保育日誌を効率的に、正確に書くことはとても重要です。子どもたちの成長をしっかり記録し、毎日の保育に活かせる保育日誌を書くことがポイントといえます。

 

今回は、保育日誌の目的や内容、書き方のコツを紹介します。あわせて、年齢別に保育日誌の例文集やアプリを活用した保育日誌についてもまとめました。

 

保育日誌を上手く書けなくて悩んでいる保育士の方は、ぜひ参考にしてください。

保育日誌とは

 

保育日誌とは、保育士から見た園や子ども達の様子について書く毎日の記録です。

 

保育日誌には、その日の保育のねらいや子どもの様子をはじめ、反省点や今後に生かしていきたい点なども記載するため、単なる日記ではありません。

保育日誌の目的とは

保育日誌の目的は、その日の保育の振り返りと反省です。

 

そのため、今日の子どもの様子はどうだったか、自分たち保育士の対応は適切だったのかなどを振り返りながら書くことが大切になります。

 

保育日誌に関しては、厚生労働省の資料である「保育所保育指針解説」にも記載があります。その資料には、「保育の過程を記録し、それを踏まえた保育内容の見直しや改善を行うことの重要性」について書かれています。

 

単なる記録で終わらないよう、保育日誌は目的を意識しながら書いていくことが大切だと言えるでしょう。

 

保育は毎日同じことの繰り返しではありません。日々変化していく子どもの様子をとらえ、今日あったことを振り返り、明日の保育に生かしていくことが大切です。

 

保育日誌の内容とは

保育日誌は、以下のような流れで書くのが一般的です。

 

まず、その日の保育状況や出席者数などについて記載します。季節によっては感染症などが流行している時期もあるため、出席している子どもの全体的な健康状態なども記載すると良いでしょう。

 

次に、その日の保育の内容や活動の様子を記載します。何か新しい取り組みを行う際は、そのねらいや目的、やってみて実際どうだったかまでを書くと今後に役立てられます。

 

最後は、その日の振り返りです。自分の保育、または園全体の反省点や振り返りでも良いでしょう。

 

このように、保育日誌にはその日の様子をただ書くだけでなく、その日の保育に対しての自分の意志や思いを入れて書くことが大切です。

保育日誌を書くコツとは

 

目的や書く内容を理解したといっても、初めて保育日誌を書く場合は、どのように書いたら良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。

 

保育日誌は子どもが帰った後に書くことが多く、長い1日を終えた疲労感で何も浮かばないという場合もあるでしょう。

 

しかし、保育日誌は書くコツさえ理解できれば簡単に書けるようになります。ここからは、効率的に保育日誌を書くためのコツを4つ紹介するため、ぜひ参考にしてください。

テンプレートを用意する

保育日誌の書き方は園によって異なるため、すでにテンプレートが用意されているところも多いでしょう。

 

もちろん、テンプレートに沿わずオリジナリティあふれるものを書いても構いませんが、保育日誌が負担になって、日々の保育に支障をきたしては元も子もありません。

 

初めのうちは、テンプレートを活用しましょう。保育園にテンプレートの用意がない場合にはインターネットなどで探し、それに沿って書いてみることをおすすめします。

日頃からメモすることを意識する

保育日誌は毎日書く必要があるため、書くことが何も浮かばないという日もあるでしょう。そんな日のために、日頃から子どもの様子などをメモしておくことをおすすめします。

 

特に反省点や気づきなどは、その瞬間に書き留めておかないと忘れてしまうこともあります。発見や気づきがあったら簡単にメモをとり、保育日誌に活かしましょう。

 

保育日誌にあまり時間をかけたくないという方は、こまめにメモすることを意識してみましょう。

反省や改善点をまとめる

保育日誌を書く際、反省点などの振り返りの部分は時間がかかる箇所です。特に、文章を考えるのが苦手といった方の場合、一番時間と労力を使う箇所ではないでしょうか。

 

反省点や改善点を書く際のポイントは、その日のねらいや目的の達成度を書くことです。

 

ねらいや目的はどの程度達成できたのか、できていなかった場合は何が理由なのかなどを書きましょう。

 

最後に、その反省点を今後どう生かしていくのかをまとめれば、保育日誌としては十分なものになるでしょう。

先輩の日誌を参考に学ぶ

テンプレートに沿って書いても上手に書けないという場合は、過去の先輩の日誌を参考にしてみましょう。実際の保育日誌を見ることで、書き方が理解できます。

 

また、先輩からの了承を得たうえで、慣れるまでは真似して書いてみるのもおすすめです。もちろん、同僚の保育日誌を見せてもらっても良いでしょう。

 

それぞれの日誌を参考にしながら何度も書いていけば、次第に慣れてきて自分の言葉で書けるようになるでしょう。

【年齢別】0歳~5歳の保育日誌の例文集

 

ここでは、年齢別の保育日誌の例文を紹介していきます。

 

前述したコツを踏まえ、「ねらい」「活動内容」「子どもの様子」「反省と感想」の4つの項目に分けて記載することで、時間をかけずに終わらせられるでしょう。

0歳児の場合

0歳児は、月齢や個人による差が大きく表れる時期と言われています。そのため、保育園でも子ども一人ひとりに合わせたサポートが重要になってくるでしょう。

 

・「ねらい」
・興味のあるおもちゃで遊ぶ。
・保育士とともに手遊びで遊ぶ。

 

・「活動内容」
・さまざまなおもちゃに触れられる時間を作る。
・音楽を交えて手遊びをする。

 

・「子どもの様子」
・音が鳴るおもちゃが人気の様子で、鈴やマラカスを鳴らしてご機嫌な子どもが多かった。
・手遊びへの興味はそれぞれの様子。気に入った子どもは、声を出して遊んでいた。

 

・「反省と感想」
・音が鳴るおもちゃは大人気だったので、量を増やしたいと感じた。
・手遊びは眠たそうにしている子どもも多かったので、行う時間帯はご機嫌な子どもが
多い午前中が良いかと感じた。

 

0歳児は、まだ自分の感情や思いを上手に伝えることが難しい年齢です。

 

保育日誌には日々の子どもたちの様子を細かく記載し、様子をうかがっていきましょう。

1歳児の場合

0歳児同様、1歳児も月齢による違いが大きく出る時期です。

 

体の成長やできることの多さなども異なり、特に歩きたての時期などは怪我をしやすいため注意が必要です。

 

・「ねらい」
・体をたくさん動かして遊ぶ。
・食事に興味を持ち、自分で食べるようにする。

 

・「活動内容」
・部屋にマットを引き、遊ぶ。
・食事は楽しい雰囲気の中で行う。

 

・「子どもの様子」
・マット運動は多くの子どもが楽しそうでした。
・できる子は手づかみやスプーンでご飯を食べようとしている姿が見れた。

 

・「反省と感想」
・マット運動は子どもによってできることの差を感じた。次は、アクシデント防止のためにも2つのグループに分けて行いたい。
・食べることに興味がない子どももいるので、食事は楽しい時間であるということを教えていきたい。

 

1歳児は歩けるようになる子どもも多く、できることが増える時期でもあります。保育日誌には、子どもたちの成長の様子なども記載しておきましょう。

2歳児の場合

2歳頃になると、子どもに自我が芽生えてくると言われています。また、いろいろなことに興味を持ち出す時期でもあるでしょう。

 

・「ねらい」
・トイレのタイミングに自分で気づき、保育士に伝える。
・お外で遊びをみんなで楽しむ。

 

・「活動内容」
・トイレの声掛けをする。
・お外でみんなで追いかけっこをする。

 

・「子どもの様子」
・トイレの声掛けは反応してくれる子どももいれば、そうでない子どももいた。
・外遊びはみんな大好きな様子。たくさん走って楽しそうだった。

 

・「反省と感想」
・トイレはもう少し個別に声をかける頻度を増やしていきたいと思った。
・外遊びでは、子どもにいろいろなことを教えられるので、気候が良いうちはたくさん取り入れていきたいと感じた。

 

2歳頃は子どももできることが増え、保育士側はトイレトレーニングなど教えることが増える時期でもあります。

 

そのため、「何を教えたのか」や「様子はどうだったか」などを、保育日誌に書いていくと良いでしょう。

3歳児の場合

3歳頃になるとお話しも上手になり、自分の思いを言葉で伝えようとしてきます。また、友達との関わりが増えてくる時期でもあるでしょう。

 

・「ねらい」
・自分のことは自分でできるようにする。
・お友達と仲良く遊んでみる。

 

・「活動内容」
・お着替えなど、できるところまでは自分でやるよう声をかける。
・お部屋にいる時間は、おもちゃを使ってお友達と遊べるよう時間を作る。

 

・「子どもの様子」
・自分のことは自分でやろうとする子どもが多かった。
・おもちゃの貸し借りが上手にできずもめている子どもたちもいたが、仲良く遊べている時間もあった。

 

・「反省と感想」
・できることが子どもによって違うので、声掛けのタイミングが難しいと感じた。
・みんなと仲良く遊べない子どももいたので、声かけを徹底していきたい。

 

3歳頃になると少しずつ個性も出てくるため、子どもに応じた声掛けが大切になります。保育日誌では、気になった子どもにどう対応したかなどを書いておくと、後で役立でしょう。

4歳児の場合

4歳にもなるといろいろなことが理解できるようになるため、ルールや集団行動について教える時期になります。

 

・「ねらい」
・みんなで楽しめるようルールを守ることを知る。
・外遊びから帰ったら手洗いうがいを行うことの大切さを知る。

 

・「活動内容」
・外でフルーツバスケットを行い、みんなで楽しむ。
・手洗いうがいの大切さを紙芝居で説明する。

 

・「子どもの様子」
・フルーツバスケットは最初は理解できていない子どももいたが、何回かやっているうちにルールを理解し楽しそうだった。
・手洗いうがいの紙芝居は興味を持って聞いてくれた。

 

・「反省と感想」
・みんなが大好きな外遊びで、今後もルールの大切さを教えていきたい。
・手洗いうがいの大切さを、日々の生活の中で継続して教えていきたい。

 

4歳頃の子どもは保育士とだけでなく、お友達との関わりの中でも学ぶことが増えてきます。子ども同士で何かしている際はそっと外から観察し、その様子などを日誌に書くのもおすすめです。

5歳児の場合

5歳頃になると個人の性格の違いが顕著に表れます。そのため、保育士には子どもの個性に合わせたサポートが求められるでしょう。

 

・「ねらい」
・園庭で下の年齢の子どもと遊んでみる。
・クラスで話し合って意見をまとめる。

 

・「活動内容」
・園庭で3歳児クラスの子どもたちと遊ぶ時間を設けた。
・クリスマス会のお遊戯の内容をみんなで話し合った。

 

・「子どもの様子」
・3歳児の子どもたちと仲良く遊べた。
・話し合いではいろいろなアイディアが出て盛り上がったが、なかなか決まらなかった。

 

・「反省と感想」
・年下の子どもたちと遊ぶ様子を見て、成長を感じた。子どもの自信にもつながると感じたので、また機会を見てやりたいと思った。
・話し合いで意見を言う子どもが一部なのが気になった。もっとみんなが意見を言い合えるよう声をかけていきたい。

 

最年長クラスの5歳児は、周りからお兄さん、お姉さんとして見られることが多くなります。保育日誌には、子どもたちの成長の様子をたくさん書いてあげましょう。

アプリを使えば保育日誌もラクに??

IT化が進む現代では、世の中のさまざまな場面で業務の効率化が図られています。

 

その流れの中で、保育士の負担を軽減するために保育日誌をアプリで管理する保育園が増えているのをご存知でしょうか。

 

保育日誌アプリの大きなメリットは、日誌を書く時間を短縮できるうえに効率的な管理ができることです。

 

保育日誌アプリの場合、日誌はデータで管理されます。また、作成後は全保育士が簡単に閲覧できるため、情報の共有も簡単にできます。

 

さらに、多くのアプリには検索機能がついているため、過去の情報などもすぐに検索できるのもメリットと言えるでしょう。

 

従来の紙による保育日誌の保管では、増えていく日誌を置くスペースの確保や、過去の情報の検索にかかる手間、さらには紛失などによる情報管理のリスクなどがありました。

 

しかし、これらの問題も保育日誌アプリを導入することで解消できます。保育日誌アプリを活用し、作業の効率化をご検討ください。

まとめ

保育士の主な仕事は、日々子どもと接しながら子どもの成長をサポートすることです。

 

そして、その仕事を行うためには、日々の子どもたちの様子や振り返りなどを記載する保育日誌は必須なものでしょう。

 

本記事では、保育日誌を作成するコツを紹介しましたが、効率的な業務のためにアプリを活用するのもおすすめです。保育日誌を子どもの成長につなげるのはもちろんのこと、自分自身が保育士としてもっと輝けるよう、上手に活用していきましょう。