保育士として、保育園でオムツを処分する場合にかかる費用や処分方法を理解しておくことはとても重要です。自治体や園によってオムツの処分方法は異なるため、しっかりと把握しておく必要があります。
汚れたオムツの処分方法には、保育園で捨てる場合や保護者に持ち帰っていただく場合などが考えられるでしょう。
今回は、保育園でのオムツの処分費用や自治体や園によって処分方法が違う理由をご紹介します。
実は自治体や園によって違う!汚れたオムツの処分方法
突然ですが、保育園で汚れたおむつって、どうしてますか?
実は、使用済みおむつの処理方法は、自治体や園によって、色々なやり方があるんです。
1.保育園で捨てる
2.保護者に持ち帰っていただく
3.洗って干す(布おむつの場合のみ可能)
これ以外のパターンもあるかもしれませんが、ここではこの3パターンを見ていきますね。
1.保育園で捨てる場合
「保護者目線」のメリット・デメリット
・メリット:自宅でオムツを捨てなくて済む
・デメリット:便から子どもの健康状態を把握できない
「保育士(保育園)目線」のメリット・デメリット
・メリット:どのオムツが誰のかを管理しなくていい
・デメリット:汚れたオムツは産業廃棄物であるため、産廃処理費用を負担する必要がある
保護者からすれば、メリットは大きいですが、保育士(保育園)からすれば、費用を負担することになるため、費用面を考えると捨てるのは難しいようです。
2.保護者に持ち帰っていただく場合
「保護者目線」のメリット・デメリット
・メリット:便から子どもの健康状態を把握できる
・デメリット:夏場は送り迎えの際に車内に充満する匂いが気になる
・デメリット:本人の状態を見て体調を把握しているためオムツを廃棄する手間がかかる
「保育士(保育園)目線」のメリット・デメリット
・メリット:産廃処理費用がかからない
・デメリット:どのオムツが誰のかを管理しなければならない
どちらにもデメリットはありますが、臭いや衛生面を考えると保護者にとってデメリットが大きいと言えるでしょう。
3.洗って干す場合(布オムツのみ可能な手段)
「保護者目線」のメリット・デメリット
・メリット:布オムツを履かせる方が、結果としてオムツ外れが早くなる
・デメリット:布おむつで育てるという覚悟がないと難しい
・デメリット:掃除と洗濯の回数が増える
「保育士(保育園)目線」のデメリット
・掃除と洗濯の回数が増える
自治体や園によっては布オムツを推奨していますが、汚れた布オムツを毎回洗って干すのはどちらの負担もかなり大きいでしょう。
なぜ自治体や園によって汚れたオムツを持ち帰るの?
ではなぜ、自治体や園によって汚れたオムツを持ち帰るのでしょうか。ここでは、自治体や園によって汚れたオムツを持ち帰る理由について紹介していきます。
汚れたオムツを持ち帰る理由が気になるという方は、ぜひチェックしてみてください。
オムツの処分費用削減のため
自治体や園によって汚れたオムツを持ち帰る理由の1つは、オムツの処分費用を削減するためです。汚れたオムツを園内で処分することに賛成の保育士はいますが、産廃処理費用がかさむとして却下されるケースもあるようです。
処分費用が確保できないという理由のみであれば、自己負担でもいいと考える保護者は多いでしょう。それほど汚れたオムツを持ち帰るのは負担が大きいことなのです。
では、汚れたオムツを処分するための費用は一体どれほどかかるのでしょうか。以下で紹介していくため、チェックしてみてください。
業者に委託した場合の処分費用とは?
業者に委託した場合の処分費用が知りたいという方も多いのではないでしょうか。ここでは、業者に委託した場合の処分費用を紹介していきます。
すでに汚れたオムツの処分を業者に委託している豊島区の場合、103ある施設の予算の合計は約1,300万円となっていました。
1施設あたりの処理予算は、12~13万円ほどということが分かるでしょう。つまり、月額に換算すると1施設あたり、およそ1万円となります。
40人在籍している施設であれば、月額の処理費用は1人当たり250円ほどかかることになります。
1日あたり10円ほどになるため、処分費用を負担してでも業者に依頼してほしいという保護者は多いのではないでしょうか。また、前述したような保育士の仕事量も軽減されることでしょう。
健康管理のため
自治体や園によって汚れたオムツを持ち帰るのには、健康管理が関係しています。保育士が管理していたオムツの袋を保護者に持って帰ってもらうことで、健康管理をすることができます。
ただ、近年紙おむつが主流となり、汚れたオムツを捨ててほしいという要望が増えてきたことから、文京区では事業者、豊島区では委託業者がオムツを収集し処分、練馬区の区立保育園では2歳までの園児のオムツを処分してくれるようになりました。
特に、子どもの便に問題があるときのみ、原則保護者に持ち帰ってもらうことで、健康管理は維持できるようです。
園児全員分のオムツを間違えないように仕分けする必要がなくなることは、保育士にとってかなりのメリットになることでしょう。
保管スペースがないため
自治体や園によって汚れたオムツを持ち帰る理由として、保管スペースがないことも挙げられるでしょう。汚れたオムツはビニール袋などで密閉し、ふたがついている容器などで保管する必要があります。さらに、汚れたオムツを保管している場所の消毒も行います。
1日で5回ほどオムツを替えるため、園児が多い保育園ほど保管スペースは圧迫されていくでしょう。また、臭いが漏れたとしても影響が出にくい場所に汚れたオムツを保管する必要があるため、さらに保管は難しくなります。
北区にある施設では、待機児童対策として多めに園児を受け入れていますが、業者が回収するまでに保管できるスペースが確保できないといった課題を挙げていました。
実際のところ、処分費用だけでなく、さまざまな要因が関係していることから、汚れたオムツを持ち帰るケースが減らないのではないでしょうか。
「以前からこのやり方だったから」っていうの一度疑ってみませんか?
汚れたオムツを保護者に持ち帰っていただく場合や洗って干す場合、保護者にかなりの負担をかけることになります。
少しでも保護者の負担を軽くするためにも、自治体の最新のサービスを調べて保育園に相談したり、「持ち帰る負担」から「費用の負担」へ変更できないかを保護者会で提案したりしてみてはいかがでしょうか。
実際には、「以前からこのやり方だったから、それがずっと続いている」という保育園もあるでしょうが、それでは現状を変えることは難しいでしょう。
まとめ
近年、保育園に直接紙オムツが届くサブスクリプションなど、保育士や保護者の負担を軽くするための便利な仕組みやサービスが増えてきています。
さまざまなサービスを活用しながら、子どもたちと向き合ってみてはいかがでしょうか。