保育者ドキュメンテーションと動画記録

 

ここ数年、保育の世界でドキュメンテーションが話題だ。保護者へ子どもたちの成長の様子を伝えやすくなったり、保育者自身が客観的に保育を振り返ることができるなどメリットは数多いが、本題とは異なるところで手間がかかるようで・・・・。

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  • 保育者ドキュメンテーションの始まりは・・・・・・・・・・

保育ドキュメンテーションは、イタリアのレッジョ・エミリア市が発祥の地。

幼児教育で有名となり、米・ニューズウィーク誌が「最も革新的な幼児教育」として取り上げたことから(1991年)、世界的に注目を受けるようになった。

 

  • 具体的におこなうことは・・・・・・・・・・・・・・・・・

1)長い時間をかけて掘り下げるテーマ(「プロジェクト」)を選ぶ。

2)メンバーを選ぶ。テーマ1つで、4~5人程度。

3)メンバーそれぞれが、必要な調査や資料を準備する。

4)資料をもとに、議論する(ディスカッション)。

議論の段階で初めて参加するメンバーも有り得る(園長など)。

 

  • 結局、保育者ドキュメンテーションとは何かというと・・・・

上記3)の段階で、活動の様子をパネルや模造紙にまとめるのが保育者ドキュメンテーション。

パネルを展示して保護者に見せたり、模造紙などにまとめて保育者たちが活動を振り返り、次に活かすなどが主流。

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保育(者)ドキュメンテーションを初耳という保育者はそう多くはないだろう。保育の雑誌を開けば記事はひんぱんに見かけるし、保育の学校でも定番のように授業が開かれている。

ところが、聞くのと試すのとでは大違い。ディスカッションを始めたとたんに、資料不足、情報不足が次々と発覚してくる。

以下は、園内研修で初めてドキュメンテーションを実施したときの主任の感想だ。

 

・メンバーに書かせた説明文を解読するのに、やたら時間がかかる。無関係な情報が多いのに、肝心な点が抜けていて、結局、私が書いたようなもの。

・私が手直ししたものを園長がまた直す。必ずよくなればいいけど、元に戻っているときもある。ムダ!

・本番開始。説明文の説明ばかりで、なかなか議論が始められない。

・園長先生がついにキレた。議論そっちのけで赤チェック(文章の手直し)の嵐。そこは、みんなの意見を書き込むところじゃなかったんでしたっけ。

・若いメンバーが下をむいてる。次回は無いな。

 

あまりに生々しい部分は割愛したが、いたたまれない現場の雰囲気は十分に伝わったと思う。長期にわたる開催がドキュメンテーションのキモだけに、この雰囲気だけは何とかしたいところだ。

 

  • 資料自身に説明させる、とは?

説明を足しても減らしても、結局モメる。ではどうすればいいのか。

解決方法の一つとして提案したいのが、資料そのものに語らせる、ということ。

動画や写真などの『見える化』がこれに当たる。

例を挙げよう。

下の写真は園の昼食の風景だ。一つのテーブルに園児が3人。向かって右の園児が急に席を立ち、手前の園児に飛びかかる。ケンカの始まりだ。

・・・などと、こんな込み入った文章を書くまでもなく、写真は的確に状況を伝えてくれる。文章では過不足が目立つ点についても、写真を見た読み手が、程よく状況を理解してくれる。写真ばんざい。なんと役立つことか。

 

  • 『見える化』にメモルは背いたのか?

ところが、だ。私たちは自社開発の写真販売サービス『メモル』にドキュメンテーション作成機能を搭載するにあたって、使えるデータをあえて動画に絞った。写真といえば、動画と並ぶ『見える化』双璧。それを資料に使えなくしたのだ。

なぜ、こんなことをしたのか。

ドキュメンテーションの資料作りに書かせないのが、いかに客観性を保つか、ということ。説明文に書き手の意図が混じると、そこから賛否両論の水かけ論が始まり、本来の議論が成り立たなくなってしまうからだ。

その客観性という点で、写真には大きな欠点があった。

『経緯(いきさつ)』を客観的に伝えにくいという点だ。

 

先ほどの写真をもう一度、ご覧いただけるだろうか。

誰もが、向かって右の園児をとがめることだろう。ケンカはいけない、と。

だが目撃者(年長の園児)によれば、本当のケンカの原因は、飛びかかられたほうの園児だという。奥に座る園児のスープに向かって、パンくずをちぎって投げ込んでいたのだ。数回繰り返されたその行為に耐えきれなくなり、奥に座る園児が泣きだした。右がわに座る園児は、それを見とがめ、仲裁に入っただけだった。

 

ここまでの経緯は、写真一枚で正しく伝わっただろうか。飛びかかった園児は、予想どおり、この直後に登場した保育者に叱られた。動画はこうした経緯を正確に伝えているのに対し、写真は逆のイメージを導いてしまっている。写真は場面の説明にたいへんに効果的だが、こと保育者ドキュメンテーションの資料としては、経緯をきちんと伝えず、危険きわまりない。

 

ドキュメンテーションの資料では、客観性が肝心なのに、写真は、時としてその客観性を失う可能性があまりに多すぎる。保育園で作成されたドキュメンテーションの事例を元に、メモルのドキュメンテーション作成機能から除外した理由がこれだ。

もちろん、動画だから客観性が万全というわけではない。しかし、ドキュメンテーションを初めて間もない保育者にむけて、立ち会いもないままでリスクの高い道具を提供することはできなかった。

趣旨、ご理解いただければ幸いです。

さて、動画は動画で、保育者ドキュメンテーションの資料に使うときに避けて通れない欠点がある。肝心なシーンが表示されるまでの間、議論のメンバー全員が待ちぼうけをさせられる点だ。長い動画になると、耐えがたいほどの空虚な時間。それをメモルはどのように克服したかというと‥‥続きはまた今度!

 

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