【最初から読む】収集したデータを徹底分析!子ども研究室のミッションとは…第1回目のインタビュー記事はこちらから。

エビデンスに基づいて、子どもの理解を進めていきたい

Q:御社が目指している「保育の個別最適化」のために必要なことは何ですか?

この世に「定型発達」通りに育つ子どもはひとりも存在しません。とはいえ、全くのランダムということでもないと思います。恐らく、さまざまな複数のパターンが組み合わさって、子どもの特性が形成されるのではないかと思っています。

個別最適化された保育とは、一人ひとりに合わせた保育サービスを提供することです。
保育の個別最適化をするには、子ども一人ひとりについて丁寧に理解しなければなりません。個別最適化された保育を提供するにあたっての課題はいくつかありますが、まずは、子どもの発達についてのパターンをどれだけ精緻に抽出できるかということが重要となってくると思います。

しかし、安直な類型論になってしまっては本末転倒ですし、パターン抽出の手順やプロセスは明確になっていません。我々が保有している700万件という子どものデータを分析していくことで、エビデンスに基づいた、目の前の「子どもの理解」につなげたいと考えています。

Q:現場の保育士がどのように分析されたデータを活用するのですか?

保育を進めていくにあたって、保育園では必ず指導計画というものを作成します。保育計画を作る際に、我々の分析したデータを活用してもらうことを考えています。可視化されたデータがあれば、保育計画を作成するときに役立ててもらうことが可能ではないでしょうか。

たとえば、去年と今年の子どもの発達データを比較して保育計画の内容を調整できます。今年の子どもたちは去年に比べて、ある分野での発達のテンポが早い傾向が見えるので、保育計画に新しく項目を追加しよう、というように保育計画の内容を状況に合わせて変えられるのです。

社長である貞松が話している個別最適化された保育というのは、必ずしも書き物となっていることではないかもしれませんが、個別最適化された保育の計画(構想)という側面も強いのではないかと考えています。

保育園のあらゆるデータを活用して、質の高い保育の実現を目指す

Q:子どもの興味・関心の把握について教えてください。

弊社はデータを活用することで、子どもの興味・関心の予測をしたいとも考えています。
保育士は日々の業務のなかで大量のテキストデータを生み出しています。子どもの様子を記録したデータであったり、シフトで交代する別の保育士に申し送りをするためのテキストであったり…。親に見せるかどうかに関わらず、大量のテキストデータが存在しています。

従来であれば廃棄されていたテキストデータですが、子どもに関する重要な情報がたくさん隠されています。それらをうまくデータとして活用することで、子どもの興味・関心を把握することを目指しています。

もちろん、一人ひとりの子どもに個性があり、興味を持っていることもそれぞれ違います。しかし、物事は比較しなければ理解を深めることはできません。より質の高い保育を提供するためにも、子どもの興味・関心を把握する方法を模索しています。

【続きを読む】第6回 データ分析における課題、そして子ども理解研究室の展望とは

石塚 康志 いしづか やすし

東京大学経済学部卒。経済産業省入省後、各部署を担当の後、経済分析部門を比較的長期にわたって担当。その経験を活かし、保育現場で生まれるデータから、子どもの発達理解や保育士のスキルアップにつながる、新たなインサイトを生むべく、分析手法を開発中。

ライター:小町 ヒロキ

早稲田大学政治経済学部を卒業後、大手損害保険会社で5年間営業職として勤務。退社後、金融機関での勤務経験を生かし、Webライターとして独立。
現在は、複数のメディアにて取材ライターとして活動中。

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