待機児童問題の解消が、想定以上に早く収束してきたと感じている保育事業者の方は多いのではないでしょうか?待機児童が減り、園児定員数に空きが出てくる中で、保育園の多機能化をはじめとした変化を求める議論もあります。さて、ここでは保育園の多機能化が求められている背景や当グループ保育園が行っている取り組みをご紹介します。

待機児童対策の現状

これまで行政は待機児童の解消に向けて、保育園の新規開設、増改築のほか、利用定員・受入児童数の拡大などをすすめてきました。その甲斐あって、2017年には26,081人いた待機児童の数はその後4年連続で減少し、2021年4月には5,634人となりました。8割超の市町村で待機児童数ゼロと報告されるなど、全国的に見れば待機児童問題の解消は相当程度進んでいます。厚生労働省は、今後も共働き家庭の増加を見据え、「新子育て安心プラン」において4年間で14万人の保育の受け皿を用意する方向性を示しています。
待機児童数ゼロを目指した政策が行き届き、保育を必要としている人に保育が行き届くようになることは、公共の福祉にとって喜ばしいことです。一方で保育園にとっては、園児定員数に空きが増加し、焦りを感じている保育事業者もいるのではないでしょうか。

 

出典:厚生労働省 「保育を取り巻く状況について」 

厚生労働省では、保育所の利用児童数のピークは令和7年になると見込んでいます。今後さらに少子化が進み、保育園が溢れる時代の到来を見据えて、保育事業者は、事業存続か撤退か、存続ならばどのように運営していくかを模索していく必要があります。

人口の減少している地域、増加している地域ごとの保育支援とは

厚生労働省は「新子育て安心プラン」の中で「地域の特性に応じた支援」を掲げています。
具体的には、まず、人口が増加している地域は、待機児童も多い傾向にあるため、保育園の整備費等補助率の嵩上げを行っています。保育園を開設するための改修費用や、より良い保育環境を整備するための改修費も補助の対象として支援されるようになりました。
次に、利用者が保育サービスを必要としていながら、保育園の申込に至っていないなどのミスマッチが起きている地域には、保育コンシェルジュによる相談支援や、遠方の保育園でも通えるようにする巡回バスによる送迎の支援に加算を設けるなどの対策が進められています。
このほか、人口減少地域については、他の地域と比べると保育園の統廃合が行われた割合が高く、今まさに今後の在り方が議論されています。

議論される人口減少地域保育園の多機能化

「保育園の多機能化」とは一体どういうことでしょうか?これまでも地域の子育支援を担ってきた保育園ですが、厚生労働省では、保育園に通っていない3歳未満の子どもの一時預かり、核家族化で子育ての悩みや不安を抱える人に対する子育て相談、子ども食堂の運営、といった地域の子育支援のほか、医療的ケア児や外国籍の子どもの受入のための通訳との連携などが検討されています。

AIAIグループの取組事例

保育園の多機能化は、一方で保育園職員の負担を伴います。しかしながら、少子化が急激に進んでいる昨今、行政からの要請や打診を受けてから取り組みの準備を始めたのでは、利用者のニーズは満たせません。このような状況を踏まえて、当グループの保育園のAIAI NURSERYでは、障害児支援を強化し始めています。
また、当グループではAIAI NURSERYのほか、児童発達支援事業と放課後等デイサービス事業及び保育所等訪問支援を展開する多機能型施設である「AIAI PLUS」も運営しており、地域の保育園と連携し、プログラムの専門家が運動や学習プログラムを通じて、子どもたちの発達をサポートしています。

まとめ

少子化が加速する現在、保育園は利用者から選ばれる側となり、利用者ニーズを満たすための多機能化が求められるのは必然の流れです。しかし、すでに幅広く専門性が求められている保育所において、地域のあらゆる子育支援をすべて担うのは難しいものです。AIAIグループでは障害児の発達支援を強化していますが、AIAI PLUSは当グループ以外の保育園への訪問支援も行っておりますので、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

 


参考:
厚生労働省 「令和3年待機児童数の調査のポイント」
厚生労働省 「保育を取り巻く状況について」
山陽新聞デジタル 「保育所の多機能化 少子化への展望どう描く」