子どもの発達は記憶する?記録する?

保育現場でも少しずつデジタル化が進む中、発達記録もICT化することで保育に より活用できるのでは、と考える人が増えているようです。
私も現場経験のある保育士ですが、発達記録を保育に役立てることは簡単ではないと感じています。
そこで、この記事では発達記録をICT化するメリット・デメリットとそのデータを役立てる方法を分かりやすくご紹介します。

もくじ
1.発達記録は保育士の力量が求められる
2.発達記録をICT化するメリット・デメリット
3.発達記録はこんなときにも役立つ
4.分析して保育に役立てるのは保育士の役目
5.まとめ

 

1.発達記録は保育士の力量が求められる

ある日、保育園を卒園して小学2年生になった児童が保護者と共に保育園に訪ねて来たそうです。
ご挨拶だけではなく、保護者は少し悩んでいる様子で「先日病院に行ってきたんです。」と話始めました。
我が子の成長が遅いように感じ、心配になって病院へ伺ったようです。
保護者は、保育園に通っているときに成長の遅さを感じることはなかったのですが、当時のことを振り返って話を伺いたいご様子だったとのこと。
こちらの保育園では、発達記録を丁寧に付けている為、当時どんな事に興味を持ち、どのように成長・発達していたかをすぐに振り返ることが出来たそうです。

一緒に当時を振り返ったり今後のお話をする中で、保育園で一緒に過ごし見守ってくれていた先生の存在が、保護者にとってとても心強く感じたのではないかと、わたしは思いました。

 

2.発達記録をICT化するメリット・デメリット

弊社グループ会社は73施設の保育園を運営しております。
直営の保育園からCCS PRO内の発達記録のデータを取り出し、分析をすることに成功しました。(個人情報はもちろん伏せています)

各年齢での発達や、個人の発達をグラフにすることによって、わかりやすく見ることができます。
どんな事が得意で、どんな事が苦手なのか。
これらは、今回お話を伺った4園の園長先生を含め、保育士であればある程度頭に入っていることなので「分析」と聞いてもピンと来ないご様子でした。
園長先生の意見では、次のようなメリットデメリットが浮かび上がってきました。

メリット

■感覚だけの保育ではなくなる
■保育士間の意見会の材料になる
■何をどのように書けばよいかわからない新人保育士にとってはチェック項目は記録しやすい
■活動に対しての分析が見れるのは良い
(文字が書ける・ブリッジが出来るなど、クラス全体で何%達成しているか)

デメリット

■出来る子・出来ない子の線引きや順位付けをしてしまうのではないか
■保育士によっては発達のスピードを重視し間違った保育をしてしまわないか
■チェック項目が多いのでパソコンに向かう時間が長くならないか

 

3.発達記録はこんなときにも役立つ

弊社のCCS PRO(保育業務支援システム)内にも、発達記録の項目があります。
年齢だけに限らず、個人によって成長の変化は違います。
CCS PROではチェック項目(テンプレートの他、項目の追加も可能)と、文章としても残せるよう自由記録の欄も用意しています。

そこで、CCS PROを導入したばかりで、発達記録まではデジタルに移行できていない、4園それぞれの園長先生にもお話を伺いました。

園によって発達記録の付け方は様々で、紙で管理、クラス単位・個人単位のフォルダで管理、自由記録のみ、園で書き方を統一している・していない、などなど本当に様々でした。

基本的に、担任の保育士が子どもたちの発達の記録をしますが、保育士によっても感じ方は様々です。
「手が掛かる子」「手が掛からない子」とも言われますが、「手が掛からない子」がいるとすれば、その子どもは深刻な問題を抱えているのかもしれません。
「もっと自分のことを構ってほしい」という気持ちが、わざと突飛な行動や問題行動を起こしてしまいます。相手にしてもらえないよりも、問題を起こして叱られた方がいいと思ってしまう子どもの心理なのでしょう。

そういった行動を理解し、抱きしめてあげられるのか、叱るのか、また発達記録としてどのように記すのかは、保育士の力量、専門性が問われる場面なのではないでしょうか。

 

4.分析して保育に役立てるのは保育士の役目

保護者は、我が子の成長を一番気にしています。
他の子どもと比べる事は良くないとわかりつつ、比べてしまうものです。
「平均」というものが知りたくなります。

この発達記録の分析を保護者に見せて、、という話ではなく、保育士1人、あるいは数名で発達記録の分析結果を検討し、確認しあった上で、ここからどう保育していくのかを考え、保護者と共に子どもの発達を見守っていくのが保育士としての役目だと思っています。

子どもが主体的に様々なことを考えて実行できる遊びには、5領域がバランスよく関わってくるものです。
過干渉によって創意工夫の機会を奪うことも、放任しすぎて子ども達に気づきを与えないこともないよう、しっかりと目標を立て、個人の発達は記憶も記録もし、つかず離れずのちょうどいい距離感で見守ってあげられるといいですね。

 

5.まとめ

卒園した児童と保護者が、幼少期の発達記録を求めて保育園を訪ねて来た。

保護者は発達記録を直接目にするわけではないが、尋ねたことに対しての保育士からの言葉は、記録だけではない何かもっと大きなものを感じ、心強く温かい気持ちになったに違いない。

発達は記録するだけではなく、分析をすることでメリットもデメリットも生まれる。ただ、そのデメリットは働く側にとってのデメリットであり、これをデメリットと言っていいのかを悩むほどだ。

ICT化が進む中、人との関わりが少なくなるのではという心配もあるかもしれないが、むしろ増えることが今回のブログに書いたことでわかって頂けると思う。

保育士の力量や専門性が問われる場面はどの場面にも存在し、園全体で一個人を尊重し、把握することで記録も記憶もしてあげることが出来る。

「データ」というものに支配されるのではなく、こちら側が上手く利用することで、子ども・保護者・保育士にとって良いことしか生まないと筆者は思う。

発達分析について、もう少し知りたいと思って頂けましたらぜひお気軽にご連絡くださいませ。