今回は、プール開きの言葉の意味から、保育園におけるプール遊びの注意点やプール遊びにおすすめのアイデアなどを紹介します。事前準備についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
保育園のプール開きとは?時期やねらいは?
プール開きとは、その年に初めて水泳プールを使うことを指します。保育園の年間行事の1つであるプール開きですが、時期やねらいについてよく知らないという方もいるのではないでしょうか。
ここからは、プール開きの時期は大体いつごろか、プール開きのねらいは何なのかについて説明していきます。
プール開きの時期について
一般的に、保育園や幼稚園のプール開きは、6月上旬ごろや7月上旬ごろに始まることが多いです。
ただし、地域によって時期はズレることがあり、北海道は7月中旬ごろ、東北・関東・関西などは7月上旬ごろ、九州・沖縄などは6月上旬ごろに始まると言われています。
九州や沖縄はほかの地域に比べ、早めにプール開きが行われるのが特徴です。とくに沖縄の小学校や中学校は、5月下旬ごろから始まることもあります。
また北海道は、気温が高い時期が短いので、プールで遊べる期間がほかの地域よりも短いのが特徴です。
プール開きのねらいについて
プール開きのねらいとしては、プール開きの安全を祈る、水に慣れさせる、夏ならではの遊びを楽しんでもらう、運動不足の解消などがあげられます。
幼稚園や保育園からプール場での集団行動について知っておくことで、小学校のプールの授業でも戸惑うことなく行動できるというメリットもあります。また、小学校に上がる前に水への苦手意識を和らげられる可能性もあるため、プール開きは次段階への準備にもつながります。
ほかにも、プール遊びを通して子どもたちに約束ごとを伝えることができます。子どもたちにプール遊びの約束ごとを守ってもらうことで、楽しく安全にプール遊びができるでしょう。
プール開きの事前準備
水遊びのマニュアルを作成
マニュアルを作成する際は、厚生労働省が示している「保育所、地域型保育事業及び認可外保育施設においてプール活動・水遊びを行う場合の事故の防止について」を読んでおくことをおすすめします。
また、消費者庁が掲載している「プール活動・水遊びに関するチェックリスト」を参考にすることで、水遊び前・水遊び中・溺れてしまった時の対処法が分かります。
ほかにも、幼稚園と保育園、認定こども園向けにイラスト付きで書かれた資料もあるため、マニュアルを作成する際に役立ちます。
マニュアルでは、子どもにも分かりやすい資料を作成することにより、どのようなことが危険につながるのかなどを伝えることができます。以下の資料をもとにして、適切な監視の仕方や指導体制の確保、緊急時への備え、点検項目などをまとめたマニュアルを作成すると良いです。
保護者におたよりや手紙を作成
保護者と情報を共有することで、子どもたちの安全を守ることにもつながります。
おたよりや手紙などでは、プール遊びに必要な物、子どもの健康管理について、プール遊びでの子どもの様子、プール遊びを行う際の園の体制などを記載しておくと良いです。
そして、 プール遊びで発生する水の事故について不安に思う保護者のために、プール遊びでの子どもの様子を丁寧に伝えましょう。そうすることで、しっかりと見守ってもらえていると感じてもらえます。また、園での監視体制や安全確保策なども伝えておくこともポイントです。
水が苦手な子どもがいる場合は、プールに入った経験はあるかなどを事前に保護者と共有しておきましょう。その情報を把握していることで、その子の気持ちを察しやすくなります。水が苦手でも、プール遊びを楽しめるようサポートしてあげましょう。
プールの安全点検・確認
プール開きをする前には、安全点検や確認を入念に行います。
プール移動の際、子どもたちは裸足です。子どもたちが怪我をしないように、ゴミや怪我する物が落ちていないか点検をしたり、場所や設置方法は使用しているプールの形に適切かなどをチェックしたりしましょう。
また、プールの用具を点検したり、タイムスケジュールや動線を確認したり、職員の役割や配置の確認をしておくなど、子どもたちが安全に泳げるよう、事前に職員同士で共有しておくことも必要です。
プール開き当日の流れ
ここからは、プール開きの当日の流れについておおまかに説明していきます。プール開きの日が決まったら、以下で説明する内容を参考に準備しましょう。
プール開きの当日の流れを知っておくことで、何をすれば良いか混乱する必要がなくなります。保育園ごとに決められている場合もあるため、おおまかで良いので頭に入れておくことをおすすめします。
プールの楽しさを伝える
プールの楽しさを伝える必要性はないだろうと考える方もいますが、プールが好きな子どもばかりではありません。水が苦手な子どもはプール開きに不安があります。
そのため、プールは楽しいということを伝えることで、水に入ることへの抵抗を和らげることができます。プール開きを楽しみにできるような、ワクワクする導入を行いましょう。
安全を祈願する
多くの保育園や幼稚園などでは、水の神様に事故や怪我が起こらないようにと安全を祈願します。
このような儀式は、昔からある水に対する信仰が由来していると言われています。塩とお酒を使用してお清めを行うのが一般的です。流れを把握できていないという方は、一度調べておきましょう。
プールでの約束事をしっかり伝える
プール開きでは、怪我や事故につながらないようにするためにも、約束事を子どもたちにしっかりと伝える必要があります。
ただし、単に口頭で伝えるだけでは子どもたちの記憶に残りにくいため、どのように伝えるか工夫しましょう。
後の見出しで、約束事を出し物で伝える工夫について記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
準備体操をする
ここまで、子どもたちと入念に準備ができたら、最後に準備体操をしましょう。
準備体操は、たくさん体を動かす前に体を慣らしておくためにも大切です。子どもたちが好きな音楽をかけることで、楽しみながらストレッチができます。状況に応じて、YouTubeなどの動画や子どもたちに馴染みのある音楽を使用するのがおすすめです。
子どもたちに伝えておくべき約束事
実際に水遊びの準備を始めると、子どもたちにどのような約束を伝えておくべきなのか分からないという方もいるでしょう。伝える内容に悩んでいる方は、以下の約束事を参考にしてみてください。
・体調が悪い時は時は無理して入らないようにしましょう
・朝ごはんを毎日しっかりと食べてきましょう
・プールの持ち物は忘れずに持ってきましょう
・プールの前にはトイレに行っておきましょう
・プールの前にはしっかりと準備体操をしましょう
・走ったり、ふざけたり、押したりしないようにしましょう
・飛び込んだりせず、足からゆっくりと水に入りましょう
怪我なく楽しくプール遊びができるように、これらの項目を守ることは大切です。次に、この約束事をどのように伝えるかについて説明します。
出し物を使って伝えよう
ただ話して伝えるのはなく、出し物を使うことで子どもたちに伝わりやすくなります。視覚的な情報があると記憶にも残りやすく、絵を使った物や劇などをすると子どもたちも興味津々で聞いてくれます。
ここからは、出し物について詳しく紹介していきます。子どもたちに約束事をしっかり頭に入れてほしいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
劇を見せる
劇を見せることで、約束事の重要さをリアルに感じることができるので、理解しやすくなります。
「ももたろう」や「人魚姫」など、海や川が関連している物語は数多くあります。このような昔話に出てくる主人公を使って、オリジナルの脚本をかいて劇をしてみると面白いです。
青いビニールテープなどさいたり、ブルーシートを用いたりして海を表現するのもおすすめです。子どもたちが、早くプールで遊びたいと思うような劇を作ってください。
絵本の読み聞かせを行う
水遊びに関連する絵本の読み聞かせをすることで、約束事を夢中になって聞いてくれます。
主人公や動物などが楽しそうに泳いでいたり、水遊びを楽しんでいる姿をみたりすると、子どもたちも水遊びしたいという気持ちが高まります。ワクワクした気持ちになるように、登場人物になりきって読んであげましょう。
クイズを行う
約束事をクイズにして伝える方法もあります。
クイズにすることで、子どもたちは一生懸命考えるので記憶にも残りやすいです。年齢に応じて〇×形式のクイズにするなどして、みんなが参加しやすいクイズを作りましょう。
○×クイズにする場合は、〇と×のスペースを作って答えだと思うエリアに移動してもらう方式で行うと、子どもたちが楽しみながら覚えてくれるためおすすめです。
ペープサートを作る
ペープサートは、2枚の紙に絵をかいて割り箸や竹串に挟んで張り合わせ、うちわのような形にしたものです。
このペープサートで水にちなんだ物を作り、プールに入る時の約束事や楽しさを伝えてみましょう。簡単に作ることができますし、記憶にも残りやすいようなインパクトもあるため、しっかりとポイントを伝えたい場合に使用してください。
プール遊び・ゲームのおすすめアイデア3選
ここでは、プール遊びで使えるゲームのアイデアを紹介していきます。ただ、プールで遊ぶだけというのも楽しいですが、ゲームなどを用意するとより盛り上がります。
子どもたちにプール遊びを思う存分楽しんでほしいけど、何をしたら良いか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
宝探し
水中で宝探しするゲームは、子どもたちをワクワクさせてくれるためおすすめです。
準備する物は、水を入れられる小さめのボトルやガチャポンのケースです。
遊び方は、まず子どもたちに、プールの壁面に背中をむけて並んでもらいます。そのあと、職員が水中に宝を散らばして沈めます。沈めた後、子どもたちに合図をして、水中に沈んでいる宝を見つけてもらいます。
子どもが楽しめるようにするためには、踏んでしまっても怪我をしない宝を用意することがポイントです。また、人数が多いとトラブルが起こる可能性があるので、チーム制にして行いましょう。
トンネル
簡単だけど楽しめるのが、フープを使ったトンネル遊びです。
準備する物はフープのみです。職員が水中でフープを持ち、子どもたちにそれをトンネルのようにくぐってもらいます。一列に並んで順番に行うことでスムーズに進行できます。
慣れてきたら、高さや向きを変えることでより楽しめるので、ぜひ取り入れてみてください。
じょうろ・水鉄砲
じょうろや水鉄砲を使うのも、子どもたちのテンションが上がるためおすすめです。準備する際も、100円均一ショップなどで売っている物を使用すれば、安く手に入れることができます。
とくに水鉄砲は、ごっこ遊びすると大盛り上がりでしょう。また、プール遊びがあまり得意ではないという子どもでも、これを使えば水に入らなくても楽しめます。
このようなアイテムを使用することで、プール遊びをよりワクワクさせることができるためおすすめです。
保育園のプール遊びの注意点
水温や水量は適切かどうか
水温や水量の確認をすることは、子どもたちにプール遊びを楽しんでもらうためにも大切なポイントです。
水温は、子どもたちの体調面に影響を及ぼす可能性があります。また、その日の気温の変動によって、水温が途中で変化することもあるため、最初だけ水温を確認したら終わりではなく、決まった時間に確かめるようにしましょう。
水量については、子どもたちの安全に関わります。プールの形によって水深は違うため、子どもたちが入っている様子を見て確認することをおすすめします。
子どもの体調はどうか
プールに入る前に、子どもの体調をチェックしておくことも重要です。
水遊びの日は保護者にいつも以上に子どもの様子や体温を確認してもらい、詳細等を教えてもらいましょう。大事なポイントをピックアップしたチェックシートなどを用意しておくと良いです。
また、伝染性膿痂疹(とびひ)などは触れることで感染する恐れがあるため、そのような症状がでていないかなどの確認もしてください。
監視係はいるか
プール開きでは、監視係を必ず配置してください。監視係は、子どもを守るために必要な存在です。
監視エリアの全体を見渡せるように、プールサイドから監視することがポイントです。立ち位置や監視方法を調節して、死角ができないように気をつけてください。
また、子どもに怪我などのトラブルが起こっても、そちらに人が集中してしまって監視が疎かになるというようなケースがないように、前もって対策を考えておきましょう。
準備体操を行う
いきなり激しい運動をしてしまうと体に負担がかかり、怪我につながってしまう可能性があります。準備体操を行うことで、眠っている体を徐々に目覚めさせることができるので、しっかり行いましょう。
子どもたちがなかなか準備体操をしてくれない場合は、子どもたちの好きな曲を使ってもみるのがおすすめです。
こまめな休憩・水分補給
水遊びをする際は、こまめに休憩をとるようにします。
休憩をとることで熱中症や水分不足の予防、トイレをする時間の確保、プールを点検する時間の確保などがあります。とくに、暑い日は水分補給をこまめにするように心がけることが大切です。
子どもたちは楽しくなって遊びに夢中になってしまうこともありますが、様子をみながらこまめに休憩や水分をとるように促しましょう。
どうしても休憩をとってくれない場合は、休憩や水分補給をとることの大切さを前述した約束事に触れて伝えると、より伝わりやすくなります。
保育士の業務支援システムはChild Care System
Child Care Sysyemは、保育現場の声から生まれた保育業務支援システムです。
このChild Care Sysyemを使うことで保育業務をICT化し、園児一人ひとりと向き合う時間を増やすことができます。
配置基準を満たしたシフト作成や、月案や園だよりの各種帳票作成、保護者との連絡ツールや保育料金請求機能、ヒヤリハットや避難訓練報告書など、100以上の機能を持っています。
このシステムは保育園や幼稚園、小規模保育事業、認定こども園、学童施設など、950施設に導入実績があるため導入しやすいことが分かります。
業務の効率化をはかり、子どもたちとの触れ合いの時間を増やしたい、見守る時間を作りたいという方はぜひご覧になってください。
まとめ
保育園のプール開きの時期や事前準備、プール遊びのおすすめアイデアなどを紹介してきました。事前準備について把握することで、プール開きが始まっても慌てることなく対応できます。
子どもたちに伝えておくべき約束事については、ただ口頭で話すだけでは記憶に残らないものです。記事内で紹介した、劇や絵本の読み聞かせやクイズ、ペープサートなどを使用して、子どもたちが興味を惹くように伝えるようにすると良いです。
また、子どもたちのプール遊びを安全なものにするために、保育園のプール遊びの注意点についてはしっかりと押さえておく必要があります。監視係の配置などについてはマニュアルを作成し、職員全員に共有しておくことが重要です。
プール開きは、子どもたちが楽しみにしている行事の1つでもあります。この記事を参考にして、子どもたちにプール遊びを思う存分楽しんでもらいましょう。