保育士としてのキャリアを積んだ先生は、保育指導案(指導計画)の添削や助言をする場面が多くあります。ここでは、この中心的な役割を任されることの多い主任保育士が、保育指導案(指導計画)の添削において気をつけたいことや、ポイントをまとめていきたいと思います。

保育指導案(指導計画)について確認してください!と言われたとき…どうしていますか?

保育指導案(指導計画)の作成は保育目標を実現するために大切な業務です。
保育の計画に関する指導や助言は、(1)計画を立てるとき と(2)計画を実行した後、の二つの場面で求められます。
そのなかで、「計画が子どもの発達に合っていないから直してみて」「ねらいはこれで達成できるかな?」というざっくりとしたアドバイスになってしまったり、自身の経験のみを踏まえて「環境構成はこのほうが良い」「こんな援助もできる」と、たくさん添削したくなってしまうことはないでしょうか?
保育指導案(指導計画)を書くという作業そのものが仕事の目的になってしまわないように、そもそも保育指導案(指導計画)は、なんのためにあるのかを改めて考えてみましょう。

なぜ保育指導案(指導計画)を書かなくてはいけないの?

振り返りの指標になる

保育指導案(指導計画)を立てた後、保育士が思っていたように子どもが行動するとは限りませんが、あくまで計画なので、計画通りに進まなくても問題はありません。しかし、計画通りにならなった場合や、子どもの思わぬ行動があった場合、なぜそうなったのか、本来どうあるべきなのか、どんなふうになってほしいかを保育士自ら考え、次の行動に活かす振り返りこそが、保育士の成長には不可欠です。

自身の保育観を整理できる

保育指導案(指導計画)は、子どもの姿を捉えて、自分の保育観を整理するものでもあります。目の前の子どもたちのために「こんな保育をしよう!」ということを言語化し、より具体的に子どもの姿をイメージすることで、援助方法や環境構成などの準備がスムーズになります。また、自身の保育観やねらいを他の先生と共有することで、協力も得やすくなります。

以上のように、保育指導案(指導計画)を作成することで、保育士自身の振り返りの指標となったり、自身の保育観の整理につなげたりすることができます。
もし、指導計画が書けないと悩む先生がいたら、この意義について理解を深めてもらえるように助言・指導していきたいですね。

保育指導案(指導計画)の添削のポイント

では次に、実際に保育指導案(指導計画)添削をするときのポイントをまとめましたので、参考にしてみてください。

全体的な計画・年間指導計画の目標に沿った”ねらい”が設定されているか
・ねらいには「養護」「教育」それぞれの視点が含まれているか
・ねらいは「今の子どもの生活する姿」を踏まえて作成されているか
・ねらいを達成するにふさわしい「内容」が計画されているか
・発達の連続性(様々な経験とそれを通した育ちの姿)を踏まえて作成されているか
・評価と反省では、実際に保育を行うなかで見られた子どもの姿を通して、子どもの生活や育ちの実態を捉え直すことができているか

これらが保育指導案(指導計画)の添削を行う場合の主なポイントです。
添削をする際は、これらを網羅することが大切なのではなく、これらの点のなかで”何につまずいているか”を明確にすることが大切です。
また、出来ている部分を見つけてあげることも自信につながります。

【まとめ】保育指導案(指導計画)を生かすために大切なこと

保育指導案(指導計画)の添削や助言を行う際に大切なことは、計画を完璧に作ることではありません。本当に大切なのは、保育士が指導計画に基づいて保育を実践し、1人ひとりの子どもに対する援助が適切であったかを振り返り、そこから浮かび上がってきた改善点を次の指導計画に反映できるように導くことです。
これまで見てきたポイントを押さえて
・どのようなことに興味・関心を持っているのか?
・どのようにして遊んだり生活したりしているのか?
また、子どもの育ちや内面の状態を理解しているかを担任の保育士に確認し、
・何につまずいているか
を明確にしていくことを意識して、【計画・実行・確認・改善】の一連の業務サイクルがしっかりと回っていくよう、支援していきたいですね。


参考文献:
厚生労働省   保育所保育指針解説

主任保育士の教科書ーあい・あい保育園編ー