保育園は認可保育園と、認可外保育園に分けられます。

 

待機児童解消のために保育士確保プランが策定された頃と比べると、保育従事者は増えてはいますが、それでも社会的ニーズに対して十分とはいえず、保育現場では、人材不足に由来する悩みは付きません。

 

この記事では健やかな子どもの成長が実現できる保育園経営ができるよう、保育園運営の大きな課題である「人材確保」「教育」「コスト」の3つを解決する方法やポイントをご紹介します。

Contents

保育園経営者の基礎知識①:保育園の主な形態とサービス内容

 

保育園は、認可保育園と認可外保育園に分けられます。保育園の主なサービス内容は、保育を必要とする子どもを預かり、保育士が生活を援助することです。

 

その他、サービス内容は以下のとおりです。

 

・園時募集
・勉強会(セミナー参加)
・会議への参加
・経費管理
・事務作業

 

対象は、乳児から小学校就学前の子どもですが、子どもだけでなく、保育士やその他の職員に対してのサービス内容もあります。

・認可保育園

認可保育園は国が定める基準(施設面積、職員数、設備、衛生管理など)をクリアしている保育園のことで、都道府県知事によって認可された児童福祉施設です。厳密には、幼保連携型認定こども園や小規模認可保育園も認可保育園に含まれます。

 

認可保育園は公的な補助を受けられるため、保護者が支払う保育料は家庭の収入によって異なりますが、認可外保育園に比べ低めです。

・認可外保育園

認可外保育園とは、国の基準は満たしていないものの、各都道府県が定める基準に基づいて運営されているのが特徴です。例えば、東京都の基準をクリアした認証保育園は、知事の許可を得て運営されています。

 

認可外であることから、児童福祉施設には該当しないものの、厚生労働省による「認可外施設指導監督基準」に則って運営することが求められているため、保育サービスの水準は必ずしも低いわけではありません。

 

認可外保育園は認可保育園のように補助金があるわけではなく、また集客も自ら行わなければならないため、経営的に不安定になりやすい傾向があります。

 

ただし、認証保育園のように、各自治体が独自に行っている制度に基づく補助金は受けられます。内閣府管轄の企業主導型保育事業も認可外保育園に該当しますが、運営費や施設整備費など補助金が活用できます。

 

いずれの形態においても、児童の保育を担うことによって得られる収入が運営の根幹となるため、これをいかに安定させるかが重要です。

・幼稚園

幼稚園は学校教育法に基づく教育施設です。保育園は保護者の委託を受けて保育することが目的ですが、幼稚園は適当な環境を与えて、幼児の心身の発達を助長することが目的となっています。

 

幼稚園と保育園の主な違いは、対象年齢です。保育園は乳児から小学校就学前の子どもですが、幼稚園は3歳から小学校就学前の子どもを対象としています。

 

また、幼稚園は運動場を必要としますが、保育園は屋外の遊戯場を原則設置としているものの、公園などを代替地利用することが可能となっています。

保育園経営者の基礎知識②:保育園経営者に必要な資格・免許・経験

 

保育園を開業・経営するにあたって必要な資格は、自治体が運営する公立保育園と民間事業者が運営する私立保育園とで異なります。

 

公立保育園は自治体が運営するため、園長先生になるには、保育実務経験が必要になります。一方で、私立保育園は免許や資格を必要としていません。実際に保育にあたる人が保育士資格を持っていれば、経営者は保育士の資格を持っていなくても問題はないのです。

 

もちろん、何の知識もなく経営はできないので、最低限の保育、経営の知識、公共政策などについて知っておく必要はあります。

経営経験や保育の知識がない人はコンサルタントを活用するのも一つの手!

これまで経営経験や保育経験がない方は、現場の保育士と意見が合わず職場環境が悪化してしまうことがあります。

 

職場環境が悪くなると退職者数の増加、経営不振につながり、立て直しが必要になってくるでしょう。そのため職場環境が悪化しないように、保育園経営に詳しいコンサルタントを活用するのも一つの方法です。

 

コンサルタントとは、相談相手の経営課題を明らかにし、経営を潤滑にするための計画やアドバイスをしてくれる存在です。

 

保育園経営にコンサルタントを活用する方法があることも、知っておきましょう。

保育園経営者の基礎知識③:保育園開業に必要な手続き

 

保育園は、認可保育園か認可外保育園にするのかによって、手続きの進め方が異なります。

 

認可保育園の場合はまず、開業の基準が厳しくなっています。建物ののべ床面積はもちろん、保育士の人数も基準に含まれているため、相応の準備が必要です。この基準は都道府県や自治体によって異なるため、基準を確認しながら手続きをします。

 

認可外保育園は比較的基準が緩く、自由度が高くなっています。保育士の人数も少人数から始められるため、開業しやすいです。手続きに関しては、地方自治体に届け出ます。

保育園の形態保育園開業に必要な手続き
認可保育園必要書類を該当する市区町村に提出し、審査を受ける。その後、知事の認可を受け開業する。
認可外保育園必要書類を該当する市町村に提出する。開業の申請が通った場合、毎年1回の立ち入り調査を受ける。

保育園経営者の基礎知識④:設立基準

 

保育園は、地方自治体の指導・監督の対象で、開業するには、無認可であっても自治体へ届け出が必要です。

 

認可保育園を開業・運営する場合には、国の定めた設置基準をクリアしなければなりません。

 

例えば人員配置基準はその代表的なものです。人員配置基準とは、預かる園児の数に対して配置しなければならない保育士等の数のことです。

 

設備面では、乳児室と保育室、調理室、医務室、トイレ、園庭が必要であり、災害に対応した設備もなければなりません。

保育園経営者の基礎知識⑤:採用・教育

 

認可保育園は、国が定めた保育士の配置基準があります。この基準を下回らないこと、常時2名以上の保育士を配置することが原則となっています。

 

子どもが多い保育園であると、その分、保育士の人数が必要となります。認可外保育園の場合は、認可保育園の配置基準を基準にしていますが、一部が緩和されています。

 

そして、保育士を採用後の教育も、保育園を経営するためには必要です。

 

保育園は、理念や目標を基に保育を行っているため、保育士は、この理念や目標を理解したうえで保育をします。保育士を採用する前に、保育園の理念や目標を提示し、保育内容を理解した方を採用するようにします。

 

人材育成は、組織が持続や発展するために人を育てることです。

 

経営者は、園長や副園長、中堅の保育士が中心となって、職員の育成を行えるように計画を立てて取り組みましょう。

対象年齢保育士の人数
0歳児子ども3人に対し保育士1人
1から2歳児子ども6人に対し保育士1人
3歳児子ども20人に対し保育士1人
4歳児以上子ども30人に対し保育士1人

保育園経営者の基礎知識⑥:収入・年収

 

保育園経営者にとって収入・年収は自分の生活につながるところです。

 

保育園の規模にもよりますが、保育園経営者の年収は、平均700万円です。

 

認可保育園の場合は、国から補助金を受け取ることができます。ただし補助金の額は、預かっている人数によって異なります。そのため、預かっている子どもが増えるほど補助金の額は大きくなり、収入も増えるといえます。

 

認可外保育園の場合は、補助金の額が少ないため保育料が主な収入です。

 

保育園で儲かるために、受け入れる子どもの定員数を増やせばよいと考える方もいるでしょうが、そう簡単なものではありません。

 

子どもの数を増やすということは、保育士の配置基準に従い、保育士の数を増やさなければなりません。そのための保育士を雇う人件費がかかります。そして、保育室の増設や子どもが増えた分の必要な備品購入などで、経費がかかります。

 

自分が運営する保育園は、どのくらいの人数で行うのが適切なのかを考えながら経営していく必要があるといえます。

保育園経営に必要なお金とは?

 

保育園を経営していくためには、様々な経費が必要となります。経費がどのくらいかかるのかを把握しておくことは、経営者にとってとても重要なことです。

 

ここでは保育園経営に必要なお金について以下の内容をご紹介します。

 

・保育園開業に必要な初期費用
・保育園を開業するために借入することはできるのか
・運営賃金について

 

また、開業するにあたり、借入はできるのか、運営するための賃金はいくらかかるのかについてもご紹介します。

保育園の開業に必要な費用(初期資金)

保育園の開業に必要な費用は、約600万円です。

 

この金額は広さが20~30坪程度、園児数が20人未満の保育園を想定した金額です。保育園を開業する地域によっては、費用が増減しますので、目安にしてください。

 

保育園は、保育を必要とする子どもを預ける施設ですので、子どもが生活できる環境を整えないといけません。そのため、物件を取得したり、内装を工事したりと環境を整えるための費用がかかります。

 

また、保育園は給食が必要であるため、調理場も考えなければなりません。

 

その他にも、子どもが使用する机やイス、職員が使う机や事務用品などの消耗品費や備品にも費用がかかります。

 

そして、忘れがちなのが、保育園を開業するにあたって園時募集をするための広告費です。どういった広告にするのかによって、安くできたり高くなったりします。

 

さらに、自由に過ごせる保育を行うのか、運動をたくさんする保育園にするのかなど、どのような特色で保育を行うのか、どのくらいの大きさや規模の保育園にするのかなど、運営する保育内容によっても費用は変わってきます。

 

認可保育園の場合は、自治体から開業するための補助金が出るため、ある程度の費用は抑えることができますが、認可外保育園の場合は補助金の額が少なかったり、出なかったりする場合もあります。保育園の形態によって違うことを理解しておくことが大切です。

項目費用
物件取得費100~150万円
内装工事費100~150万円
設備費90~140万円
備品・消耗品費60~100万円
広告宣伝費20~60万円
合計約600万円

保育園を開業するために借入はできる?

認可保育園を開業する場合、助成金の受給が可能です。助成金とは、国や地方自治体から支給される返済不要の資金です。

 

前述したように、保育園を開業する目的や必要な費用を考えたときにこの助成金を使ったとしても、足りない場合は不安に感じてしまいがちです。

 

しかし、保育園を開業する場合、助成金で賄えない部分を銀行から借入することが可能です。

 

民間の銀行から借入する場合、審査を受けます。過去の実績から融資に値するかの審査になるため、個人が初めて保育園を開業する場合、審査に通ることは難しいでしょう。

 

その場合、日本政策金融公庫からも借入することが可能です。

 

日本政策金融公庫とは、国が100%出資している公的金融機関です。創業支援や中小企業の事業支援を行っています。

 

支援制度の中に、NPO法人またはNPO法人以外の保育サービス事業者向けのものがあるため、この支援制度を使うことで賄えるようになるでしょう。

 

開業資金は多額であるため、計画的な資金調達が必要です。

運営資金

主な保育園開業の運営資金は、人件費、賃貸料、水道光熱費、給食費です。

 

売上が月間300万円ほどと仮定した場合、運営資金は1か月約240万円必要になります。

 

保育園の運営資金で割合が高いのは、人件費です。1か月の売上の40~60%程度かかりますが、保育園は、保育士がいなければ運営できません。その他にも、事務員や看護師、調理員などが必要となります。人件費については、計画段階でしっかりと見積もっておくことがおすすめです。

 

賃貸料は、1か月売上の5~15%程度かかります。経営者が所有する土地に保育園を設置しているのであれば賃貸料は発生しませんが、駐車場を設置するなどの状況によって、ある程度の土地が必要となります。

 

初めて保育園を設置する場合は、土地を借りたり、運営が可能な建物を借りたりする場合があります。このように、開業する保育園によって賃貸料も必要です。

 

水道光熱費も、運営資金に必要です。水道光熱費は1か月の売上の2%程度です。水道は給食やトイレ、掃除などに使います。

 

また、一部規制が緩和されていて外部委託している保育園もありますが、ほとんどの保育園は自園で調理しています。光熱費や電気、ガスなどは、このように保育園で生活する子どもたちのために必要なものです。

 

給食費については、万が一、一日保育をする際に必要になる費用です。園内で作るのか業者に委託するのかで変わりますが、1か月の売上の3~4%程度かかると思っておきましょう。

 

保育園の規模や園児数によって、この運営資金は変わるため参考にしてください。

項目金額割合
人件費180万円40~60%程度
賃貸料45万円5~15%程度
水道光熱費6万円2%程度
給食費12万円3~4%
合計243万円 

保育園経営の魅力・メリットとは?

 

保育園経営の魅力は投資回収率が高く、経営が安定しやすい業種であることです。また、子育て家庭のニーズに応える業種であるともいえます。

 

主な保育園経営の魅力やメリットについて、以下にまとめて紹介します。

 

・投資回収率が高い
保育経営の魅力は、他業種に比べて初期投資が少なく利益率が高いため、投資回収率が高く、低資金で開業できます。

 

・在庫を抱えなくてよい
経費のほとんどが人件費で、何かを売る業種ではないため、在庫を抱えなくてもよいです。

 

・補助金が用意されている
認可保育園の場合、経費に対して補助金や助成金がいくつか用意されているため、ある程度の負担が抑えられます。

 

・安定した経営ができる
保育園の収入源は、保育園で預かる子どもたちの数で決まります。一度入園すると、ほとんどの子どもは卒園するまで在籍しています。そのため、他の業種に比べて経営を安定させやすいです。

 

・社会貢献度が高い
保育園は、保育を必要とする子どもを預かる施設です。共働き家庭やひとり親家庭などの、子育て家庭のニーズに応える業種であるため、社会貢献度が高いところも魅力の1つです。

保育園経営のリスク・デメリットとは?

 

保育園経営のリスクやデメリットは、園児や保育士の確保が大きいといえます。さらに、運営の安定や事故防止も考えなければなりません。

 

以下で、保育園運営のリスクとデメリットを詳しく紹介します。

 

・園児数の確保
少子化のため、今後も運営を続けていくには園児の確保が重要です。また、開業当時は、保育園の評判や運営が安定していないため、経営が軌道に乗るまで時間がかかります。

 

・子どもの安全を守らなければならない
保育園は子どもの命を預かっているため、ケガや事故、保育士からの虐待がないかなども見なければなりません。万が一、保育中に不足の事故が起これば、行政処分の対象になりかねません。

 

・保育士の確保
保育士がいることで保育が成り立ちます。そのため、保育士を確保する必要があります。しかし、優秀な人材を確保できても、すぐ離職されてしまうと運営は成り立ちません。

保育園経営の課題とは

 

課題は以下のとおりです。

 

・園児数の確保
・保育士の確保、定着
・子どもの安全管理

 

現在、世の中で問題視されている少子化や人材不足、子どもへの安全配慮は、保育園の課題につながります。

保育園経営を成功させるために意識すべきポイントとは?

 

保育園経営がうまくいかず、赤字になる保育園もあるのが現状です。待機児童問題や夫婦共働きなど、保育園を利用したいニーズが高い中で経営を失敗する理由は一体どこにあるのでしょうか。

 

主な理由として考えられるのは、経営計画が不十分で保育士の確保や定着、質の高い保育の維持が困難になるためです。

 

以下では、保育園経営を成功させるためのポイントをいくつか説明します。

 

・中長期的な経営計画
開業当時は、保育園の存在が地域に定着していないため経営が安定しません。経営が安定するためには、ある程度の時間がかかります。中長期的な計画をしっかりと立て、地域に根付いた保育園経営をすることが大切です。

 

・万全な安全対策
子どもの安全への配慮は、そのまま園の評判へとつながります。昨今、子どもを預かる施設で子どもの安全が脅かされる事案もあります。万全な安全対策に取り組むようにします。

 

・保育士が働きやすい環境
保育園経営を安定させるためには、保育士が働きやすい環境を作って定着することです。そうすることで職員の意識が高まり、保育は安定します。保育が安定することは、評判につながるため、経営も安定していきます。

保育園経営者が抱える3つの悩みとは?~人材・教育・コスト~

 

先に保育園経営の難しさに触れましたが、具体的な保育園経営者のよくある悩みと、課題である「優秀な人材確保」「保育士の教育」そして「経営コスト」の3つについてご紹介します。

 

保育園の利用ニーズが高まる一方で保育士不足は続いていますが、その主な原因の一つとして、保育士の多岐にわたる仕事内容と仕事量の多さ、そして給与の少なさがあげられます。

 

厚生労働省が2020年に発表した『保育の現状と主な取組』によると、全職種の月収換算が40.7万円に対して保育士は30.3万円となっており、低い賃金体系が社会問題となっています。

 

さらに、2018年には保育所保育指針が改定され「子どもたちの育ちや生活」に軸を置いていた保育園も、幼稚園同様に「教育施設」として位置づけられ、保育士の質の向上とそれに伴う研修体制が必要になったのです。

 

保育士不足の中で、質の高い保育と研修時間の捻出のための「人」「教育」「コスト」が保育園経営者にはのしかかっています。

【悩み①】保育園の人材を確保するコツ

 

保育士の退職理由で「仕事量が多い」「労働時間が長い」と答える人は半数以上にのぼります。保育士を確保するポイントとして業務の分散や効率化は必須です。その方法をいくつかご紹介します。

保育補助の積極的な採用

保育士は保育の仕事に加え、登降園の対応や保護者からの電話対応、制作の準備や片付け、清掃などの事務や雑務も兼任することが珍しくありません。こういった保育以外の業務を保育補助に任せると、保育士の負担をずいぶんと減らせます。

 

また、保育士を目指す学生などを保育補助で採用すれば、資格取得後に正規保育士として声を掛けやすくなる利点もあります。正規雇用前に人となりが分かる上、園の実情も分かった人物となるので、有能な人材確保の先行投資としても有効です。

パート・アルバイト保育士の活用

保育士が短時間勤務(パート・アルバイト)をできる多様性のある働き方もポイントです。

 

週3日・1日3時間などの勤務が可能になると、育児や介護など家庭の事情がある保育士も働きやすい環境になります。わずかな時間でも、保育補助よりも幅広い業務を任せられる資格を持った保育士が増えることでフルタイムの保育士にも余裕が生まれます。

 

パート・アルバイトの保育士がいる時間帯に研修やミーティングを行ったり、連絡帳や保育日誌の作成時間にあてたりと正規の保育士が自由に動ける時間が多くなり、残業の削減にもつながります。

変動労働時間制を導入する

残業時間の削減には「変形労働時間制」もおすすめです。変形労度時間制とは、通常1日8時間とされている労働時間を、月単位や年単位で調整できる制度です。

 

変形労働時間制を導入すると、今月勤務時間が長かった保育士は翌月を短く設定するなど、個人の仕事内容や繁忙期に合わせてシフトを調整できるため、労働時間を効率的に利用できます。

 

暇な時期でも必ず8時間は職場にいなければならないような無駄な時間は減り、早く上がった分を忙しいときの勤務時間として回せるので、残業手当が減らせるのも経営的なメリットです。

 

また、各個人で上がる時間が異なるので、先輩が残っているから残るというような「付き合い残業」も発生しにくくなり、働きやすい環境が整います。

【悩み②】保育の質や専門性向上のポイント

 

2018年の保育園保育指針改定で「幼児教育施設」と位置づけられた保育園は、幼児教育の専門機関として保育士の研修とその時間の確保が必要になりました。多忙な保育業務の中でどのように研修時間を生みだせばよいでしょう。

ICT化による業務の効率化

保育ICTシステムは、保育士の業務時間を大幅に削減します。連絡帳や報告書、日案や週案、月案、計画書などの多数の書類作成を効率化し、作業時間を減らして研修時間を作り出せます。

 

また、前述のとおり保育士の時間の捻出には、パート・アルバイトの採用や変動時間制が有効ですが、勤務シフトや給与体系の複雑化に頭を悩ませる経営者の方も少なくありません。

 

ICTシステムを導入すれば、シフト作成や給与計算も自動化し、園全体の勤怠管理も容易になります。外部研修に参加するメンバーのシフトもスピーディに調整できるので、誰がどのような研修に何回参加したのかも把握しやすくなります。

外部講師を招く

英語や体操など、専門知識を持つ外部講師を招くカリキュラムを組み込んで、その時間帯を研修時間に活用するのも手です。

 

外部講師による専門的な授業やカリキュラムは子どもたちの刺激となることはもちろん、在園児の保護者や入園を検討している人にも保育園の特色としてアピールしやすく、経営的なメリットも十分にあります。

人材派遣を利用する

研修中に代わりとなる人材が確保できない場合は、職員の研修期間に合わせて保育士の人材派遣会社に依頼するのもひとつの方法です。

 

研修のために慌てて募集しても良い人材が見つかるとは限らず、すぐに辞められてしまうと採用コストも無駄になってしまいます。しかし、派遣なら即戦力になる保育士がすぐに手に入ります。

 

保育士を自社で雇用し、研修をおこなっている派遣会社なら専門的な知識があるスタッフが派遣されるため、保育の質も安心です。

【悩み③】保育園の経営コストを削減する方法

 

保育園経営において人件費は全体の運営費のおよそ8割を占めており、保育士の給与向上の影響ははかりしれません。人件費に関わるコスト削減方法について詳しく解説していきます。

ICTによる見える化で人件費の無駄を抑える

保育ICTシステムを導入すると、多様な勤務体制の導入や各自の勤務状況を最適化することで、人件費をむだなく利用できます。

 

また、時間がかかっていた日報やおたより、保育目標などの作成をテンプレートやデータ共有で効率化できるため、保育士は勤務時間中にスピーディに処理できるようになり、残業時間と残業代の削減にもつながります。

保育士派遣を利用して採用コストを抑える

保育士の採用コストは1人あたり40~50万円とも言われますが、採用できたとしても早期に離職することも少なくありません。保育士派遣は、この採用コストなしで確実に雇用できるのが大きなメリットです。

 

紹介予定派遣という形も選べるため、職場の雰囲気や働き方を知ってもらったうえで、本採用をすることも可能になります。

 

初期費用や運用費はかかりますが、繰り返しの離職が起こるリスクなどを考えると、一時的な保育士派遣や紹介予定派遣制度などを上手に活用することで採用コストは大きく下げられるでしょう。

助成金や補助金を最大限に利用する

保育園の運営には国や地方自治体から、助成金や補助金が支給されています。保育園の事業形態や規模など条件によって支給の有無や金額は異なりますが、必ずチェックしましょう。

認可保育園の場合

認可保育園の運営補助金は、園児の人数に応じて支給され、児童の年齢が低いほど支給額は高くなります。一人当たりの金額は、国が算定する「公定価格」から保育料を差し引く形で計算されます。

 

また開設や整備事業を行う際は、「保育所等整備交付金」と「保育対策総合支援事業費補助金」から整備費が支給され、2分の1~3分の2以上の費用を賄えます。

その他の保育園の場合

国や地方自治体の補助が基本的にないといわれる認可外保育園でも様々な補助体制が整えられています。

 

例えば、「企業主導型保育事業」は2016年度まで実施されていた「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」を拡充した国の制度ですが、事業所内に保育施設を設置する場合の整備費や運営費の補助を行っています。

 

また、病院や診療所に保育施設を設置する場合は、「院内保育事業運営費補助事業」が人件費や運営費の一部を補助してくれます。

 

東京都や横浜市など、保育園ニーズが高い地域では独自の助成を行っている自治体もありますので、確認してみましょう。

まとめ

 

保育園の経営は人材と教育、そしてコストという3つの大きな課題が存在します。

 

保育士の離職の主な原因の1つとして業務量の多さがあげられています。人材確保や教育時間の捻出のためにも、業務の見直しは欠かせません。

 

それには、パート・アルバイト・派遣保育士の活用や、変動時間制の導入で正規保育士の負担を減らすことのほか、保育ICT化で事務にかける時間を短縮するなどの対策が有効です。

 

ICT化すれば、複雑な勤務体制でもシフト作成が容易になり、無駄のない勤務体制で残業を減らすことにもつながり、運営コストの大部分を占める人件費も削減できます。

 

このほか、保育園の利用ニーズの高まりから、国や地方自治体は保育施設に対する助成金や補助金の精度を充実させています。これらもうまく活用し、保育士が長く働ける環境づくりを整備していきましょう。