「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間におけるシンポジウム」を開催しました

11月25日に「SIDS対策強化月間におけるシンポジウム」を開催いたしました。

新型コロナの影響を考え、シンポジウムの会場へは最小限の来場者に限定し、YouTube での LIVE 配信をメインに開催いたしました。

 

【基調講演】「SIDS対策強化月間に考える子どもの安全」について

当日は、国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張センター 研究センター長の持丸正明氏をお招きして、「子どもの安全」について、次のような事故事例において、どのようにして事業者・消費者の意識変容・行動変容を引き起こし、事故防止を図っていったかというご講演を伺いました。

 

気を付けたい子どもの事故事例

  • 使い捨てライターの事故
  • 医薬品の誤飲事故
  • 子ども服の引きひも
  • プール溺水事故

子どもの安全を守るため、「事故予防の社会サイクル」を利用

めったに発生しない事故を未然に防ぐためには、まずはデータ収集の積み重ねが必要であり、保育園ならば毎日のヒアリハット情報の積み重ねが、その後の「原因究明と対策」⇒「コミュニケーション」⇒事業者、消費者の「行動変容」という事故予防のサイクルを動かす起点になるというというお話をいただきました。

ご講演の最後にお話された「事故を低減させるためには、背景や原因の情報収集が大切です。情報さえあればAIによるデータ分析ができるからです。しかし、事故は突発的に起こるもので行政だけでは、そういった情報収集を行うことに無理があります。今はネットやスマートフォンが普及しており、事故の情報収集、そしてそのシェアがしやすい時代。子どもたちの事故を防ぐためにも、めったに起きない事故のその場に居合わせる、保育士さんを含む消費者も、事故予防サイクルに参加するという当事者意識を持って欲しいと思います。そして、安全な社会のためのアーリーアダプターになってほしいと思います」というメッセージが非常に重要だと感じております。

持丸氏の講演は、45分と短いものではありますが、非常に内容の濃いものでしたので、この場で全てをご紹介することが難しいところです。是非、こちらの動画配信をご覧いただくことをお勧めします。

【座談会】

基調講演のあとには、ご講演いただいた持丸氏、小さいお子様を保育園に通わせられている元オリンピック競泳日本代表の伊藤華英氏、保育現場のでの経験の長い学研ココファン・ナーサリー桃井の清水淳子園長先生、そして当社の代表取締役 貞松の 4 名による座談会を行いました。司会者は早稲田大学政策総合科学研究所招聘研究員 石元悠生氏にお願いしました。

 

子どもと保育士のために開発されたお昼寝のためのCCSセンサー。普及させるためには何が必要か

1つ目のテーマは「保育施設における午睡中の安全対策について」です。

座談会の最初は、日々、子どもの安全のための配慮としてどのようなことが行われているのか、清水園長先生からのご発言で始まりました。保育園では、SIDS対策として保育士による5分おきのブレスチェックや表情の確認のため、部屋の明るさにも気をつけているとのことでした。一方で、お昼寝時間は、保育士の事務作業タイムということでもあり、子どもの安全と事務仕事の両立のため、保育士の負担が大きいというご指摘がありました。

それを受け、代表貞松から「そういった保育士の負担を軽減するために午睡センサーを開発しました」と説明。

持丸氏からは、「午睡センサーのようなテクノロジーは普及し始めており、メリットも大きい。ただ、もっと普及させるためには、社会的仕組みが必要です。」との問題提起。「たとえば、そのようなテクノロジーを導入している施設への認証マーク。このマークがあれば、安全意識が高い園なのだとみんなが認識すれば、普及率向上につながる。さらに午睡センサーを使ったほうがいいのだという、社会の雰囲気が醸成されれば、やがて、保育施設だけではなく、一般家庭でも使う人が現れ、午睡事故低減につながるだろう。」という、基調講演における事故予防サイクルとの関連性を指摘されました。

伊藤氏からは、「日頃の連絡帳や保育士の方とのお話で、お昼寝時も人が見守ってくれていることは伝わってくる。ただ、テクノロジーも使って二重の安全策が講じられるようになれば、保護者としての安心感は、格段に増すだろう。ただ、私自身もこういうセンサーが既に実際に存在しているということは知らなかったので、もっと情報が広まって欲しいと思う」という保護者ならでも感想を述べてくださいました。

 

保育園の事故対策はマニュアル作りより情報の分析で危険を見える化

2つ目のテーマは「保育園の事故対策について」です。特に幼児の水遊び中の事故について議論がされました。

「マニュアル的な能力は、いざという時には役に立たない。ルールを学ぶよりなぜ事故が起こったかということを、実際の行動やデータに基づいて、一緒に考え、その場で判断できるようになることが大切」という、実際に幼児の水中事故のためのマニュアルを消費者庁消費者安全委員会で作成された持丸氏の経験を踏まえた危機感に、みなさん賛同。

伊藤氏からは、ご自身の水泳のインストラクターとしてのご経験のみならず、乳児の水泳教室に参加された保護者としての経験からも、「私自身は子どもに付き添っていても、経験者なのでそれほどでもないが、私の夫を含む普通の保護者の皆さんは、目の前の子どもの様子に集中し、付きそうだけで相当お疲れになっている。周囲の安全にまで、気を配るのは、マニュアルだけでは確かに難しいだろう」と実感のこもった発言。

清水先生から、新型コロナウイルス感染予防対策として、今年はプール遊びは実施しなかったが、通常の年であれば、「役割分担」を徹底しているというお話がありました。プールの周囲から子どもと関わる保育士と監視をする保育士を決め、その役割を徹底させたということで、特に、清水先生が強調されていたのは、「少なくとも保育士一人は水着を着用してプールに入って、子どもと遊びつつも周囲からの監視では見えづらいことに気を配れるようにした」ということでした。

伊藤氏からも、ご自身がメインのインストラクターとして水泳指導する際には、即応できるライフセイバーによる多重監視体制を講じるにようにしているという共通点の指摘がなされました。

 

子どもたちの安全を守るためには、ルール的なマニュアルづくりだけではなく、専門的な知見に基づいた多重監視によって「危険を見える化すること」こそが必要なのではないでしょうか。

この点について持丸氏から、「この多重監視にもテクノロジーを応用できる。ただ、この会場にあるであろう防犯カメラは、まだインテリジェントではない。現代社会において、最もインテリジェントな監視エージェントは、スマホのカメラをもった人間。今後、画像解析用のデータの蓄積が進めば、AIによる安全監視は必須の「子どもの安全対策」になっていくだろうが、事故情報を収集し、シェアする事故予防サイクルの起点としての人の役割、そして、それらの情報を受け取って意識改革し、行動変容するというサイクルの連結点としての人の役割は引き続き重要だ」とされました。

 

対談は約45分間にわたって行われ、さまざまな意見が交わされました。

会場に参加されていた方にお話しをお聞きしたところ「子どもの危険に対して、自分たちも専門的な視点を持つことが大切なのだと感じました」と感想を述べられました。

 

最後に代表貞松から「今回のシンポジウムで、事故予防サイクルを回転させていく上でも、事業者側の情報発信が大切だと感じました。いくら良い対策でも、アピールしなければ人の心は動きません。そういう面にもリーチできるように、今後も活動していかなければならないと思います。」と総括を述べました。

 

シンポジウムの模様は以下でも発信しています。ぜひご覧ください。

 

今回このシンポジウムをご覧いただいた方のアンケートでは、「大変興味深い内容で勉強になった」「テクノロジーと保育士の目との共有が大切だと感じた」「現場でのヒヤリハットや事故報告の情報を事業者と共有し、活かされていくことの大切さを痛感した」などたくさんの貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました! 

弊社は、これからも皆様からのご意見を参考にしながら、また現場のヒアリハット・事故報告を分析して、さらなるテクノロジーの進化に一翼担って参りたいと思っております。

このような弊社の取り組みにご興味をお持ちいただきましたら、こちらよりぜひお問い合わせください。