保育士は行事前になると通常業務以外の仕事が増え、作業時間を確保するために帰宅時間が遅くなりがちです。卒園児たちを送り出す卒園式を控えた時期に行うお別れ会は、計画段階で保育士の負担を軽減する方法を考えておく必要があります。

 

この記事では、簡単に用意できる出し物をはじめ、子どもたちが盛り上がり良い思い出となるお別れ会を作り上げるヒント、スムーズに指導案を書くコツについて取り上げていきます。

お別れ会のねらいは?

 

お別れ会は全園児が参加できる行事ですが、他のクラスと交流する以外のねらいは在園児と保育園を巣立つ卒園児とで異なります。

 

在園児のねらいは、感謝や祝う気持ちを卒園児に伝える、年次が上がることを理解し期待を膨らませることです。

 

卒園児は保育園での出来事を回想し成長している自分に気づく、お世話になった人に対するお礼の気持ちや年下の子どもたちに対する優しさを持つ、新たなステージへ上がることを意識させるのがねらいとなります。

お別れ会全体の流れは?

卒園予定の子どもにとって、お別れ会は保育園で参加する最後の楽しいイベントです。いつまでも心に残る印象的な会になるような内容を考え、お別れ会全体の流れを組み立ててからプログラムを制作していきましょう。

 

実施内容により流れは違ってきますが、子どもたちが入場した後、始まりの挨拶、ゲームや出し物、終わりの挨拶の順で進行していくのが一般的です。子どもたちを飽きさせず盛り上げていくには、ゲームや出し物の順番が重要になります。

 

生活のリズムが違う乳幼児クラスが参加する場合は、時間を考慮して流れを作りましょう。保育園児全員で行うお別れ会は、0歳児から5歳児まで、どの年齢の子どもでも楽しめる内容を取り入れるのがポイントです。

在園児のお別れ会の出し物アイデア

一緒に踊れるダンス

身体を動かすダンスは子どもたちが盛り上がる出し物です。在園児から卒園児まで一緒に踊れるダンスタイムを取り入れておくと、みんなそろって楽しめます。

 

お別れ会用に新しい曲や振り付けを準備するのではなく、日頃からよく踊っている曲を使ってダンスや体操をしましょう。なじみのある曲が流れてくると、成長した卒園児たちもダンスに熱が入ります。

在園児からの質問タイム

在園児が卒園児に、小学校に進む気持ちや保育園生活について聞きたいことを尋ねる質問タイムを設けてみましょう。質問タイムは、年齢の違う子どもたち同士が触れ合う良い機会です。インタビュー形式など工夫次第で大いに盛り上がります。

 

緊張して上手く受け答えできない子どもがいた時には、先生がフォローしながら進行していきましょう。

在園児からの歌のプレゼント

在園児からプレゼントする歌は、年齢ごとに歌いやすい曲を選びましょう。保育園によっては毎年決まった曲をお別れ会で歌っているケースもあります。歌い継がれている曲を耳にした卒園児は、自分たちが送られる側になったと感じるでしょう。

 

新たに曲を選ぶ際は、感謝の気持ちを伝える歌詞や、小学校入学に対し希望が湧く内容が含まれた歌を探します。

保育士のお別れ会の出し物アイデア

保育士で子どもたちに分かりやすいストーリーの劇を演じてみましょう。保育園で生活する卒園児たちの姿をもとにシナリオを作って演じると、実際のシーンが思い浮かび、楽しかった思い出がよみがえってきます。

 

見せる対象を卒園児に絞らず、在園児たちにも興味が持てるよう劇中に歌や踊りを入れるなど工夫しましょう。

楽器演奏

簡単な楽器の演奏も、お別れ会の思い出づくりに適しています。よく知っている歌や人気のアニメソングを選んで演奏すると、子どもたちは興味を持って聴いてくれます。

 

できれば、卒園児が実際に保育園で歌った曲、踊った曲、合奏した曲を選んで演奏しましょう。知っている曲の演奏は、当時の出来事を思い出すきっかけになります。

保育士からの歌のプレゼント

卒園児へプレゼントする歌は、特別感を持たせましょう。パートごとに練習して合わせ、美しいハーモニーを届けるのもおすすめです。

 

元気の出るアニメソングから卒園のイメージに合うしっとりとした曲まで、子どもが喜ぶ歌はたくさんあります。聴かせるだけでなく、子どもたちと一緒に歌える曲も含めておくと更なる盛り上がりを期待できます。

卒園児に送る手作りプレゼントアイデア

折り紙で作成した花束

折り紙で華やかな花束を作成してみましょう。花、茎、葉、包装、リボンに分けて作り、組み合わせればカラフルな花束が出来上がります。まだ折り紙を折るのが難しいクラスの子どもたちは、切った折り紙と絵で作ることも可能です。

折り紙や紙コップで作成したメダル

首にかけられるメダルは在園児からのプレゼントにピッタリです。折り紙や紙コップを使ったメダルはあまり時間をかけずに作れます。形を作るのが難しい時は、メダルの真ん中部分の装飾だけを子どもが担当しても良いでしょう。

空き缶で作成したペン立て

高さのある空き缶の切り口にテープを貼り、表面全体をフエルトで覆い、ボタンやポンポンなどで模様をつけると、簡単におしゃれなペン立てが出来上がります。本格的な学習が始まる小学校の入学祝にも相応しい品です。

お別れ会を盛り上げる出し物と装飾のポイント

装飾のポイント

会場全体が暗いイメージだと晴れやかな気持ちで送り出せません。保育園生活を振り返る写真や明るい色の壁面飾り、カラフルな風船などを使用して、卒園児の門出を祝福する華やかな空間を演出しましょう。

 

鮮やかな色をたくさん取り入れると楽しい雰囲気になりますが、ベース、メイン、アクセントにするカラーを決めておくと全体がまとまります。

出し物のポイント

園児たちの出し物にはハプニングがつきものです。トラブルに対する準備ができていないと、お別れ会が台無しになってしまいます。何か起きても困らないように、起こりうるトラブルを想定しておくと安心です。

 

どんなことが起こるかは出し物の内容によっても変わります。考えつくトラブルを挙げると同時に、対処の仕方も決めておきましょう。

お別れ会の指導案の書き方とポイント

 

書き方の実例

お別れ会の指導案は、保育園に通う全ての園児が参加するイベントであることを頭においておくと書きやすくなります。ねらいは在園児と卒園児に分けて、それぞれ明確に記しましょう。

 

子どもたちが座る場所や司会者の立ち位置は図で示すとわかりやすくなります。子どもの動きや環境構成は時間ごとに書き、その時点でかける言葉や人数の確認、盛り上げるための声掛けなど保育者が気を配る点や手助けする点も記載しておきます。

 

出し物や先生のお話の間に参加している子どもたちが集中できるよう、予測される子どもの姿と保育士の対応を細かく書き込みましょう。

作成時のポイント

作成時のポイントは園児の年齢によって異なります。卒園児はお別れ会のねらい達成に向け、会の実施前と実施後に楽しかった記憶を思い出す機会、感謝の気持ちを文字で伝える機会を作ってみましょう。

 

2歳児から4歳児は集中力が続きにくい年代です。途中で退屈しないように、各年代の子どもが理解できる言葉でお別れ会がどのような会であるか先に伝えておきます。指導案には守ってほしい内容を書いておきましょう。

 

乳児、1歳児には子どもに合わせた環境の準備や対応の仕方が必要です。集中できないことを想定し、子どもの気持ちを落ち着かせる言葉も指導案へ入れます。

まとめ

 

3月はひなまつり、年長児のお別れ遠足、お別れ会、卒園式など行事が多く、保育士が多忙になる時期です。一人の保育士がこなせる仕事量は限られているため、お別れ会も最初の時点で無理のない計画を立てておくことが成功に向けてのポイントとなります。

 

手間をかけずに実施できる出し物や簡単に作れるプレゼントで、卒園児と在園児がともに楽しめるイベントを作り上げることは可能です。流れを工夫してしっかりと指導案を書き、思い出深いお別れ会にしていきましょう。