【最初から読む】収集したデータを徹底分析!子ども研究室のミッションとは…第1回目のインタビュー記事はこちらから。

「成績表」ではなく「カルテ」のような伝え方を目指したい

Q:保育に関するデータ分析を進めていくうえで、課題はありますか?

今後の課題として挙げられるのは、保育士や保護者様に分析した結果をどのように伝えていくのかということです。

データ分析というものの性質上、物事を比較することが必要となります。そのため、子どもの発達の違いを数値化して表現することになり、いわば「成績表」のように受け止められてしまう可能性があるのです。

発達記録を分析したものが「成績表」のようなものになってしまうと、ネガティブな印象につながりかねません。実際に、大人であっても「成績表」にポジティブなイメージを持っている人は多くはないでしょう。

そこで、今後の課題として「成績表」のような形で分析結果を伝えるのではなく、病院の「カルテ」のような形で分析結果をお伝えする方法を模索しています。

Q:具体的に「カルテ」のような伝え方とはどのようなものなのでしょうか?

まず「成績表」と「カルテ」の違いについてですが、「成績表」は過去が結晶化したものであるのに対して、「カルテ」は未来志向で書かれていることが多いということが言えると思います。

カルテには、健康な状態に戻るためにどのようなことをすれば良いのかということが事細かく記載されています。医師はもちろん、看護師やスタッフなども患者さんが健康な状態に戻れるように、さまざまな工夫をして、その情報をカルテに集約しているのです。その一方で、成績表はできないことばかりに目がいってしまい、どうやって改善していけばいいのかという部分がほとんど記載されていません。

私は、子どもの発達に関するデータを伝える際には、「カルテ」のように未来志向で、どういうことができるようになっていくのかという部分をメッセージとして発信できればいいなと考えています。

Q:子どもの発達記録を分析するということについて、どのように考えていますか?

もちろん、子どもによっても、保育者、ご家庭によっても目標が違いますし、発育のテンポには個人差があります。現状をしっかりと把握できるようにしたうえで、分析した結果を今後の保育の内容に生かしていくためのツールにしてもらえればと考えています。

私は「今できないことは、これからできるようになるかもしれないこと」だと思っています。

発達記録を分析した結果として、保育士や保護者の方に伝えたいことは今これができないっていうことではなくて、これからできるようになることです。伝え方をどうしていくのかという部分については、今後も議論を重ねていきたいですね。

子ども研究室として、データ分析を通してよりよい保育サービスの実現に貢献していきたい

Q:最後に、子ども理解研究室の今後の展望を教えてください。

子ども理解研究室としてやることは今後も変わらないと思いますが、蓄積したデータをもとに保育に役立つような分析をしていければと考えています。

あまり前例がないことも多く、手探り状態で業務をおこなっている部分もあります。しかし、子ども研究室として、子どもの発達データの分析を通してよりよい保育サービスの実現に貢献していきたいと考えています。

-ありがとうございました。

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石塚 康志 いしづか やすし

東京大学経済学部卒。経済産業省入省後、各部署を担当の後、経済分析部門を比較的長期にわたって担当。その経験を活かし、保育現場で生まれるデータから、子どもの発達理解や保育士のスキルアップにつながる、新たなインサイトを生むべく、分析手法を開発中。

ライター:小町 ヒロキ

早稲田大学政治経済学部を卒業後、大手損害保険会社で5年間営業職として勤務。退社後、金融機関での勤務経験を生かし、Webライターとして独立。
現在は、複数のメディアにて取材ライターとして活動中。

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