児童票は質の良い保育に欠かせないものですが、園によって書式や要点に違いがあるため、書き方に困っている保育士さんも多いのではないでしょうか?

今回は、児童票の役割から保育経過記録を書くときのポイント、年齢別の書き方例をご紹介します。今後の児童票作成にぜひお役立てください。

1.児童票とは?

児童票とは、保育園に在籍する子ども一人ひとりの家族情報や緊急連絡先、健康状況、成長過程、保育過程などを記録する書類です。

保育の提供内容に反映させるほか、年度末のクラス替えや小学校への進級の際に次の担任に引き継いで、その子への理解を促すという役割もあります。

    • 児童票の書式は園によって異なりますが、主な項目は以下のようなものです。
  • 在籍に必要な記録(氏名、生年月日、保護者、住所、家族構成、緊急連絡先など)
  • 健康記録(登園状況、持病や罹患歴、体質的特徴、予防接種記録など)
  • 身体測定の結果
  • 保育経過記録(遊び、生活習慣能力、運動・言語・表現力の発達、人間関係など)

中でも保育経過記録は保育や教育の連携を図るうえで重要な指標となるので、心身の成長の様子を丁寧にまとめることが求められます。

2.児童票の保育経過記録にはどんなことを記入する?

児童票の保育経過記録の書き方は、園によって様々です。文字どおり保育の経過を記録するものなので、結果よりも「Aの状態が、Bの状態になった」という経過がわかるように記入します。また、記入欄がそれほど大きいものではないことが多いため、一番成長を感じた点に絞って書く必要があります。例えば、発達・意欲・能力を考えながら、以下のポイントをおさえましょう。

健康(生活の様子)

着替えや支度、排泄や手洗いなどの生活習慣について書きます。自らやろうとする姿がみられたなど意欲や能力の度合いも含めて観察しましょう。

身体と運動の能力

身体測定結果だけでなく身体の使い方も記録します。指先を使う微細運動と身体を大きく使う粗大運動を合わせて、発達度合いをみるのがコツです。

言語と表現

言葉の発達状況や表現方法についても記載します。喃語(なんご)が出るようになった、気持ちを言葉で伝えられるなどのほか、たくさんの色を使った絵が好き、自分で作った楽器の音を楽しんでいる、といった興味関心について書くのも良いでしょう。

情緒や人間関係

喜怒哀楽の表現、保育者やお友達との関わり方などはその子の心身を保育する上でとても大切です。どんなときにどんな反応をしたかなど、エピソードごとに記録します。日頃から表情やしぐさをよく観察して、気持ちをくみとれるようにしておきましょう。

3.児童票を書くときのポイントは?

項目が多い児童票の保育経過記録は大変に感じがちですが、6つのポイントを押さえると比較的スムーズに作成できます。

否定的になることは書かない

保育経過記録は次年度の引継ぎにも役立ちますが、否定的に書くと先入観を与えてしまうこともあります。また保護者からの開示請求があれば、保護者が見ることもできます。否定的なことを書かなければならないときは、「時には思いを伝えられずに…」や「思いが強く…することもあった」などなるべく柔らかい表現で書いたほうがよいでしょう。

日常的にメモをする

成長を感じたらメモを残すことを習慣にするといいでしょう。児童票の記入項目を事前に確認しておくと必要な情報を集めやすくなり、過去との比較にも便利です。こまめなメモが難しい場合はグループ観察や写真で記録する方法もあります。

具体的なエピソードを入れる

「○○が好きだった」「○○の姿がみられた」「○○は少し苦手だった」というように事実の記録だけではなく、保育士者の援助や保育計画でどのような変化が見られたのか、個性が分かる具体的なエピソードを入れるのも大切です。その際の子どもの反応や表情なども含めて記録するとより伝わりやすくなります。

保育指針の5領域を意識する

保育経過記録は、保育の5領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の視点からその子をみたときどうかと考慮して記載すると、その子がどんな子なのかが過不足なく記載できます。スペースの問題で書ききれない時には、特に「その子はどんなことを頑張ったか」「どんなところをもっと伸ばしたいか」などを5領域のなかから、ピックアップして考えてみましょう。

先輩の書き方を参考にする

児童票の様式や書き方は保育所ごとに異なるので、先輩保育士の書き方を参考にして文字量、視点、表現内容などを確認すると効率的です。園の保育方針から個人の保育の重点を考えるのもよいでしょう。

年齢に沿った内容を書く

児童票に記載する保育経過や成長記録の要点は、子どもの発達段階によって異なります。子どもの生活や遊びを通して、身体や言語の発達や興味、人間関係の構築など、その子の発達の様子を観察することが重要です。

4.年齢別の児童票の書き方例

児童票の保育経過記録は子どもの発達段階に応じて書く必要があるため、対象となる子の年齢によって内容が大きく変わります。年齢別の特徴をふまえた書き方の一例をご紹介します。

0歳・1歳・2歳

0歳児・入園当初、午睡時間が短めだったが、保育者が頭をなでると落ち着き、だんだんと長く眠れるようになった。
・離乳食後期でいろいろな食べ物をにぎって感触を楽しむこともあるが、自分で食べようとする意欲が高まっている。
・保育者のゆったりとしたわらべうたが好きで、歌に合わせて身体を揺らしながら模倣する楽しさを味わっている。
1歳児・進級の環境変化からか噛みつきなどのストレス行動が見られた時ものの、保育者が気持ちを代弁したり、複数の保育者で連携をとって見守ることで、7月以降は噛みつきが見られなくなった。
・指先が器用になり、シール遊びを剥がすところから楽しんでいる。
・お散歩の上着を手渡すと、「自分で(着る)!」とやろうとする姿が見られた。
2歳児・4月当初は、保育者がお気に入りの人形を使って話かけると徐々に落ち着き、笑顔を見せるようになった。
・家庭と連携し、トイレトレーニングを行ってきた。初めて排泄ができて喜ぶ姿が見られた。

 

3歳・4歳・5歳

3歳児・年度当初は遊びたい気持ちが強く、時折、トイレに行けずに漏らしてしまうこともあった。担任が定期的に声掛けをしたことで、自分からトイレに行きたいと言えるようになった。
・野菜の栽培を通して、植物の成長に驚きと興味を持ち、大切に育てようという気持ちがみられた。
4歳児・自分の思いをしっかり持っており、それを言葉で表現できる一方で、強い言い方で周囲の誤解を招くこともあった。担任は、気持ち確認し、言葉遣いのルールを繰り返し教えてきた。自分で強い言い方だったことに気づき、言い直そうとする態度が見られるようになった。
・鉛筆の三角持ちが安定し、お手紙を書くことを楽しんでいる。様子を見て、書き順を教えていく。
5歳児・縄跳びが苦手で、違う遊びに切り替えることが多かったが、仲の良いお友達が楽しそうに跳ぶ姿を見て、保育者と一緒に小さい目標を立てて練習するうちに、自ら取り組む姿が見られるようになった。
・秋祭りでは、たこ焼き屋さんを選び、みんなに楽しんでもらいたいという気持ちが準備当初から見られた。保育者は時間が許す限り、やりたいことができるよう見守りに徹した。屋台や衣装、小道具をグループで話し合い、時間をかけて作り上げ、話し合いでは意見を言えない子を気にかけ、思いやる姿も見られた。

 

5.まとめ

児童票とは、園児の在籍に必要な個人情報や成長記録、保育経過記録などを記載する書類で、その子の個性や成長を次の担任へ引き継ぐといった役割もあります。

保育経過記録は連携を図るうえで特に重要なため、発達・意欲・能力を踏まえた具体的な記載が求められます。日頃から年齢に即した成長の程度や気持ちの動きを観察し、メモを残すことが大切です。

児童票を書くときは先輩の記載例や「その子はどんなことを頑張ったか」「どんなところをもっと伸ばしたいか」など保育の5領域に沿って考えると比較的スムーズにまとめやすくなるでしょう。


参考:

厚生労働省 保育所保育指針解説