保育士志望学生の皆さんのICT導入を巡る「本音」と「建前」

私は、最近まで新卒学生の皆さんの保育士採用の担当で、養成校を走り回っていました。養成校の皆様には、大変お世話になり、感謝しております。

先頃、グループ社内の機能、役割の見直しの中で、私の採用活動の経験を、ICT化を通じた保育施設の魅力向上のために役立てろとの指示で、新たに、CCSシリーズを、皆様にご紹介する立場になりました。心機一転、転職したつもりで新境地にチャレンジし、保育施設の魅力向上のために働こうと思っています。

 

保育士志望の学生の皆さんは、保育施設のICT化に意欲的

さて、私どもglobal bridgeグループでは、毎年100名以上の新卒保育士を採用しています。その採用プロセスでたくさんの保育士志望の学生の皆さんとお話をしてきました。

その中で、組織的に、学生の皆さんに「採用面接へ進もうとした理由」をお伺いしてきました。それを整理してみると、次のような結果となります。

1番目が保育内容(少人数制保育)に共感したから(53%)

2番目が落ち着いた環境の中での保育を行っているから(44%)

3番目が年間休日や残業など待遇面で働きやすそうだから(43%)

4番目が家庭的な保育コンセプトを基にした保育に共感したから(41%)

5番目にICTを活用して、事務作業を軽減しているから(32%)

(*2019年、当社グループ会社調べ、複数回答を含む)

 

採用プロセスにいる学生の皆さんが、「働く環境」「働く内容」を重視するのは、当然ですが、その中でも、学生の皆さんの3分の1の方が、保育施設におけるICTの導入に着目しているのです。志望先の選定条件の中に、ICT化が入っているというのは、読者の皆さんにとっては「意外」と思われるでしょうか、それとも「今時の学生さん」と思われるでしょうか。

 

私自身は、直接の採用面接の担当ということではありませんでしたので、当社のICT化について関心を持ってくれている学生さんに、少し話しをふってみたことがあります。すると、こんな「ICTと保育の関係」についての感想、イメージを伺うことができました。

 

・「私(学生)は、子ども一人ひとりにしっかりと関わる保育を行いたい。ICTを活用すればその子にとって必要な遊びや教育を提供する事が出来ると思う。だから保育園のICT活用はこれから必要だと思う」

・「今の時代、ICT活用は当たり前でしょ!?ICTを導入している保育園で働きたい。ICTを活用して子どもや保護者へ、新しい保育とサービスを提供していきたい」

 

このように、保育施設におけるICTの活用について、前向きで力強い言葉を聞くことができ、私も背中を押される気持ちもし、頼もしく思っていました。

 

でも、違う「本音」があるのかもしれません

他方で、お世話になってきた養成校の先生たちと話をさせていただくと、違った側面もあるようです。ここ数年の学生さんたちの中には、スマホアプリは確かに使いこなしているが、パソコン、あるいはキーボードの操作をそれほど得意としていない方も多いとのことです。パソコンでがっちり文書を作成したり分析したりするよりも、スマホで軽く検索し、写真もさくっと撮影して、レポート完成ということも多いようです。ただ、小中教育における情報教育の必修化、さらに、2022年度からの高校教育におけるプログラミング課程の必修化によって、状況が変わることを期待している。しかし、現在のところは、デジタルネイティブ世代と言われてはいるものの、2020年以降の数年間に卒業する保育士志望の学生の皆さんが、コンピュータを使ってバリバリとタスクをこなしているという感じでもないようなのです。

 

意外に思われるかもしれませが、今時の学生の皆さんには、「ICT導入について肯定的」「でも、PCを全員がばりばり使うということでもない」という両面があるようです。別の言い方をすると、ICTに肯定的というのは(無意識に口から出てしまう)「建前」で、「本音」としては、コンピュータを活用した保育実践とは何なのかよく分からないということではないかと思います(このような本音は、日本の企業組織全体の抱えている問題という面もありますが)。

 

だからこそ、ICTの導入への肯定的イメージが大事

保育実践の場におけるICTの導入には、追い風は吹いているものの、まだ鳥羽口、始まったばかりです。だからこそ、実際の保育現場でのICT活用の仕方にも、未発見のものが多く可能性は大きく広がっていると思います。

基本は、人間(保育士)にしかできない事に、人としての保育士は集中し、ICTはそれを助けるためのツールであるということを徹底していくのだと思います。

ICTの「C」は、「コミュニケーション」のことですから、私としては、デジタルデバイスを積極的に活用して、コミュニケーションの質を高めるということが、究極的な目標だと思っています。未来のICT活用によって、保育現場で子ども、保護者と職員とで、どんなコミュニケーションが実現するのか、それを考えるだけでワクワクしてきます。

 

そのためには、新しく保育士になられた学生の皆さんの、「建前」かもしれませんが、折角、胸にいだいてくれていた「ICT導入への肯定的評価」が維持され、さらに高まっていくことが不可欠なのだと思います。この志が、実際に導入されているICTのせいで、幻滅になっていかないように、私も保育施設の皆様をサポートしてまいりたいと決意をあらたにしています。