内容です。

 

そしてこのような質問に「ご自宅で手を出しすぎなのでは」というような保護者を責める内容の回答は避けましょう。子どもができないのは保護者のせいという回答は、保護者の育児への自信をなくしてしまう可能性があります。また責められたと思い、保育士に対し信頼を感じなくなってしまう場合もあるでしょう。

 

また子どもは子どもの成長スピードがそれぞれあります。のためこのような質問には「1つずつできている」「良く頑張っている」など、少しずつ子どものペースで成長をしているということを伝える内容の回答をすると良いでしょう。

保育園に子どもを預けることに悩んでいるという質問

保護者の中には保育園に小さな子どもを預けていることに後ろめたさを感じているような方もいます。そのため懇談会で、そのような保護者が保育園に子どもを預けていること自体についてどう思うかを保育士に問う場合もあるでしょう。

 

そしてこのような質問に対して、保育園に子どもを預けていることを完全否定するような回答を保護者にはしてはいけません。保護者はすでに自分の後ろめたさで心がいっぱいになっています。そのためこのような質問をされた場合は、保護者の気持ちを汲み取り優しく回答することが大切です。

 

たとえば、「お気持ちも理解できますが、保育園でもしっかり成長をしています。」や「今後も全力でサポートさせて頂きます。」などは良い回答例です。保育園も一緒に育児に参加させてもらいますという気持ちを保護者に伝えると良いでしょう。

けんかが多くトラブルが起きないか心配しているという質問

保育園はたくさんの子どもが集まる場所です。そのため子ども同士のトラブルは避けることができません。そして中には子ども同士のけんかなどのトラブルを心配する保護者もいます。

 

このような質問をされた場合は、「けんかも人との接し方を学ぶためには必要である」といった内容を伝えるようにしましょう。また一方で「保育園でも困っているんです。ご自宅でも注意をして下さい。」といったような保護者の不安を仰ぐような回答は避けるようにしましょう。

 

そして続けてけんかをした際の保育園側の対応方法などを伝えるのも良いです。たとえば、必ず両者から話しを聞くようにする、けんかしたら最後は謝ることを教えているなどを伝えましょう。保育園側の対応方法を知ることで保護者も安心することもできます。

まとめ

保育参観は保育士にとって、特に緊張する行事の1つです。しかし一方で保護者に保育園での子どもの様子を知ってもらう良い機会でもあります。

 

そのため、保育士はより良い保育参観になるよう保育参観の前準備をしっかり行うことが大切です。また保護者の安心感は保育園や保育士への信頼にも変わります。

 

信頼を得ると今後の保育への理解も深まる可能性が増えるのでしょう。そして何より子ども達の普段の様子を見てもらえるような活動内容を考え、保育参観で子ども達の成長した様子を見てもらえるようにしましょう。