お泊り保育とは

お泊り保育とは、保育施設で行われる宿泊を伴う一大行事のことを指します。

新型コロナウイルス感染症拡大防止を受けて、一時的にお泊り保育を中止している保育施設の方々も多いのではないでしょうか。

 

本章では、まだお泊り保育を経験したことが無い新人保育士の方々などに向けて、それではまずは、お泊り保育の概要を紹介していきたいと思います。

今後、お泊り保育の再開を検討している保育施設の方々も是非ご参考にしてください。

場所

お泊り保育は、通常、「子どもがいつも登園している保育施設」で行われることが殆どです。

子ども達にとっては、保護者とはじめて離れて1日を過ごす一大イベントのため、慣れ親しんでいる保育施設でお泊り保育を行うことで、子どもたちも安心して過ごしてもらう目的も兼ねています。

 

お泊り保育は、通常、7月や8月ごろに開催されることが多く、いつも体験していないイベントに触れてもらうことを目的として、ログハウスや宿泊施設を利用してお泊り保育を行う施設も中にはあるようですが、コロナ禍以降は感染症拡大防止の観点から、保育施設内・保育施設外ともにお泊りを行わずに、日帰りで行うイベントに置き換えている施設も増えているようです。

費用

お泊り保育は有償で行われることが殆どで、参加にあたり通常の保育とは別の費用がかかります。

保育施設内で行う場合は2,000~3,000円、保育施設外で行う場合は民間の宿泊費が別途発生することから8,000~30,000円と高額な場合があるようです。

対象年齢

お泊り保育の対象年齢は、年長の5歳児クラスが対象年齢とされています。

園で過ごす最後の年に、友達や保育士と良い思い出を作れることを目的としていますが、なかには5歳児クラスよりも低い年齢からお泊り保育を行う施設もあるようです。

持ち物

お泊り保育に持参する持ち物は以下のとおりです。

  • リュック
  • お泊り会のしおり
  • 帽子
  • ハンカチ
  • 下着
  • 着替え
  • パジャマ
  • 洗面用具
  • タオル
  • エプロン
  • 常備薬など

お泊り保育の持ち物は、早い段階から保護者あてにお知らせをしましょう。お知らせを作る際には、子どもたちの靴下や下着などが紛失したりしないように、1枚1枚に記名をするようにお願いするなど、細かくて見落としがちな部分にも配慮すると保護者は準備がしやすくなります。

お泊り保育の目的

お泊り保育は子どもたちの思い出作りのためのイベントではなく、以下のような目的があります。

生活習慣を身につける

お泊り保育では朝起きて、ご飯を食べて、夜はしっかり寝るという基本的な生活習慣を知ってもらうために行われます。

 

保育施設という就学前の環境から卒業をして、子どもが小学校に入学したとしても生活習慣で困らないように指導するという目的もあります。

協調性を身につける

多くの子どもは、お泊り保育ではじめて友達と一晩を過ごします。

いつも見ててくれる保護者はおらず、自宅から離れて集団生活を経験することで集団生活に必要な社会性や協調性を吸収して身につけてもらう目的もあります。

自立心を養う

いつも保護者に頼ってしまう出来事に挑戦してもらうことで、子どもたちの成長に期待ができます。

自ら食事や入浴などの身の回りのことに取り組むことで、子どもの自立心を養う目的もあります。

お泊り保育の活動内容

お泊り保育では、子どもに規則正しい生活を教えるために、事前にスケジュールを組みます。

 

本章では、お泊り保育の活動内容の一例をご紹介いたします。

当日は不測の事態が起こる可能性もあるため、事前準備に漏れが無いように注意して、当日に管理・運営する保育士が動きやすいようなスケジュールを組むことを心掛けましょう。

お泊り保育のスケジュール

お泊り保育のスケジュールは、開催場所や行うイベントによって異なります。ここでは、お泊り保育をいつも通園している園で行う場合を例に、紹介します。

1日目
15時集合
15時半1日目昼のイベント
17時夕飯
19時お風呂
20時1日目夜のイベント
20時就寝
2日目
6時起床
7時朝食
8時2日目のイベント
9時半解散

 

1日目は昼食を食べてからの集合にすることが多く、2日目の午前中の早い時間で解散にすることがもっとも多いスケジュールのようです。

 

子どもは初めてのお泊りを行うことが多く、緊張や不安な気持ちで夜に寝つけない子どももいますので、出来る限り子どもたちが安心をしてお泊り保育を体験できるように、スケジュールは漏れが無いように組むことを心掛けましょう。

お泊り保育でよくあるトラブル

たくさんの子どもが一緒に一晩を過ごすお泊り保育では、通常の保育で起こらないようなトラブルが発生することがあります。

 

入浴など、いつも友達としないことをすると子どもも興奮して、はしゃいでしまうこともあるため、大きな怪我や事故につながってしまう恐れがあります。

怪我や事故で子どもの楽しい思い出が台無しにならないよう、保育士側は普段よりもより安全面に気を付けながら子どもたちの行動に配慮する必要があります。

 

また、いつもと違う環境下に敏感な子どもが、不安や寂しさから体調を悪くしてしまうこともあるため、子どもの様子をよく見て、い面に気が付いた時には話かけてあげるなどの細かいケアをしてあげましょう。

 

何より大切なのは、子どもが安心安全にお泊り保育を楽しく過ごせるかどうかです。保育士側はそのことを忘れず、当日の運営・管理を行いましょう。

保育士の事前準備

保育士は、お泊り保育が子どもにとって良い思い出になるように、事前にさまざまな準備を行います。

本章では保育士の事前準備について紹介していきます。

①計画を立てる

まずは、お泊り保育の計画を立てるところから始めます。1泊の全体の流れなどを過去に行ったお泊り保育のしおりから参考にしたり、保育士同士でアイデアを出し合うのも良いかもしれません。

 

過去のお泊り保育と同じ流れでもよいですが、その年によって、子どもの性格や成長なども細かく異なりますので、その年の子どもに合った計画を立てるようにしてみましょう。

 

また、当日にスケジュールが上手くこなせなくなってしまわないように、当日の保育士達の担当業務なども事前に決めておき、業務分担まで計画に盛り込むように心掛けてください。

 

万が一の出来事が起きないように、緊急時の連絡先や業務フローを予め準備して、不測の事態が起きないように計画を満遍なくチェックするようにしてみて下さい。

②お便り作成

お泊り保育の計画や当日の流れが決まったら、次は保護者へのお便りの作成に取り掛かりましょう。

このお便りには、当日の流れや注意事項、持ち物などを記載して、保護者に早めに伝えるようにしてみてください。

持ち物に関しては保護者は、事前に購入しなければいけなかったりするため、なるべく直前にお知らせするようなことは避けた方がよいでしょう。

③生活習慣について保護者と相談

お泊り保育の前に保育施設以外の生活習慣について保護者から事前に情報共有してもらいましょう。

当日までに知っておくことで、今まで知らなかった子どもの意外な一面などを知ることができて、不測の事態が起きないように事前に配慮することができるようになります。

当日の注意点

お泊り保育では、たとえしっかりと計画を立てていたとしても、計画通りにいかないこともあるかもしれません。

お泊り保育の当日を迎える前に、注意点についても紹介します。

①子どもたちの体調変化に気をつける

子どもの体調変化にいつも以上に注意をしましょう。はじめて保護者と離れて一晩を過ごすなかで体調を崩してしまう子どもにも、早く気が付ける可能性があります。

 

自分の体調の変化を上手く伝えられない子どももいますので、保育士は子どもの様子をよく観察して、いつもと違う様子が見られたら声をかけてあげるようにしましょう。

 

また、アレルギーや持病がある子どもの場合は、事前に保護者から報告をしてもらうことや、常備薬をもらっておくことも忘れないようにしてください。お泊り保育の数日前に体調に異変があった際は、どんな些細なことでも報告をしてもらい、随時参加について検討するようにしてください。

②就寝時の不安を取り除く

昼間は元気いっぱいだったのに、夜になると急に不安になったかのように静かになってしまう子どももいるかもしれません。

はじめて家族と離れて就寝を経験する子どもも多くいます。

 

特に就寝前は、子どもの側に寄り添ってケアをするように心掛けて、時間が経っても眠れない子どもがいたら、背中をさすってあげるのもオススメです。

 

事前に夜の就寝が不安という相談を保護者から受けた際は、保護者や子どもが当日不安になる可能性があるため、日々コミュニケーションを怠らないように心掛けましょう。

 

子どもにとって不安な夜に保護者がいなかったとしても、信頼している大好きな保育士さんがいれば、不安をやわらげてあげられるかもしれません。

お泊り保育におすすめのイベント

お泊り保育では、一般的に1日目の昼と夜、そして2日目の朝にイベントを行います。イベントは、通常の園生活では行わないようなものにすると新鮮さが増し、子どもたちにとって良い思い出になるでしょう。

キャンプファイヤー・花火

夜のイベントの代表格と言えば、キャンプファイヤーや花火ではないでしょうか。

 

夜は特に、子どもが不安に感じやすい時間帯なため、いっきに盛り上げて不安を吹き飛ばしてあげると良いでしょう。一緒にキャンプファイヤーを囲んでダンスをしたり歌を歌ったりするだけで、楽しい思い出が作れます。

 

ただし、どちらも火を取り扱うため、子どもがわざと近づいたりしないよう、始める前にしっかりと注意喚起しておきましょう。また、終わった後の片付けなども事前に分担しておいてください。

夕食や朝食作り

夕食や朝食を一緒に作るのも良いイベントです。

 

夕食は王道のカレーなど、作りやすく、好きな子どもが多いものが良いかもしれません。子どもと全て最初から行うと時間がかかってしまう可能性があるため、野菜などは事前にカットし、準備しておくのがおすすめです。朝食は、サンドイッチやおにぎりなどの簡単にできるものが良いかもしれません

 

食事を一緒に作ることで、仲間と協力することの大切さや食育について学ぶことができます。また、ご飯を自分で作れたという経験は、子どもの自信にもつながるでしょう。

スタンプラリー

子どもが大好きなスタンプラリーを、お泊り保育のイベントに取り入れるのも良いイベントです。

 

園内にスタンプが置いてあるポイントを作り、チームで見つけ出しましょう。また、そのポイントごとにクイズやアクティビティを用意しておくと、より盛り上がる可能性があります。

 

スタンプラリーは楽しいだけでなく、チームで行うことで協調性や団結力を養うことができます。また、一緒に頑張った友達とは、さらに仲良くなれる可能性があります。

宝探し

宝探しもおすすめです。チームになって、謎の地図を頼りに宝を探してもらいます。

 

この時の地図やヒントは、少し難しめに設定しておくことでお互い意見を出し合ったり、分からないところは保育士に聞いたりすることを通して、子どもはさまざまなことを学ぶことができます。

 

準備は大変ですが、子どもにとっては良い思い出になるでしょう。

まとめ

お泊り保育は、多くの子どもが楽しみと不安の両方の思いを抱えています。

お泊り保育は、保育施設での最後の夏を盛り上げる大イベントです。保育士にとってはやることが多く、大変な行事の1つではありますが、終わった後に子どもの笑顔が見られるよう、計画的に準備を行ってみてください。